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「食」に関するすべてのフィールドを改革

片山隆(株)寺岡精工社長に聞く

聞き手は高松宏之編集部長

vol.2

日本計量新報 2015年6月28日(3062号)2面掲載

儲かるしくみを提案する

変化があればビジネスチャンスが

流通業においても、売る場所・売るモノがどんどん変化しています。昔は皆さんスーパーへ肉や野菜を買いに行きましたね。今は、スーパーへ総菜を買いに行く時代です。また、コンビニの売上は依然として増えていますね。
 こういう変化があれば、そこにはビジネスチャンスがあります。精肉の販売より、加工品の販売のほうが大きくなると、そこには新しい仕掛けが必要になってきますから、当社もお客様にそういう提案をしていくことになります。たとえば、寿司の販売で、寿司を容器に入れてはかりに載せれば、種類と量を自動的にはかって、ラベルを出して商品に貼るとかですね。

ニーズつかんで、顧客に提案

ニーズを適確につかんで、お客様に提案していくことが必要です。お客様も企業ですから目的は利潤の追求です。売上・利益を伸ばしたいわけです。そこで、われわれがそのためのしくみを提案していきます。
 はかりなどの単体の計量器を売っているだけでは、いくら性能がよい製品を売ったとしても、たいして売上はあがりません。

常に新しいものを提案

こういう問題意識は、創業以来ずっと受け継いでいます。すでにあるものをまねしてつくって売るようなことはしません。必ず新しいもの、新しいしくみをつくりだして、世のなかに提案していくわけです。
 銀行への預金の出し入れが、かつての窓口での扱いからATM(現金自動預け払い機)による出し入れに、ガソリンスタンドでの給油が、人による給油からセルフ給油機による給油になるなど、世のなかのしくみは常に変化しています。

セルフレジに注力

対面式のPOSレジを提案

それは流通業界でも同じです。ここでも例をあげると、寺岡精工はお支払セルフのレジを5年間提案してきましたが、ここにきてあちこちで採用されるようになってきました。
 今年新たに提案しているお支払セルフレジ「スマイルセルフ」は代金の支払いと商品のスキャンをわけた、対面販売で使用できるセルフレジです。一見するとただ仕事をわけただけのように見えますが、そうすることにより、袋詰めと支払いが同時進行するので処理が早くなりますから、お客様の並ぶ列は短くなりますし、お店にとっては、少ない従業員で多くのお客様に対処できることになります。
 商売において量り売りというのはなくなりません。デパ地下をご覧になるとわかりますが、サラダなどは「○○サラダを200gちょうだい」というようなことで量り売りをしていますね。この商品はそういう売り場にももってこいのレジです。

同時進行で時間短縮

これは支払いの部分だけをお客様にやってもらうという方式です。ですから、店員が現金を触った手で商品に触るということはありませんので衛生的ですし、同時進行で袋詰めなどは店員さんがしますから、分業になって処理が早くなり、並ぶ行列も短くなります。
 実は以前われわれの間でも、たとえば、お年寄りに自分で支払いしてもらうことができるのかどうか議論したのですが、実際に動かしてみると、まったく問題はありませんでした。
 今、病院での支払いに関して、大きな病院では自動精算支払い機で自分で払うことが主流になっていますね。それで何の問題も起こっていません。お年寄りも問題なく使っていますね。つまり、お客様にとってどっちがよいかという選択なのですよ。延々と並ぶほうがよいのか、自分でやってさっと処理できるのがよいのかという。

導入ノウハウを持っている

実際に、最初に1度きちんと説明すると、その後はスムーズにご利用いただいています。寺岡精工のセルフレジの導入がなぜうまくいくのか。それは5年間苦労して普及してきたことで、事前告知やレイアウトなど、導入のノウハウをきちんと持っているからなのです。他社がハードウエアだけをまねしてもうまくいかないのはここに差があるからです。これは当社の見えない、隠れたノウハウです。そう簡単にまねができるものではありません。
 スムーズにご利用できて、使っているお客様にも喜んでもらえるというWin-Winの状況が生み出せるかどうかということです。

これがレジの標準に

従来なかった違う次元の提案をしているので、当然、それに対する抵抗もあります。これに対して、導入のメリットやうまくいく導入の方法などを丁寧に説明して納得していただいています。やっとここにきて、いろいろなお客様から注目されるようになりました。われわれは間違いなくこれがレジの標準になると確信しています。

−−新たに投入したスマイルセルフも自信作ということですね。

支払いスピードがアップ

はい、本当に使い方が簡単なのです。私がおすすめする1番よい使い方は、先に小銭を全部入れてしまうやり方です。そして足りない金額をお札を入れて精算するのです。そうすると、小銭が一番少なくなる状態で支払いができてしまいます。とにかくレジを打っている間からどんどんお金を入れてしまってください。そうすると、あっという間に支払いが完了します。日本では現金の使用率がまだまだ高いですから、スピードはかなりアップします。

−−今後の普及が楽しみですね。

今年中に累積で500店舗以上に導入スマイルセルフシリーズ「WebSpeeza T」

お支払セルフレジは、昨年の年末で210店舗で導入されています。今年は300店舗以上で新たに導入していただけるようにがんばっています。今年中に累積で500店舗以上の導入を見込んでいます。

大手企業から引き合い

大手の流通系企業から引き合いも多数あります。店舗へのセルフレジの導入に関しては常に寺岡精工がリードしています。それは先ほどもお話ししましたが、ハードやソフトの能力だけでなく、導入にあたってはそのためのノウハウが重要であるからです。

−−導入にあたって地域による違いはありますか。

メリットが理解されてきた

地域差はないです。全国でまんべんなくお使いいただいています。
 導入の初期には、お客様から「面倒だ」という声も多少聞かれましたが、現在ではまったくありませんね。並ばなくてすみ、スムーズにお買い物ができることへの理解が進んできたということです。

小さなお店にもぴったり

対面式の「スマイルセルフ」は、ベーカリーのお店を思い浮かべていただくとわかりやすいのですが、ベーカリーのカウンターにぴったり合うのですね。
 お客様が買いたいパンを選んでトレーに載せてカウンターへ持っていきますね。それを店員さんがパンを袋に入れている間に、支払いをすませてしまうことができます。待ち時間がありません。
 小さなお肉屋さんにも導入していただいています。

お店も導入に積極的に

−−お店側の考え方も積極導入へと変わってきているようですね。

ええ、最初はお客様に支払いをさせることで敬遠されるのではないかと考えるお店もありましたが、昨年くらいから潮目は積極導入へと変わってきていますね。
 お客様が並ばずにすむというメリットが理解されてきましたし、お店側の人手不足による問題も解消できます。
 極端なことを言うようですが、レジはないほうがよいのですよ。お客様にとっては無駄な時間ですから、究極的にはそういう方向へいくでしょうね。

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