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〈目次〉


 


今年の「計量記念日ポスター」と「計量のひろば」
計量記念日と計量の大切さを全国にアピール

全国統一ポスターは「クレヨンしんちゃん」を起用
経産省ポスターは「スポーツと計量」がテーマ

 計量記念日と計量の大切さを全国にアピールする全国統一の「計量記念日ポスター」と「計量のひろば」が全国の計量関連機関と団体へ配布された。経済産業省もポスターを制作し関係機関へ配布し、計量記念日をアピールしている。新型コロナウィルス感染防止から計量記念日行事が全国で中止されたり、規模を縮小したり、Web形式など工夫して実施されている中、ポスターと冊子が大きな役割を担っている。

全国統一ポスター

計量記念日全国統一ポスター2021

 今年度の計量記念日全国統一ポスターのキャラクターは「クレヨンしんちゃん」。作者は、臼井儀人氏。

■2万7000枚配布

 大きさはA2判。制作枚数は27,000枚で、日本計量振興協会会員、地方計量行政機関及び計量関係団体等へ配布した。

■クレヨンしんちゃんは日本中の人気者

 クレヨンしんちゃんは、1990年に「Weekly漫画アクション」で連載を開始。テレビアニメは1992年から現在まで放送されている日本を代表する長寿番組である。

 映画も毎年のように制作・公開されており、子どもから大人まで幅広い世代から人気を集めている。

 クレヨンしんちゃんという作品が持つ、明るく親しみやすいイメージを活かして、より計量を身近に感じ手もらうことが目的。

 野原一家と幼稚園のお友だちの背景に、計量に関するアイコンや計量単位をちりばめ、見る人の目を引くだけでなく、計量のポスターであることもしっかり印象づけている。

 作品ファン層の広さが強みであり、幅広い世代から啓発ポスターへの興味喚起・注目が期待できる。

 大きく目立つクレヨンしんちゃんの上部に「11月1日は計量記念日」の文字。計量記念日の文字にはルビを振って、子供でも読めるようにしている。文字列の下には「目盛り」も描いた。

 クレヨンしんちゃんの足元には、「楽しい毎日は、正しい計量がささえているよ」「みんなで守ろう!正確にはかることは、暮らしの安全や安心にかかわる、とっても大切なお約束です。」と、分かりやすい言葉で、計量の大切さをアピールしている。「正しい計量」の文字はオレンジ色にし、点線も引いて強調している。

 暮らしや健康管理などで身近な計量器である「電気メーター」「ガスメーター」「血圧計」「体温計」「ガソリン計量器」のイラストを、その計量器で使う計量単位とともに載せて、計量をアピールした。

 下欄には、団体名が載せられるスペースがある。

経産省ポスター

経済産業省作成のポスター

■1000枚作成

 経済産業省も毎年、11月1日の計量記念日と、11月に実施している計量強調月間をアピールするポスターを作成している。

 大きさはA2判。1000枚作成して、全国の経済産業局、47の都道府県・126特定市その他の計量関係行政機関、計量関係団体等に配布している。

■躍動感と大胆な構成で目を引く

 「スポーツと計量」がテーマ。公正な競技や世界記録などに正確な計量が欠かせないことから、「スポーツと計量」をコンセプトに採用した。

 今年のポスターは、躍動感と大胆な構成で目を引くものになっている。

 文字を、縦配置と横配置を組み合わせて中央に配置した印象的な構図ながら、安定感もある。

 寒色系と暖色系の色を旨く組み合わせた色配置も、このポスターを斬新なイメージにしている。

 イラストは、冬のスポーツを意識したもので、ブルーとグリーンを基調に、躍動感溢れる大胆なもの。印象的だ。背景にはそれらのスポーツに関連する計量単位も描かれている。

 メインタイトルの「11月1日は計量記念日」は横並びに三分割に配置した。「計量」の文字を大きくして強調した。

 「はかることそれは未来をつくること」のコピーは、中央にスパッと縦並びで配置され、「11月1日は計量記念日」の文字の横配置と組み合わさって印象的な構図だ。画面の下方に重みを持たせ、安定感もある。計量の大切さ・重要性をアピールしている。

 メインタイトルの下には「11月は計量強調月間です」の文字が配されている。経済産業省のホームページに簡単にアクセスできるQRコードも掲載。「リサイクル」もアピールしている。

 計量記念日組織委員会と経済産業省の、印象が異なる2種類のポスターが、相乗効果を発揮して、計量記念日や計量の大切さを訴えていくことになる。

計量のひろばN0.64
特集は「環境計量の役割と責任」

計量のひろばNo.64 表

計量のひろばNo.64 裏面

 毎年、日本計量振興協会は一般消費者に向けて計量の大切さについて広く周知を図るために、普及広報誌「計量のひろば」を作成している。

 計量啓発パンフレットの『計量のひろば』は、A4判3つ折り、両面カラー印刷。コンパクトで、配布に適した形をしている。今回で64回目の発行。

 今回の特集は「環境計量の役割と責任」。

 環境計量について、環境計量証明事業と環境計量士、環境計量に用いる単位、新たなトレンドへの対応などについて分かりやすく説明している。

■内容

 内容は、@環境計量についてA環境計量証明事業と環境計量士B環境計量に用いる単位C新たなトレンドへの対応。

 「環境計量」とは、「環境」を「分析・測定・計量する」仕事であるが、専門性が要求されることもあり、一般にはその内容が知られているとは言いがたい現状がある。

 高度成長期の公害等の深刻さから重要性が高まり、最近では、マイクロプラスチックや地球温暖化に代表される諸問題やSDGsに関わる活動を通じて、より身近な話題として捉えられるようになっているという状況が簡潔に述べられている。

 環境計量に用いる単位を解説している。

 1972年の計量法改正でスタートした環境計量証明事業制度や、計量管理、精度管理の上で最も重要な役割を担う、環境分析・計量のスペシャリストである「環境計量士」も簡潔に説明している。

 機器分析法の発展に加え、各種IT技術(データ処理、シミュレーション、画像解析、AI)の活用も益々重要となってきていること。さらに微量の試料を用いて分析するマイクロアナリシスや有害試薬の使用を極力排除するグリーンケミストリーの手法など、新たなトレンドへの対応なども簡潔に解説している。

■時宜を得た特集

 環境問題への対応が、世界的にクローズアップされ、政府も政策を打ち出している中で、環境計量の重要性はますます高まっている。時宜を得た特集だ。

 時代の要求とともに、環境計量のスタイルや環境計量士の役割も徐々に変化しているが、地球環境保全のために適正な計量を実施し、結果についての説明責任を果たしていくことの重要性には変わりはない。

 執筆は、津上昌平日本環境測定分析協会理事。

■標語など掲載

 2017年度(平成29年度)から2019年度(令和元年度)までの過去3回の「計量啓発標語」及び「何でもはかってみようコンテスト」の最優秀作品を紹介している。

■4万4000部作成

 『計量のひろば』は4万4000部作成。全国の計量協会や計量行政機関、計量関連機関などへ配布し、全国で活用される。

■『ひろば』をきっかけに語り合う

 この『計量のひろば』を媒介物として、さまざまな議論をしたり、よりわかりやすく消費者等へ説明をするための「きっかけ」として活用していくことが期待されている。

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11月1日は計量記念日
計量記念日式典と記念行事開催
各地で工夫した計量記念日行事も

■各地の記念日行事への対応はさまざま

 11月1日は計量記念日。これを記念して、全国各地で計量記念日行事が実施される。各地の状況は、新型コロナウイルス感染症を考慮して行事を中止した地域もあり、規模を縮小したり、工夫してWeb開催とするなど、さまざまだ。

■「令和3年度計量記念日全国大会」も内容を絞って

 「令和3年度計量記念日全国大会」が、2021年11月1日(月)13時30分から、東京のホテルインターコンチネンタル東京ベイで開催される。

 内容は、経済産業省主催の計量記念日式典(経済産業大臣表彰等)と計量記念日組織委員会主催の記念行事。新型コロナウイルス感染症を考慮して、工夫して実施される。記念行事は、計量啓発標語発表及び表彰のみ実施される。特別講演やレセプションは開催しない。「何でもはかってみようコンテスト」も、昨年に引き続き今年も中止された。

 本大会は、11月1日の計量記念日を祝し全国の計量計測関係者が一堂に会し相互の交流を深めると共に最新の技術情報等を共有し、学術、産業の発展向上に資することを目的としている。

 協賛は、計量関係30団体・日本計量振興協会、協力は、全国計量関係団体。

【日時】2021年(令和3年)11月1日(月)、13:30〜15:50(受付:13:00より)
【会場】ホテルインターコンチネンタル東京ベイ・5階ウィラード

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キログラム原器が重要文化財に
日本の質量の基準として、明治以降の近代化と産業発展に大きく貢献

 キログラム原器が重要文化財「メートル条約並度量衡法関係原器」に追加指定される。同原器は、日本の計量単位制度の国際化に重要な役割を果たすとともに、その後の産業発展を支えてきた。メートル原器が既に指定されているので追加指定となる。

キログラム原器
キログラム原器

■文化審議会が答申

 2021年10月15日、産業技術総合研究所(産総研)が所有するキログラム原器および関連する原器類を、重要文化財「メートル条約並度量衡法関係原器」に追加指定することが、同日開催された文化審議会文化財分科会の審議・議決にもとづき、同審議会によって文部科学大臣に答申された。

■日本の質量の基準だった

 計測の基盤となるのが単位系であり、正確な測定を実現し、社会生活が円滑に営まれるためには、信頼性の高い世界共通の単位系が欠かせない。メートル法は計量単位の国際統一のために18世紀末にフランスで作られた単位系であり、その普及のためにメートル条約が1875年に締結された。

 日本は近代化にむけた取り組みの一環として、1885年(明治18年)にメートル条約に加盟した。

 質量の単位「キログラム(記号:kg)」は、メートル法にもとづく最も基本的な単位の一つ。メートル条約の理事機関である国際度量衡委員会は、1kgの具体的な質量を定める、すなわち、キログラムを定義するために、白金イリジウム合金製の分銅「国際キログラム原器」を1880年代に製作した。さらに、国際キログラム原器と同じ材料を使ってメートル条約加盟国用キログラム原器40個を製作した。

 産総研が所有するキログラム原器は、この国際キログラム原器の複製の一つ。日本には、No.6と番号付けされたキログラム原器が割り当てられた。

 1891年(明治24年)、キログラム原器が日本の質量の基準として定められ、「度量衡法」が1891年(明治24年)に制定された。制定時の度量衡法は、メートル法を基礎としつつも、基本となる質量の単位はそれまで日本で使われていた貫だった。ただし、貫はキログラム原器の質量の4分の15として定められており、国際的なメートル法に間接的に準拠していた。

 日本はキログラム原器の質量変動を監視するために、国際キログラム原器の複製を国際度量衡局から追加受領し、キログラム副原器として運用した。さらに、貫の実際上の基準とするために貫原器も受領している。貫原器の質量は約3.75kg。

■五つの時代にわたる質量の基準

 1889年から2019年までの約130年間、質量の単位「キログラム」は国際キログラム原器の質量として定義されていた。

 日本国キログラム原器は2019年(令和元年)までの、明治、大正、昭和、平成、令和の五つの時代にわたる約130年間、質量の基準としての役割を担い、日本の近代化および産業発展に大きく貢献した。

■メートル原器に次ぐ指定

 1960年(昭和35年)までの約70年間、日本の長さの基準であったメートル原器は、すでに重要文化財「メートル条約並度量衡法関係原器」に指定されている。

■キログラムの定義は物理定数に

 2019年、国際キログラム原器に替わって、物理定数「プランク定数」がキログラムの定義の基準となった。

 2019年(令和元年)5月、日本の質量の基準は、キログラム原器から、プランク定数にもとづき質量が測定された複数の分銅「標準分銅群」に変更された。キログラム原器およびキログラム副原器はこの標準分銅群に組み込まれている。原器ではなくなったが、日本の質量の基準の確立のため、現役として役割を果たしている。

■戦争中は疎開も経験

 キログラム原器の管理には細心の注意が払われ、その保管には、内面が桐で覆われた特殊な金庫が用いられた。

 1944年(昭和19年)には、太平洋戦争における空襲から逃れるため、キログラム原器を、東京都銀座の中央度量衡検定所から茨城県の中央気象台柿岡地磁気観測所(現在の気象庁地磁気観測所)に疎開させている。

■安定な状態に保たれた日本国キログラム原器

 1910年(明治43年)、1950年(昭和25年)、1991年(平成3年)の三度、キログラム原器は国際度量衡局に輸送され、その質量が測定された。

 約100年間にわたるキログラム原器の質量の変動量は、他国のキログラム原器と比べて非常に小さく、先人たちの英知とたゆまぬ努力によって、日本の質量の基準は極めて安定な状態に保たれつづけてきた。

図1 キログラム原器(上段中央)、キログラム副原器(上段左)と貫原器(下段左および右)
図1 キログラム原器(上段中央)、キログラム副原器(上段左)と貫原器(下段左および右)

■重要文化財「メートル条約並度量衡法関係原器」に追加指定される原器類

 今回、2019年のキログラム定義改定に伴うキログラム原器の役割変更をうけ、キログラム原器、キログラム副原器、貫原器および1889年に国際度量衡局が発行したキログラム原器に関する校正証明書についても、その歴史上および学術上の価値が評価され、「メートル条約並度量衡法関係原器」に追加指定されることになった。

図2 1889年に国際度量衡局によって発行されたキログラム原器校正証明書(左:表、右:裏)
図2 1889年に国際度量衡局によって発行されたキログラム原器校正証明書(左:表、右:裏)

▽キログラム原器1個、キログラム副原器1個、貫原器2個
▽附(つけたり):キログラム原器校正証明書1通

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2021年10月10日号(3353・54)
【寄稿】今西錦司と我が家のイワナ(エゾイワナ)とヤマメ
日本計量史学会 山田研治

 戦後のマナスル調査隊やカラコルム遠征など、日本のカラコルム、パミール高原、モンゴル探検の先駆者であった今西錦司(1902〜1992)は、進化論の社会学的解釈や生態論から、今でも多くの信奉者がいる。

 最近、奈良文化財研究所『奈文研論叢』2021年3月号に、小麦の原種と日本への伝播についての論文「甘樫丘東麓遺跡出土コムギ炭化種子のユーラシア考古植物学的位置づけ」が、掲載されていた。

 小麦の伝播は、家畜の飼料として日本に伝播し、食料用としての性格は薄いとされているが、原種をカラコルムに調査に行ったのは、今西錦司であり、ゲノム解析が進んだ今日において再確認される時代になった。時期的には、古墳時代末から飛鳥時代にかけてと推測される。

 カラコルムなど、中国の隋、唐初期か、陸のシルクローが活況をおびた時代である。このことは、甲州ブドウのゲノム解析でもみられ、甲州ブドウの故郷はカラコルムやジョージアである。

 今西錦司の研究が、今になって再評価される中で、彼の研究で興味深いのは、最も初期の研究、カゲロウの研究である。

 カゲロウは、早春、時期を同じくして一斉羽化し、川面を覆う。羽化の期間は、2〜3日と非常に短い期間であるが、この一斉羽化を狙って、里山奥の湖沼につながる河川では渓流魚のヤマメやイワナの遡上が見られる。このことからか、今西錦司の本には、中央アジア探検でも、渓流釣りに熱中した記録が残る。

 今西錦司のヤマメとイワナ釣りは有名で、日本のイワナの種別を、イワナの表面の斑紋から生態学に2種、1亜種(5種ともいう方もいる)であることに気が付く。イワナの表面の紋は、白を持つもの、黄色がかかった紋様を持つもの、その他、白い斑紋に、橙色や赤色の点斑が加わるものがある。

 白い斑紋のみ持つものが、アメマスの陸封でイワナ、通常エゾイワナであり、東北日本海側の河川に多い。白に橙色の斑点を持つイワナは、ゴギ(イワナの亜種)と言われ関西以南方面に多い。北海道のオショロコマは、白い紋であるが腹が黄色、もうしくは橙色である。なお、周知のようにヤマメは、サクラマスの陸封型でありイワナより大きい斑紋を持つ。

 陸封の形態は、川を下らず、居座ってしまった場合もあるが、多くは自然ダムや人工的なダムによる本流との遮断によって生じる。東北では、山里にみられる灌漑用ダム湖に多く見られ、ダム湖が海に相当し、今西錦司が指摘した大型(尺越え)のおばけヤマメやイワナになる。

 東北地方で灌漑用に造られたダム湖の多くは、戦中、戦後に造られた食料増産型のダム湖で、魚道が設置されていなかったことによる。

 私の秋田の襤褸(らんる、ぼろ)小屋の前の川は、この典型であり、雄物川の支流をせき止めた灌漑用ダムの上流にある。雄物川流域の支流のこれらの河川では、河川と海の交流がなくなるため、ヤツメウナギや、ガニ(モクズガニ)の遡上が無くなる。古老に、家の前の川でガニを食べていますかと聞くとすぐに分かる。多くのところで、おじいさんの子供の頃は食べたが今は全く食べていないという答えが返ってくる。

 東北ではこのようなダム湖によるヤマメとイワナ釣りとなるので、今西錦司がきらった、大きな道路の傍での渓流釣り?、いわゆる、山奥の渓流での渓流釣りとは趣は異にする。もっとも、これは、標高はないが緯度が高いという現象に基づく。したがって、雄物川の支流にある秋田の私の襤褸小屋の前の川も同様に、かげろうの一斉羽化の現象が5月に現われ、ヤマメやイワナの遡上が見られる。

 毎年、この現象をみるために、雪解けの始まる4月から秋田に戻っている。ほぼ、11月初め雪が降りだす直前まで、毎月1回、最低1週間の滞在を目途に、千葉の自宅から片道約600qを、車ででかけることになる。当然、秋には9月末からは、産卵のためのダム湖からのヤマメの遡上が見られる。

 秋のヤマメの遡上の見どころは、1mほどの砂防璧を飛び越えすすむ姿であり、実にけなげだ。これは、いつまで見ていても見飽きない。ヤマメの遡上でみられる成魚、尺近くのヤマメは食するには適さない。美味しくないのである。今西錦司がいうように、美味なのは20p以下のものであるが、ヤマメはイワナより味が落ちる。

 私の襤褸小屋の前の川は、ヤマメとイワナのすみ分けがなされていない交雑地であるが、その比率はヤマメ10に対し、イワナ1である。それだけ、イワナを捕ることは困難であり、イワナの方が美味。

 しかし、私の主観であるが、一般の店で売られている海産のマスの方がなお美味である。いつも、ヤマメとイワナが自分の周りにいるので、とても食する気にはならないから不思議である。

 最近、友人が私の襤褸小屋をみて、「蘭留庵」と名付けてくれた。だれかの「五合庵」より、ひどいということになった。

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2021年10月10日号(3353・54)
【寄稿】私と計量
日本計量史学会副会長 大井みさほ

 計量に興味を持ちだしたのは小学校6年の時である。当時は戦後の食糧難で、庭はいたるところ、掘り起こされ、畠になっていた。その一部で、工学部出身の父の指導の下、ジャガイモを育てたのだが、そのレポートをジャガイモの収穫を中心にまとめた。育てる場所の日当たりとか肥料の量というような条件を変えて収穫量を比較した。

 先生からは「よくできました。」というコメントはなく、ジャガイモの育つ様子を調べるとよいというようなコメントが戻ってきて、少しがっかりした。ジャガイモが育つのはよく知っているし、ちがった見方をしたかったのだ。

 ジャガイモの後はかぼちゃの種をまいた。かぼちゃの雌花が咲いてかわいい実が育ちだすと、今度は実の直径を測り、グラフにした。父が点を直線でつないだ私のグラフを見て、なめらかに点の近くを通る線を引くとよいというようなことを教えてくれた。私が計量好きになったのはこのころである。今思うと父親の影響は大きい。

 これを読んでくださる方はもし学校に通うお子さんをお持ちであれば、機会があれば、ぜひ子供の研究心を刺激するような適切なコメントをしてやって欲しい。

 その後中学に進んでからは父とは無関係にいろいろやった。夏休みの終わり近くまで宿題のレポートができていなかったとき、一晩徹夜をしたことがある。窓に近い庭の木の枝に温度計をぶら下げて、30分ごとに気温を測定するのである。測定するとき以外は室内で編み物をしていた。

真夜中というのは2時頃かと思っていた私は、2時か3時頃に一番気温が低いだろうと考えていた。ところが結果は6時頃であったので驚き、測ってみないとわからないものだと思った。

でも、その時うれしかったのは、編み物がたくさんできたことと、初めて徹夜をしたことである。結果は、また好きなグラフにしたが、文章もつけないレポートとはいえないものであった。(東京学芸大学名誉教授)

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2021年10月10日号(3353・54)
【図書紹介】『精密 計測機器の発達史&日本の測定機』上野 滋著
黒須 茂(日本計量史学会副会長)

計測機器の発達史 日本の測定機 新型コロナウイルスの感染拡大が一向に収まる気配のない状況の中を,どさくさに紛れて東京オリンピック・パラリンピックもめでたく終わってしまった。さあ,あとはコロナウイルスの感染をどう乗り切るかが課題であるが,報道では十二月に第六波の襲来を迎えるという話題でもちきりである。

 世の中の動きとは無縁の筆者ら老人にとって不要不急の外出自粛はなんとも悩ましいが,これも神が与えた試練と思って耐えるしかあるまい。読者諸兄には楽しみにしていた会合や計画がすべてキャンセルとなり,出口の見えない幽閉生活になんともやりきれない気持ちでお過ごしの事とお察し申し上げる。

 実は,このような時期にわが国の工作機械の大家が,ご自身の研究成果をまとめて一冊の本にして出版した。この本は精密計測技術・基本の入門書を狙ったものではなく,実務者・研究者たちに精密計測の発達史に目を通してもらうことを意識してまとめている。

 著者上野滋氏は一九四五年生まれ,一九七○年に(財)機械振興協会の技術研究所に入所し,二○一○年に退任されるまで四○年間にわたり,計測技術の中でも精度の高い精密測定の分野を専門とし,ご自身の研究成果を中心として精密計測機器の集大成をした,まさに精密工学の百科事典にふさわしい内容的に六百ページを超える浩瀚(こうかん)な一書を二七○頁にまとめた力作である。

 頁数を半分程度に圧縮したのは,出版事情でやむを得ないところであるが,年寄りの筆者には図表を見るのに天眼鏡を必要としたのには閉口したが,著者もそれをご存知か,引用文献をこまめに巻末に示してくれている。

 生産現場,とくに加工工場では生産した製品を評価するために測定が不可欠である。昔より使われている測定工具は長さを定めるための直尺,ノギス,マイクロメータ,ハイトゲージ,そして基準となる平面として定盤,直角ゲージ,直定規などであった。このスタイルは一○○年以上も変わっていない。しかし,製品への要求精度,機能の向上に伴い,立体的な形状精度,位置関係の評価,粗さ,真円度,真直度などの形状測定が重要になり,表面粗さ計,真円度測定機,そして三次元座標測定機が登場し,普及してきた。日ごろ,私たちはこれらの測定機器を何の疑問もなく用いているが,実は一朝一夕に出現してきたわけではない。時代時代のニーズに応じていろいろな計測機器が開発・生産されてきたのである.その過程には多くの工夫・探求がなされているのである。

 広い計測分野の中で精密計測機器は最も工業生産に直結した技術であり,とくに重工業の後に発展してきた電子産業の製造分野で必須の技術となった。これらの精密計測のための測定器は地味ではあるが,近代産業のベースとなる技術であり,真に工業力がなければ産業化できない。そのため自国で計測器の生産ができた国は世界で一握りに過ぎない。そしてビジネスと優れた製品とは必ずしも共存し得ないが,国の発展繁栄には欠かせない分野である。

 本書のメインイベントは精密計測機器の発達史であり,個々の計測技術についてかなり詳しく調査されている。この分野の研究している者が論文なり報告書をまとめるさいに,序論でどうしても歴史的考察を述べる必要がある.その時に役に立つのが本書の前半の部分である。計測器の基本原理からその変遷の由来が実に詳しく述べられている。

 本書の読者対象であるが,精密機器の設計・生産加工・検査に携わる技術者,精密機器を研究テーマとしている大学院院生ないしこの分野の研究に進みたいと希望する学生諸君には必携の書である。

 将来,技術分野を志そうとする若い人たちには,現代の技術水準を培うために先人たちは何を学んできたかを知っていただきたい。本書には古代エジプト,古代中国もでてくるが,一○○年前あたりからの近代から現代への技術の流れが中心となる。その発展は目覚しく,膨大な情報の中に埋もれ,大切な技術が消えて行く運命にある。そのような状況下で未知の世界を少しでも整理して,今後の発展の一助としたいと著者はエピローグでその抱負を語っている。

 当学会の小泉袈裟勝氏,沢辺雅二氏,岩田重雄氏といったそうそうたる重鎮が本書の歴史的な話題に登場するが,改めて先輩諸兄の努力の成果に敬意を表する。

 筆者が一通り目を通して以下に雑感を述べさせてもらう。

 随所に出てくる歴史的な計測器などの写真であるが,著者自身がロンドンの科学博物館,ミュンヘンのドイツ博物館などを回って撮影したものを掲載している。このことは感服すべきことである。

 かつて筆者は発表に他人の描いたイラストを無断で使わせてもらったことがあるが、慎むべきである。

 計測器の取り扱い方法について,著者の経験から独特の補正技術ノウハウを述べられている点が特長的といえる。

 ブロックゲージはどうして簡単に寸法の加算ができるのかの説明で「リンキング」と言う二つの合わせた面が密着する現象のためだとしている。その昔,落語の「三井の大黒」の中で彫刻の名人左甚五郎が鉋で削った二枚の板がピタッと密着して剥がれない話を聴いたことがあるが,著者もこの話を知っていたか伺いたいものである。

 自動コンパレータの説明の中で,最大の測定誤差要因は人間ということになり,先人はこのことを早くから気が付いていたと著者自身の鋭い洞察力を随所に語っている。また,同じくコンパレータの紹介の中で,最近の測定器はやたら複雑になり,メインテナンスもしにくくなっているので,改めてシンプルな機構を見直す必要性を説いている。筆者も現役の時にはどうしてもデジタル計器にはなじめなかったので,著者の考えに同感である。

 今後,一冊の名著を通して学ぶというチャンスは少なくなる。読者諸兄にご一読を勧めたい。

 [書名] 精密 計測機器の発達史&日本の測定機
 [著者] 上野 滋
 [判型] A5判270頁
 [ISBN]978-488661-728-6 C3053
[出版社](株)大河出版(電話03-3253-6282
 FAX 03-3253-6448
 [発行]2021年3月20日
 [価格]3800円(税別)
 [目次]
 ▽プロローグ
 ▽第1章 計測のはじまりと基準
 ▽第2章 精密計測技術の基本原理
 ▽第3章 個別技術と計測機器
 ▽第4章 代表的な計測機器メーカーの歴史
 ▽第5章 代表的な計測機器メーカーの概要
 ▽第6章 開発を主導した研究機関
 ▽エピローグ

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2021年10月10日号(3353・54)
【寄稿】5kg以上の自動補足式はかりが検定の対象から除外されることによる計量器ユーザーの責任
中野計量士事務所 中野廣幸

 今回5kg以上の自動補足式はかりが検定の対象から除外された。ユーザーは検定を受けなくてよい分楽になるかというと、まったく逆で、5kg以上の自動補足式はかりのユーザーの負担は増加する。

 なぜなら、5kg以上の自動補足式はかりを使用するユーザーは、自分自身で適正な計量器を選定し、その正確さ、堅牢性を評価し使用する必要があるからである。つまり型式認証や検定がないということは、ユーザー自らが、適正計量を確保するために自己の責任で、型式認証や検定で行われるような計量器の評価を、自分でしなければならないということである。

 また、その後においても、後続検定と同様の計量器の定期的な検査や、顧客に保証する許容差を守るためのトレーサビリティの確保が、すべて5kg以上の自動補足式はかりを使用するユーザーの責任になる。

 型式認証をうけた計量器を使い、法律で定められた後続検定を定期的に受ければそれでよいという簡単な話ではない。5kg以上の自動補足式はかりのユーザーは、全ての計量管理のルールを自らが定め、間違いなくそれを施し、いつでも顧客に提示できる状態にしておかなければならないのである。

 したがって、5kg以上の自動補足式はかりを使用するユーザーには、適正計量管理事業所の指定取得が強く進められる。消費者保護の観点からは、指定取得の義務化の必要があり、取得により消費者にたいするしっかりとした説明責任をはたすべきである。

 しかし、自動はかりの適正計量管理についての、適正計量管理事業所としての基準が、現在明確でないという問題がある。基準がないと、適正計量管理事業所としての必要条件が明確でないために、実際に指定の作業を行う地方行政機関に混乱が発生する。

 このような問題に対しては、計測管理の国際規格JIS Q10012(ISO10012)の自己適合宣言が有効であろう。

 JIS Q10012(ISO10012)には、適正計量を確保するために実施しなければならないことが、具体的に明確になっており、5kg以上の自動補足式はかりを使用する事業者がJIS Q10012(ISO10012)の自己適合宣言を行うことにより、適正計量を確保し、消費者への説明責任を果たすことが可能になる。

 5kg以上の自動補足式はかりユーザーの負担を軽減し、消費者保護を実現するために、適正計量管理事業所の指定基準を整備するか、計測管理の国際規格JIS Q10012(ISO10012)の自己適合宣言制度の導入が、自動補足式はかりの検定制度と同時に必要になる。

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2021年10月10日号(3353・54)
【寄稿】退職を機に一計量士として社会に貢献
計量士 植手 稔

 電気機器製造会社で2019年3月に定年退職後も再雇用で同じ職場で計測管理業務を担当してきたが、2021年9月末日をもって2年6か月勤めた再雇用者としての会社勤務も退職して、62歳と6か月で18歳から始めたサラリーマン生活に終止符を打つこととした。思い起こせば44年6か月に及ぶ会社サラリーマン生活の中で偶然のめぐり合わせによるこの計測計量と出会いに何か運命的なものを感じ、計測計量の世界に魅せられて、そして会社内でこの仕事をできる幸運に恵まれ、また周りの多くの皆さまに助けられながら、夢中になって自分なりに地道に熱心に誇りを持ってやってこれたと感慨深いものがあります。グループ会社全社の横断的な適正計量管理事業所計量士活動も優秀な先輩計量士に恵まれてグループ会社全社の計量管理レベルの向上に少しは貢献することもできたものと思います。地元の愛知県計量士会には私自身の人生を決定づけるキーマンに値する大恩人ばかりで、いつも大いにお世話になっています。また、日本計量振興協会、日本計量新報社等を通して多くの尊敬できる計量士の皆様ともお知り合いになれたことにも大変感謝しています。

 本来、再雇用者は1年毎の契約なので、何もなければ2022年3月まで契約期間はあるのだが、今回はグループ会社全体で特別なキャリア開発制度が実施され、再雇用者もその対象になったこともあり、それに応募して契約期間途中での退職を決心した。まだ年金を受給される年齢ではなく、(私の場合、年金は65歳から受給だが、年金が60歳から65歳に切り替わる世代なので、63歳から特別支給の老齢厚生年金と称して年金の一部の報酬比例部分のみ支給される)正社員の頃と9割方同じ仕事をしているものの収入においては4割程度しかない理不尽さもあるが、このコロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の中、まだ安定した収入の得られるサラリーマン生活にピリオドを打つことにはいくらかの不安もあるが、これを機に第2の人生を一計量士としてやっていくと決めた。

 自ら天職と決めたこの業界に身を置き、これからは会社の名前に守られることのない、本物のプロの計量士としてスタートを切るに当たり、自らの使命を自覚し皆様のご指導ご鞭撻を仰ぎながら、計測計量を通して少しでも社会に貢献していく所存であります。

 まずは、18歳からサラリーマン(しかも一つの会社のみ)しか経験がないので、私が井の中の蛙なのはほぼ確実で、社会的リハビリを兼ね、その状況から脱却することから始めて、非自動はかりの定期検査を覚える。(会社では生産工程のはかりの校正はやってきたが、お店で使う本物?の非自動はかりの定期検査は経験がない)。そして今後、我々計量士の活躍の場が飛躍的に拡大していくと推測される自動はかりの特定計量器追加の計量制度改正による指定検定機関の立上げ並びに日本計量振興協会から委員を拝命しているISO/JISQ10012の普及推進等に極微力ながら貢献していきたいと思っています。

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2021年9月26日号(3351・52)
【寄稿】アナログレコードの復活!?
応用計測研究所 鴨下隆志

 コロナ禍と相まって、自宅にいる機会が増え、必然的に音楽を聴く時間が多くなっている。10年ほど前から始めたネットオーディオにおいては、デジタルの恩恵を享受しているのであるが、レコードで聞くアナログの世界も依然として離れ難い。

 1982年にCDが登場して以来、衰退の一途をたどってきたレコードではあるが、近年、見直され復活の兆しを見せている。米国においては既にCDの売り上げを上回っているという。しかし、CDはもはや時代遅れの代物で、物理的なメディアを伴わないダウンロード、ストリーミングの時代であるということかも知れない。

 マクロ視点でみればデジタルが圧倒的に優位であることに変わりないが、合理性とか効率化などとは縁のない趣味の世界であるから、カートリッジ、ターンテーブルシート、スタビライザーなどの交換で、別の楽しみ方も味わえるレコードがこれからも生き続けるかも知れないが、果たしてデジタルと共存できるほどの存在感を発揮できるのかは興味あるところである。

 ところで、レコードの最大の敵は昔からノイズの発生である。面倒ではあるがこれを除去しなければ鑑賞の妨げとなる。レコードはノイズも含めて音楽であるとする考え方もあるが、意図しない音はノイズであるから、アナログだからといって軽視できない。音質のみを追求することには抵抗があるだろうが、ここではあえてノイズの軽減がどの程度可能であるのかを、実験を通して試みた。

 クリーニングマシンを導入すれば解決するのではないかと思うかも知れないが、実はそう簡単ではないのである。半世紀以上前のレコードには目視では識別できない程のカビ、ヤニ、塵などが付着していて、容易には落ちてはくれない。そこで、市販の極細の歯ブラシを集め、クリーニング用のブラシを作ればよいだろうと考えた。

 ブラシの部分のみを切り落とし、隙間なく並べる。歯ブラシの硬さ、幅、並べ方、取り付角度、クリーニング角度、押し付け力、速度、クリーニング液の濃度、使用する量、界面活性剤の割合などの因子を直交表L18に割り付け、洗浄力を調べる。本来なら実機での実験を行うのであるが、それでは時間と手間が大変である。

 そこで、品質工学が推奨するバーチャル設計の出番となる。いわゆる思考実験である。洗浄力の最適条件を求めた後に、比較条件との2条件のみで実機による確認実験を行い、思考実験の確からしさを検証するのである。

 因子の種類の多さや、水準値の設定などを変更するため、実験は複数回行う。思考実験であるから、時間さえ許せばいくらでもできるが、確認実験だけは実機を作って行うので、思考実験といっても時間と労力はかかる。また、現実には存在しないような条件や、組み合わせがあっては意味がないし、クリーニング時間は短い方が良いことも制限条件である。

 すでに数回の実験を行い、歯ブラシは電動も含めて100本以上を使用した。評価者の評価能力、特性値の測定法と加法性、水準ずらしの検討、誤差因子の扱いなどの課題があるため、最適条件の再現性には厳しいものがあるが、確実に改善はしている。

 クリーンルームのない家庭では、完璧なクリーニングなどあり得ないが、実験を通してノイズは軽減しつつあり、ていねいにクリーニングしたレコードから流れる音楽は透明感があり新鮮である。SN比の改善に限界はないので、今後もバーチャル設計は継続させるつもりである。

 クリーニングは面倒であるが、音楽を聴くためのルーティーンであると位置づければ作業も少しは楽になる。レコードは傷や汚れには弱く、繊細ではあるが注意深く扱えば寿命は長い。

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2021年9月26日号(3351・52)
【寄稿】求めず、出しゃばらず
計量士 田中 晶

 新聞に、ある商社マンの第2の人生の記事に 今は、学習塾で英会話を指導することが楽しみになり、今のモットーは、「求めず、出しゃばらず」。でも誰かに必要とされれば、「ノーとは言わない」。だそうです。
 私は、食品会社を定年退職して、もはや9年が過ぎてしまいました。

 現役を退いた時は、ある商社マンと同様に「仕事はもう十分」と悠々自適に暮らすつもりであった。現役時代はそれなりに職務と成果に追われており、多少のプレッシャーもありました。現役時代は、時間に制約があったので、その制約がなくなったら色んなことができると考えていたが、いざ、時間に制約がなくなるとすることが無いことが明確になったのです。

 よく聞く言葉に「教養が、ある」ではなく、「今日、用がある」そのものであった。

 さて、そのような時に、11月1日の計量の広場で計量士の仲間入りをお願いして今日に至っているが、昨年の2020年(令和2年)1月24日の東京計量士会設立20周年記念式典・新年交歓会からほぼ活動を停止せざるを得ない状況で「教養がなくなっています」。

 今回、「今日、用を作りました」定義に関係する話題です。

 「又吉直樹のヘウレーカ!」の2019年5月の放送「なぜ単位はいるのだろう?」に、東京計量士会会長の小林悌二さんがベテラン計量士として登場されていました。ご覧になられた方も多いのではないでしょうか。

 意識せずに共有しているあのお馴染みの単位“キログラム”の定義が、この度変わったというのです!単位(基準)を変えないように、より厳密に基準を限定するために、定義を変えた話で番組は進められています。

 単位はその意味を記述する「定義」と技術的に実現する「現示」から成り立ち、見える形として「国際キログラム原器」があり、その複製の一つが「日本国キログラム原器」です。特定標準器(国家計量標準)として管理されていました(2019年5月20日まで)。

 共通の言語になる定義は、計量の話だけではなさそうです。

 それでは「ひし形」を言葉で説明してください。図形は定義で決まります。

 答えは、「全ての辺の長さが等しい四角形」なのだそうです。

 ひし形というとお雛様にお供えする菱餅を思い浮かべ、対角線を十字と考え、全ての辺の長さが等しい四角形というと「正方形」を思い浮かべてしまうかもしれません。

 ひし形は4つの辺の長さが等しい四角形で、角度は一致しなくてもよいのです。また、似た図形に「平行四辺形」があります。平行四辺形は2組の辺の長さが等しい四角形が定義になり、ひし形も平行四辺形の一つです。

 ところで正方形の定義は「全ての辺の長さ・角度が等しい四角形」となります。もう少し定義を広げると「少なくとも1組の向かい合う辺がお互いに平行であるような四角形」のことを「台形」といいます。

 四角形の定義を整理すると「少なくとも1組の向かい合う辺がお互いに平行であるような四角形」のことを「台形」、台形の中でも、2組の辺が共に平行となっている四角形は「平行四辺形」さらに、平行四辺形のうち、すべての角が直角ならば「長方形」、すべての辺が等しければ「ひし形」、すべての角が直角かつすべての辺が等しければ「正方形」となります。

 もう一つの定義です。「円」を言葉で表現してください。

 コンパスでかいたようなまるい形を「円」といいます。円のまん中の点を円の「中心」、中心から円のまわりまで引いた直線を「半径」といいます。

 ボールのようにどこから見ても円に見える形を「球」といいます。

 円や球を厳密に数学的に定義することは,小学生の児童にとって困難。そこで,教科書では、児童の発達段階に応じて,例示的に定義するようにしています、とのことです。

 「円」と「球」の定義は、「平面上で,ある定点から等距離にある点の集まり」を円といいます。また,「空間において,ある定点から等距離にある点の集まり」を球といいます。

 いかがでしたか。定義は共通の言葉とされています。角が3つは3角形、4つは四角形……。

 しかし、四角形でも台形、平行四辺形、ひし形、長方形、正方形と表すことができるのです。また、円の定義のように小学生にはわかりやすい定義があることを知りました。

 さて、出前計量教室でお話しされている単位の話です。東京計量士会設立20年のあゆみから拝借しました。

 計量とは、はかるで測る(長さ、面積)量る(重さ、容積)計る(数、時間)などがあり、はかった物の「大きさ」と、意味を表す「単位」とはかった物を比較するための「基準」があります。「計量」は「いろいろな物」を「道具」ではかりますが、この物をはかる道具を「計量器」といいます。

 ものを数える時に大きさと意味を表わす「数」と「単位」がありますが、「単位」とは、例えば鉛筆は「1本」、ノートは「2冊」、ボールは「3個」、猫や犬は「4匹」、雀や鳩は「5羽」と数えますね。これと同じように計量にも大きさと意味を表わす「数」と「単位」があります。

 もし、「計量単位」がなかったら、「もの」の長さや重さ、液体の量(体積)などをはかったとき、「1、2、3、4、5」という数字だけで表わすと「数」の大きさは解りますが何を意味しているのか解りません,そこで、「1、2、3、4、5」という数字の後にm(エム)、g(ジー)、L(エル)、度(マルにシー)、s(エス〉などの「記号」を付けますと、1メートル(m)、2グラム(g)、3リットル(L)、4度(℃)、5秒(s)とはかったものの「大きさ」と「意味」が解ります。 このように数宇の後に付ける記号を「計量単位」といいます。

 分かりやすい説明です。単位はその意味を定義し、物理量を計る場合の場合の基礎となる一定量とされ、量は質と対立して用いられる概念だそうです。

 では、1メートルを言葉で説明してください。

 答えは、「1秒の299 792 458分の1の時間に光が真空中を伝わる行程の長さ」とするメートルの定義が1983年に決定されました。

 これでは理解も想像もできないので、出前計量教室から話を再びお借りすると、計量の基準は、むかし昔の大昔、はかる道具がない時代は、王様の身体の手や足を利用して「長さ」を測りそれを「長さの基準」としていました。それぞれの王様が「長さの基準」だと言い張っていたので、自分の国と隣の国では基準の長さが違い、争いの原因になっていました。そこで、世界中で使える「長さの基準」を作ることになりました。そこで、地球の子午線を計測し、北極から赤道までの長さの100万分の1を1メートルとして「X型」の形状をした正確な「1メートル(m)の長さ計」を作り、この長さ計を「国際メートル原器」と定め、「長さの基準」としました。この「国際メートル原器」は、大変正確であることから、長い間、「長さの基準」でしたが、最近になって、これではまだまだ「不正確」だ、「不確か」だということになり、光が1秒間に進む正確な距離は、2億9千9百79万2458メートルです。したがって現在の「長さの基準」は、光が真空中を2億9千9百79万2458分の1秒間に進む距離を「基準の長さ(1m)」にしています。

 ひし形と比べるとなんと複雑な定義でしょう。さらに歴史を見るとメートル原器の後にクリプトン86原子のスペクトル線の波長を用いて定義されていた時があり、レーザー技術の発展により、1983年に真空中の光の速さを用いた現在の定義になり、精度が向上したとのことです。到底理解できません。

 さらに光の速さの定義を使って実際の1mを測定するために、レーザー光の波長を「長さのものさし」として使う干渉と呼ばれる手法が主に用いられています。さらに現在は「光周波数コム装置」を用いた「光周波数のものさし」が用いられているようです。「又吉直樹のヘウレーカ!」2019年5月の放送「なぜ単位はいるのだろう?」で紹介された気がします。

 次に、1キログラムを言葉で説明してください。

 答えは、キログラム(記号はkg)は質量のSI単位であり、プランク定数hを単位Js(kgm2s-1に等しい)で表したときに、その数値を6.626 070 15×10-34と定めることによって定義される。ここで、メートルおよび秒はcおよびΔνCsに関連して定義される。

 これでは理解が出来ません。そこで、むかし昔、重さは竿の両側に荷物をぶら下げ、重さを比較する天秤から始まり、棹秤が使われていたようです。世界的に統一したものとして、1リットルの水の質量と定義されていたそうですが、1889年には、白金イリジウム合金で作られた世界に一つしかない直径及び高さが39oの円柱形の分銅を「国際キログラム原器」と定め、世界中の国で重さ(質量)の基準とする定義になりました。

本には国際キログラム原器の複製があり、約40年おきにパリに里帰りし国際キログラム原器を基準として質量を決定しており、日本では「日本国キログラム原器」となっていました。

 国際キログラム原器はパリ郊外にある国際度量衡局で厳重に管理されていましたが、表面の汚染などによってその質量が徐々に変動している可能性のあることが問題となっていました。これをうけて、2019年には、普遍的な物理定数であるプランク定数を基準とする現在の定義に移行することになりました。

 日本は、ドイツ、イタリアなどの研究機関とアボガドロ国際プロジェクトで測定したアボガドロ定数の値からプランク定数を求める方法を、カナダ、米国、フランスはワットバランス法(キップルバランス法)と呼ばれる電気的な方法でプランク定数の値を求めました。

 アボガドロ国際プロジェクトはシリコン28の雑じりっ気の少ないシリコン単結晶球体を作成し、正確に体積を測定して、アボガドロ定数の測定を行い、プランク定数の値の決定に貢献したとのことです。シリコン単結晶球体(28Si同位体濃縮単結晶球体)は、国際キログラム原器のように国際プロジェクトで活躍しているようです。

 産業技術総合研究所では、プランク定数を基準として質量を校正した1mgから20kgのステンレス鋼製の分銅群を質量の特定標準器として運用しているとのことです。

 今までの日本キログラム原器が特定標準器であったものがシリコン球体に置き換わったことも、アボガドロ国際プロジェクトで貢献したことなどは前述の番組でも解説されていました。

 定義から長さや質量の話になりましたが、四角形のように”なるほど”とはほど遠い話になりました。

 むかし、地球の子午線を計測し、北極から赤道までの長さの100万分の1を1メートルとして決めたように、光の速さの3億メートルとしてくれれば、光の速さは1秒間に地球を7周り半と皆が知っているので、わり算で地球の大きさ4万キロメートルとなったはずですが、メートル原器に合うように光の速さを定められているので今までの1メートルが変わらずに使用できるのでしょう。小学生にも私たちにも例示的に定義するのであれば、1メートルは「地球の大きさをもとに決められた」ものであり、詳しくは地球(子午線)の大きさは4万キロメートルで1秒間に7周り半する光の速さでメートルの定義されてる。それに従って物差しやメジャーが作られていることで十分ではないでしょうか。

 重さ(質量)も長さ同様に、重さの1kgは、「1リットルのペットボトルに入っている水の重さ」。もう少し具体的には、「1辺10cmの立方体の体積の水の重さ」がもとになっており、秤によって量ることができるものではないでしょうか。kgの定義だけが変更されて、使うわれわれには変化はないようにしているようです。

 定義の変更は、「kg」のほかに、電流の単位「アンペア(A)」、温度の単位「ケルビン(K)」、物質量の単位「モル(mol)」の定義も変更されたとのことです。さらに、重さが長さと異なるのは長さがあって、重さが決まっていったことです。改めて考えて使っている人はいないと思います。

 計量法は、度量衡法から旧計量法が1951年(昭和26年)に制定され、1993年(平成5年)11月1日の計量記念日に計量法全面改正された新計量法が施行され、現行計量法がスタートしています。

 移り変わりの激しい時代の中、政令改定により、自動はかりが特定計量器に追加されるなどの更新がなされ、対応に追われている方もおられますが、私たちの知らないところで単位関連でも進化しているようですが、法律により、厳密に定義が決められていることにより、安心して生活ができているのかもしれません。

 参考にしたもの:特に産総研に関係するもの、新聞や辞典等、信頼性が高いと思われるインターネットで公開されているものを参考に、さらに、東京計量士会設立20年のあゆみも参考に用いさせていただきました。(謝辞)

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2021年9月12日号(3349・50)
【寄稿】「計量史をさぐる会2021」へのお誘い
2021年10月22日(金)、松本市で開催
日本計量史学会会長 山田研治

(新型コロナウイルスをめぐる状況によっては中止する場合もあります。ご了承ください)

 コロナ禍も2年に渡り、かつ第5波にも及び、巣ごもり状態が長く続く結果となっております。しかし、高齢者中心に進められたワクチン接種の効果が徐々に浸透し、先行きが見えてくる時期を迎えました。

 この2年間にわたるコロナ禍は、当該学会活動の一部停止、そして2021年春の定時総会も郵便総会にするなど大きく影響を与えました。とりわけ、総会で行われる恒例の講演や研究発表会の中止は、会員の研究成果発表の場を失う等の事態にまでも発展しております。

 つきましては、この2年間のこの停滞を打ち破り、コロナ禍後の当該学会の研究活動を考えるため、「計量史をさぐる会2021」(日本計量新報社後援)を10月22日(金)に、東洋計器計量資料館土田泰秀館長の尽力や長野県の計量協会会員の方々の協力を得て、松本で実施することとしました。

 「計量史をさぐる会2021」の内容は、講演2件、研究発表4件、東洋計器資料館の新収蔵品を中心とした見学会となります。

 講演2件の中1件は、土田泰秀館長の三方五湖の地層年輪と新規収蔵品の紹介、特に後者は従前から知られていた長野県中之条の測量関係資料の収蔵経緯と大野規周銘の「彎?(わんか)羅針(杖先羅針)」すなわち円周儀の新規収蔵品の紹介です。

 そして、他の1件は、全国一の枡の収蔵を誇る東洋計器資料館との関連から、黒須茂先生の二宮尊徳「報徳会」の枡問題が論じられる予定です。

 また、研究発表会の4件の中、特に2件は新しい研究で、従前から当学会でも重要視しております科学史分野から、福岡の岩崎博先生の「古典的円周率計算法」が発表されます。「古典的円周率計算法」は、アルキメデスの円周率計算方法が中国を経て、日本へ伝えられたのかという問題をも含みます。

 加えて、また、もう1件は、東大史料編纂所、当学会副会長の西脇康先生の慶長小判金問題についての発表「江戸幕府の金位表示と慶長小判・一分判の誕生」です。西脇康先生の慶長小判金問題は、アルキメデスの主要命題、円周率問題に次ぐ、もう一つの命題、王冠問題、すなわち比重(密度)問題と深く関連します。

 西欧では、24金(24分率制、(カラット(carat)制)が純金とされますが、江戸時代の金座では44匁が純金(中国では赤足金)とされます。この44匁は、1寸立法の純金の質量を指すとされます。この分野の研究は、極めて遅れています。

 その原因は、江戸金座の貨幣の44匁金を純金とした金含有制度(44匁の純金に、銀を加えて割をいれる。慶長金のように52匁金であれば金「44匁+銀12匁」、金含有量は「44/52≒0.846」、約85%、20金程)は、幕末まで秘伝とされたこと、そして、明治2年の最初の貨幣分析で、江戸時代の金貨(判金、小判)は金及び銀の合金貨幣、すなわちエレクトロン(Electrum)貨であるとされたことによります。エレクトロン貨は、ギリシャ時代に生まれた最初の貨幣、原初的形態であったことを示します。

 なお、江戸時代の、半金や小判金についてのエレクトロン貨伝説は、1970年代の貨幣論の新たな発展段階に入っても続きます。今、西脇康先生を中心に江戸時代の貨幣問題の見直しが、進んでいます。貨幣問題は、度量衡の歴史を分析、研究するための原点です。

 研究発表の他の2件は、小川実吉先生「国際温度目盛(国際温度標準)の変遷―ITS―27(創設)からITS―48の実用化例―」と山田研治「佐藤政養と度量衡」です。

 以上の内容で10月に行われる松本での「計量史をさぐる会2021」は、日本計量振興協会等の協賛、また当該日本計量新報社の後援でもあり、愛読者のご参加を是非ともお願いいたします。

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2021年9月12日号(3349・50)
【寄稿】キップもデジタルへ
日本品質保証機構 片桐拓朗

 近年は計量分野のみならず、多くの分野でデジタル化がすすめられていますが、今回はキップのデジタル化のお話です。

 最近の首都圏の駅の改札はほとんどが自動改札になりました。若い人に聞くと、そもそも改札口でキップに鋏を入れていたという行為を知らない人がたくさんいます。あるいは、キップの買い方を知らない、という人もいます。考えてみれば、ICカード1枚があればキップなしで鉄道に乗れる時代なのですから。

 計量的な視点で見ると、キップのサイズは、近距離用の小さいキップ、長距離用の少し大きいキップ(定期券サイズ)、それ以外の磁気化されていないキップになります。小さいキップはエドモンソン式乗車券と呼ばれ、3.0×5.75 cmになります。大きい方はいわゆるマルス券で5.75×8.5 cmです。

 この5・75cmというサイズを考えた人が、1836年、最初にキップを作ったエドモンソンというイギリス人です。自動改札では、磁気化された券である2種類のサイズを読み取れればよいので、大きさの処理としては比較的楽です。技術的に難しいのは、新幹線自動改札の4枚まで同時に読み取る機能や、回数券に乗車日を印字する機能かもしれません。

 さて、デジタル化の波は改札機能にも進化をもたらしてきました。当初は、データを磁気の紙に書き込んだキップを自動改札に投入する形でしたが、磁気カード(イオカード、スルッとKANSAI、パスネットなど)を、直接改札機に入れるという形にまず進化しました。この時代でも、カードの裏には乗車日+乗車駅+下車駅+残高が印字されていたので、文字というアナログ情報が併用されていたことになります。

 その次に登場したのがJR東日本のICカード(Suica)です。ちなみに、Suicaのサイズは磁気定期券のサイズとは異なっています。これは、定期券がキップの規格サイズ(サイバネ規格)で作られるのに対し、Suicaはカードの規格サイズ(JIS規格)で作られるからだそうです。

 ICカードの特徴は、改札機通過時に非接触であることと、カードにチャージを繰り返すことで反復利用ができることです。さらにはオートチャージという機能も付加でき、残額が少なくなるとクレジットカードから勝手にチャージされるという優れもの(怖いもの)です。Suicaに数年遅れて首都圏私鉄系のPASMOやJR各社(実はJR四国だけは独自カードがない)のICカードも登場しています。

 ICカードでは、乗車駅・下車駅の印字がされないのでアナログ的な部分は消え去り、完全なデジタルキップとなった訳です。(磁気カードで絵柄の異なる記念カードを観光用にたくさん販売していたJR北海道は、減収になったことでしょう)

 最近は、自動改札機はないがポール型のカード読み取り機だけはついている、という駅も首都圏の郊外には登場しています。改札機の扉もないので、もはや改札機能ではなく運賃収納マシンといったところです。これでも運用できているのは、乗客の性善説が成り立っているということで、さすがは日本だと思います。

 では、将来はキップがなくなりICカードだけになるのでしょうか?首都圏に住んでいる人は、大抵、SuicaかPASMOを持っていると思いますので、キップがなくなっても電車に乗れると思います。滅多に乗らない人も、1000円以下の金額を券売機でチャージできます。

 残るは、首都圏以外に住んでいてふだん鉄道を利用しない人が首都圏に来た時や外国人旅行者です。さすがにこの人たち全員にICカードを買え、とは言えないので、キップで乗る機能は残るのではないでしょうか? 最近では、磁気の代わりにQRコードを読み取る改札機も登場しており、キップが生き残る道かもしれません。

 あるいは、全国民がスマホを持ち、ここに交通系ICアプリを入れて1円単位でチャージすることができれば、キップ廃止も可能かも知れません。データがエラーで消えてしまう不安がなければ、です。

 もっと発想を変えて、他の電子マネーで自動改札を通過できるようになればこれもありです。いずれは、1枚のカードで、鉄道、リニア新幹線、バス、航空機など全てに乗ることができるデジタルキップの時代になるかも知れません。

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2021年9月12日号(3349・50)
【寄稿】絹遺産群の産業集積と計量計測―群馬の世界遺産―
群馬県計量協会会長 横田貞一

 子供の頃の想出にある風景は、透き通った青空に沸き立つ入道雲と赤城、榛名、妙義の上州の山脈、一面の桑畑でした。古来より、風土的にも蚕種育成・養蚕から生糸が加工・取引された賑いのある商業集積地で、絹の道で繋がっている絹産業の一大産業集積地域でした。

 文明開化を迎えた当時の日本は、近代国家として国際社会へ踊り出るために、「富国強兵」「殖産興業」を打ち出し、特に外貨獲得の政策として、絹の輸出に重点を置きました。明治から昭和初期にかけて生糸は日本からの輸出70%〜40%を占めており、最大の輸出先はアメリカで1900年頃には中国を抜いて世界一の生糸輸出国になりました。つまり、生糸が稼いだお金で近代化のための工作機械並びに軍艦などを買ったのです。

 2014年6月に、富岡製糸場と絹産業遺産群が世界遺産へ正式に登録されました。これは、富岡製糸場、及び田島弥平旧宅、高山社、荒船風穴に点在する文化財が絹産業の国際的技術交流及び技術革新を伝える近代化遺産として認められたものです。

 高崎市にある山上碑・多胡碑・金井沢碑の3つの石碑「上野三碑」も古代の日本と東アジアの文化交流や当時の家族制度などを今に伝える貴重な歴史文化遺産であり、「世界の記憶」遺産に登録されました。

 蚕種育成・養蚕の工程で、様々な観察・測定を行い、記録を整え、生育法を確立した田島弥平は近代養蚕法「清涼育」の開発と越屋根、天窓付き総二階建てに工夫した旧宅は、近代養蚕農家建築の原点となった建物として保存されています。

 一方、養蚕技術の更なる開発とマニュアル化に努め、教育・研修を行い、生育法を広めた高山長五郎(高山社)の「清温育」は、人工的に温度と湿度を管理した「温暖育」と、自然にまかせた「清涼育」の長所を取り入れた「折衷育」と言われ、「清温育」の特徴は、気温と換気と蚕の食べる桑の与え方等々を蚕の成長段階に応じ、分析を行い、マニュアル化した事でした。

 1872年(明治5年)渋沢栄一も関与した官営・富岡製糸場が開設されました。しかし、これまでの女性は家を守ることが役割で、外で働くことなど考えられなかった時代であり、外国人技師に対する誤解もあり、製糸場の創設時は工女のなり手がいませんでした。

 この急場を打開させたのは、渋沢栄一の従弟であり、学問の師でもあった初代工場長尾高惇忠でした。彼は自分の娘の勇を工女第一号として入場させ、全国から旧士族の子女を多く集め、その数は全国32都道府県にまで及びました。しかも、労働条件も驚くほど良く、寄宿舎や診療所も構内に完備され、労働時間は一日平均7時間45分、日曜日は休み、食費や医療費は国の負担でした。

 政府も「伝習を終えた工女は出身地へ戻り、地元の製糸工場の指導者となること」を奨励し、ここで学んだ最新の技術が全国に広がっていったのです。いち早く、女性が社会進出を成し遂げた驚くべき事実です。

 日本中で生糸増産のために、器械製糸は富岡製糸場に、養蚕技術は田島弥平・高山社に学び良質の製品を産出し、獲得した外貨により、欧米の優れた機械工業製品を輸入し、日本の工業の近代化、殖産興業に大きな寄与をする事が出来たと言えます。

 19世紀の中ごろ、ヨーロッパの遥か遠く、アジアの東の果てに位置する日本は、海外との国交もない貧しくか弱い小さな国で、その存在はほとんど知られていませんでした。

 しかし、開国を果たすと、たちまちにして「日本」という国と、さらに、ある一地域の名が囁かれ始めました。その地域で生産された艶やかな光沢を放つ生糸は、他の国が生産するよりも上質な生糸で、「トミオカシルク」として、欧米諸国のお洒落な貴婦人たちを魅了し、外国商人たちの取引の的となりました。

 小さな繭から手繰られた一本の生糸。その細くて弱々しい生糸が、アジアの片隅の小さな国を、豊かで強大な欧米列強と肩を並べる大国にまで押しやったのです。

 大量の絹を運搬するために、険しい山を切り開いて開通した碓氷線、高崎線、両毛線、上野鉄道(上信電鉄)と次々に開通。特に上州と横浜を結ぶ線として重要な役割を果たすことになった高崎線は、近年、湘南新宿ラインとして利用されています。絹の道で繋がっている富岡、高崎、本庄、深谷の上州・武州の商人も横浜で活躍をしました。

 単身ニューヨークに渡って、日本初の生糸直輸出に成功させ、Made in Japan=高品質として、世界に広めた人物が水沼の新井領一郎もその一人です。長い間、アメリカの生糸市場の開拓・拡大に携わり、日米貿易の先駆者の一人となり、民間人として初めて日米間の相互理解や信頼向上、交流促進に取り組み、明治期に日米友好関係の構築に尽力しました。日本人の社会的地位向上に寄与し、日本人初のゴルフプレイ−ヤ−でもあり孫娘はハル・ライシャワ−(ライシャワ−駐日大使夫人)です。

 ものづくりの高品質な品質の維持・安定に資する体系的な『計量・計測』は、手順を定め、要求仕様又は設計図に基づき、おこなわれる事になりますが、『何時?』『どこを?』『誰が?』『何を?』『何故?』そして、『どのようにはかるのか?』『どのような計測器を選択するのか?』及び『どのように計測結果を評価し、分析・検証するのか?』等々を認識する事が重要であり、基礎的な体系だった教育・訓練が求められます。結果、使用した計測器、計測デ−タとともに、計測結果が記録され、管理されていく事になります。

 ものづくりは計量計測から始まり、その基礎教育が大切なものとなります。田島弥平、高山長五郎等々地域の『ものづくり』にかけた先人の志を受け継ぎ、群馬県計量協会は次の100年に向けて、『群馬のものづくりは計量計測から』とした標語を掲げて、『ものづくり群馬』に資する公益的な一助として、計量計測に関わる基礎教育の講座の維持向上を図っていきたいと思います。

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2021年9月12日号(3349・50)
【寄稿】新型コロナウイルスに学ぶ
計量士 阿知波正之

 新型コロナウイルスの感染は全世界に広がり、国内での感染が発見されたとき“クラスター”による感染拡大が伝えられた。クラスターといえば、たまたま本の原稿を書くためクラスター(集落)サンプリングを勉強していた。

 クラスター内を調べる(測定する)ことは同じであるが、サンプリングの場合はクラスターの結果から母集団(全体)の状態を推定することが目的となるが、コロナウイルスの拡散防止の場合は集中的に感染が起きているクラスターを早期発見し、感染防止を図ることを目的にしており、目的の違いがあるように思う。

 感染の拡大、減少の傾向は比例ではなく”指数関数“と聞く。品質工学の事例では化学反応とか植物の成長特性などの評価で指数関数が使われている。感染の拡大は指数関数によるとするとY=Y0eβTが考えられ、Tは時間で。Y0を最初の感染者数とすると、感染は係数βと時間経過Tから指数関数により増加又は減少することになる。

 最初の感染者Y0をゼロにするような処置とマスク、手洗い、人流抑制などβを小さく手段により、感染者の増加は抑制され、さらにβをマイナスにできる対策であれば、減少に転じることになる。

 報道される感染者の状況を見ると、諸施策によるβの変化が期待できるが、デルタ株のような変異ウイルスの場合、βのプラス変化による感染の急拡大が起こっているように思われる。

 田口玄一博士の語録に「豊かさは自由の総和」がある。コロナウイルスの感染拡大の予防策として、事業業の営業時間短縮、不要・不急の外出自粛、ロックダウンの実施により、事業者、消費者ともに自由が制約され、「豊かさ」が損なわれることになる。

 一方、自由の制約が少ない諸外国では感染による死者および感染者の急増が伝えられており、死者による損失、治療費の増加が予測され、いずれの場合も大きな損失となる。

 個人の計量士として業務のコロナウイルスの影響をみると、交通・輸送関係のように大きな影響のある業界もあるが、食品スーパーのように比較的繁忙な業界もあり、定常的な業務の性格から変化は少なく、感染予防をして日々の業務に取り組んでいる。

 計量・計測の広い視野でみると、非接触体温計、パルスオキシメーター、CO2測定器などの新しい需要が生まれている。また、その測定結果の信頼性確保のための校正のニーズも予測される。

 感染予防策に関わる変革として、リモートワークが広く進んでいる。生産性の向上も期待できることから、検査の実務は困難であるが、会議、セミナーなど関連業務のリモート化が進んでいる。

 ただし、小生のように硬化の進んだ頭脳には新しい知識の導入に抵抗があり、Zoomの便利な機能もなかなか身に付かない。しかし、業務のデジタル化は喫緊の課題でもあり、実用化できるように習得を重点的に進めて行きたい。

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2021年8月29日号(3347・48)
【寄稿】長寿と功労賞を記念して 漢詩2首
東京計量士会 岡 和雄

 世の常で長寿と功労賞を迎えられるのは何人いるのでしょうか。

■「喜寿を祝う」 作詞 岡 千風

目黒産声過生涯
●●●〇〇●◎
森森浴日道心委
○○●●●○◎
運行反転恵妻女
●○○●●○●
素朴文華繋盛衰
●●〇〇●●◎

【読み下し文】

目黒で産声生涯を過ごす
森森浴日道心に委ねる
運行反転妻女に恵まれ
素朴と文華盛衰を繋ぐ
【喜寿来る葡萄ほうばる良き日かな】(写真)

【コメント】

山梨石和温泉(左から1番目喜寿の従兄弟)
山梨石和温泉(左から1番目喜寿の従兄弟)

 私の従兄弟冨士夫氏は都内目黒で生まれ育ちこれからもこの津で過ごすことでしょう。今年令和3年9月喜寿を迎え、仕事は実直・途中最愛の妻女光江さんに出会い人生一転今の繁栄に繋がったのではないでしょうか。今後は益々健康に留意され、平穏な日々を過ごすことを祈念し、1首作りました。(2021−6−3)

 語句の説明【森森】杜甫の「蜀相詩」に出てくる孔明の廟は何処という問いに成都郊外柏の木のこんもりとしたあたりを引用、【浴日】日光を浴びる、【道心】物事の是非を判断して正義につく心。

 

■「東京計量士会感謝状を受ける」 作詞 岡千風

令和三年栄誉輝
〇●〇〇●●◎
入門十度味厳威
●○●●●○◎
六爻八卦重信義
●○●●○○●
文華無為保是非
〇●〇〇●●◎

【読み下し文】

令和三年栄誉の輝
入門十度厳威を味ふ
六爻八卦信義を重ねる
文華無為是非を保つ
【栄誉来て夜空に上がる花火かな】(写真)

【コメント】

2018年柏市煙火製造所にて(東京計量士会・神奈川県計量士会)
2018年柏市煙火製造所にて(東京計量士会・神奈川県計量士会)

 小生は東京計量士会に入会して早や十年その間東武百貨店・京急ストアを経て計量一筋で努力してまいりました。令和三年その実績を評価され感謝状を拝領する名誉を受けました。今後も当会に貢献できるよう微力ながら努力してまいる所存です。これを記念して一首作成いたしました。(2021−5−28)

 語句の意味【厳威】厳かで威光のあること。【六爻】卦は(剛爻)と(柔爻)の組み合わせからなる六本の棒、即ち六爻により表現される。【文華】文明の華やかさ【無為】自由奔放にふるまう。

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2021年8月29日号(3347・48)
【寄稿】希望・連帯そして未来へ繋げる計量コミュニティー
一般計量士(愛知県) 田中亀仁

 TOKYO2020オリンピック(7/23〜8/8)が、17日間の戦いを閉幕しました。

 このコロナ禍で明るい話題が少ない中で、規制や自粛生活を迫られる中、初めての無観客の中で行われたオリンピックでしたが、アスリート達が真摯に戦う姿が皆さんの心を少しでも熱くしたり、動かしたり、世界の人々に希望と勇気を与えてくれたのではないかと思っています。

 私は、このオリンピックで行われた競技の中で、日本選手が活躍した競技や感動を与えてくれた競技は、たくさんありましたが、一番印象に残っているのは、卓球混合ダブルスです。ペアを組んだ“じゅんみまペア”の水谷選手と伊藤選手の個人の卓球レベルは決してトップレベル(世界一)では、ありませんが強豪の中国相手に、一時は、このまま負けてしまうのかと思ってしまうほどまでセットカウントを取られましたが、フルセットの末に逆転勝利し金メダルを獲得しました。日本人の個人レベルはそんなに高くないですが、団体となると個人以上に高い能力を発揮することができる日本人の特徴をよく表していたのではないかと思っています。その背景には幼稚園や小学校・中学校・高校の団体生活や運動会や体育祭などの集団生活を通して培われたのではないかと思います。

 オリンピック開会式及び閉会式で、IOCバッハ会長が挨拶の中で言われた、希望・連帯という言葉が印象に残っています、「困難な時代に希望という最も重要な贈り物を世界に届けた」、「パンデミックが始まって以降、初めて全世界が一つになった」です。

 今年の一月に日本計量新報の新年特集号へ、「定年を迎えるにあたり決意したこと」と題し寄稿させていただきました。一般社団法人 愛知県計量連合会の自動はかり指定検定機関の立ち上げについてです。 あれから、現在ではタスクチームを立ち上げ、品質マニュアル作成を概ね完了しました。また、タスクチーム内で毎週1回行っているWeb会議の中で、もっと計量関係者との交流を深める必要があるとのことで、一般社団法人 計量計測技術センター様や一般社団法人 京都府計量協会様、株式会社 イシダ様など、多数の計量団体様と自動はかり情報交歓会を通じて、お互いが抱えている問題・課題を共有化し、解決策の検討を始めています。

 その中で、やはり今年1月に省令改正された全国制をどのようにして対応するかが、一番の課題であり、地域ブロックの計量団体で全国をカバーすることはとても無理ですので、この改正に伴い指定検定機関をあきらめている団体が数多くあります。今後、省令が当初の地方ブロックを認めることにならない限り、先は見えません。今のままでは、現在のコロナ禍のように長く続く先が見えないために、希望がなくなり、皆が泣き寝入りすることを待つしかない「希望がない」状態です。

 このTOKYO2020オリンピックが開催の有無について世論からの批判が多い中、関係者が一致団結して開催にこぎつけたように、待っていてもダメ、自分達から動かないと始まらないと思っています。そのためには、これまで連携をとることが出来ていなかった地方計量団体が一つになり、自動はかり指定検定機関の全国制に向けて、思いを共有化し行動することが重要だと思います。まさに、TOKYO2020オリンピックが「困難な時代に希望という最も重要な贈り物を世界に届けた」ように、自動はかり指定検定機関にも希望を届けたいと思っています。日本人が、このTOKYO2020オリンピックで示したように、個人戦(地域ブロック)では弱いけど、団体性(全国)になれば強くなれるはずです。まさに、「省令改正が行なわれた以降、初めて全国の計量団体が一つになった」と言えるように。そのためには、日本国の計量の総本山である、一般社団法人 日本計量振興協会殿がリーダーとなり旗を振り、全国制の自動はかり検定制度を立ち上げるためのリーダーシップを発揮する必要があると思います。

 自動はかり指定検定機関の制度は、課題が山積みですが、一つずつでも石を取っていかなければ、山はどんどん大きくなるばかりです。たとえ、小さな小石でも取ることに意味があります。

そのためには、全国の地方計量団体が心を一つにして、一枚岩となり自動はかり指定検定機関制度について計量コミュニティーを通じて、自分事と捉えて活動することが必要ではないかと思います。なぜならば、今後の自動はかり検定で、取り残しが発生して一番困るのは、精度保証されていない道具で正しく測れないままの商品を買ってしまう国民のお客様達です。

 最後になりますが、一般社団法人 日本計量振興協会殿が、全国制の自動はかり指定検定機関制度についてリーダーシップを発揮して取り組んでいただけるのであれば、私は微力ですが、全力で協力する覚悟です。2021年に行われたTOKYO2020オリンピックをやって良かったと思われたように、あの時に、自動はかり指定検定機関の全国制に向けて取り組んで良かったと思えるようになりたいと思います。そして、TOKYO2020オリンピックで活躍したアスリート達のように、自分のためだけでは、日の丸国旗のために頑張り、日本国民に元気と希望を与えてくれたように、“この仕事にやりがいを持って取り組むことは、お国のためになるのではないか!”と思っています。

 そして、今回の活動が、一過性の打ち上げ花火に終わらせることなく、100年先にも計量関係者が活躍することに繋げるようになれば良いと思っています。

 一般社団法人 日本計量振興協会殿の運営にかかわる方々がこの紙面を拝見され、共感していただき、そして行動されることを祈念しております。

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2021年8月29日号(3347・48)
【寄稿】安心して買い物できるよね
メジャーテックツルミ会長 横須賀健治

 計量法の改正がのびた。2年遅れるという。「自動はかり」を一部取り込むことになっている。戦後、規制を基本的な安全に絞って制定してきた。消費者保護に主体が行われていた。今回の規制は計量の安全性に主眼が置かれているように見かける。それはいいことなのだが、専門家すぎて、制度上行政の指導を超えてきている。従って民間に検定が移ることになる。それでいいのか。

 戦後の混乱の中で「正しい計量が大事だ」と丁寧に計量行政が行われてきた。その後の日本の発展の土台をしっかり支えてきた。私はそれを「当たり前の計量」と意識している。誰もが当たり前に計量し取引できる。だから「それでいいのかという議論」と「これからの取引における安全性の担保をどうしていく」とのことを今こそしっかり議論しておかなければならない。その議論の中で、若い人が育たないという声が聞こえる。

若い人がいない」のではない。「計量を次の時代にどのようにしていくのか」、「人をどのように育てていくか」の視点が求められている。

 実は、法を整備していく方の悩みもそこにあるのではないだろうか。これからの時代がどのようになっていくのか見えないのだから。だからこそ、当たり前の取引が安全にできる環境を守る・改善することが大事なのだ。使われている原料名と成分量について知ることで、より安心して購入できるのだ。

「住む町」 けんじ

緑があって
坂道があって
公園も大きいのだある
 故郷鶴見は素朴だ
 そう思っていたら
 今鶴見は30人に1人は外国人ですよだと
鶴見の国道を一寸歩いた
何年振りなのだろう
パチンコ・スロットの店がある
 ふるさと鶴見は
 どこへに行く
 どこに行こうとしているのか
町を知らねば
文化を反映させねば
ふるさとは変わっていく

「新しい種目」 けんじ

オリンピックに新しい種目が出ている
それらが新しい種目であるせいか
若い人が参加している
 サーフボードなど
 サーフの下にローラーがついている
 試合場は凹凸のある谷間
その試合場を自由に演技し
自由に飛んだり跳ねたり
落ちてもケガをしない自由さ
 時代がかわったという想い
 発想の自由さ
 若さとう体の柔軟さ
時代が何かを呼んでいる
発想の仕方が新しい可能性
日本の進出が凄いなぁ

 無観客を決意し、反対意見も多いなかでオリンピックは終わった。テレビ放送のおかげもあり、試合は適宜見ることができた。成績も前回より上がった。入場料が取れないなか、全部が国の負担になる。日時も一年ずらしての開催だった。日本だからできたと思われる。成果も順調であり、若手選手や新競技に見るものがあった。きっちりやった、やれた。日本だからこそできたこと。今後にこのことは生きるぞ。

 計量に求められているのは、まさにこの可能性、信頼性である。若い人たちの可能性をしっかり掴みだしてあげよう。時代は急速に変わっていく。若い力に道をあけよう。よく言われる。人がいないと。そうではないのだ。道を空けてあげようよ……。

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弥生時代の10進法の分銅発見
国内初、須玖遺跡で

10倍権(春日市提供)
10倍権(春日市提供) 30倍権(春日市提供)


須玖遺跡群 権出土地点(上)と、須玖岡本遺跡岡本地区5次調査全景(南から)(春日市提供)

 弥生時代の10進法に基づく分銅が発見された。弥生時代の10進法に基づく分銅(10倍権)の発見は国内初。30倍権も見つかった。弥生時代中期(紀元前2世紀〜同1世紀)の「権」だという。福岡県春日市が2021年9月1日発表した。

 10倍権(円筒権)は、大きさは最大長5.0p、最大幅4.15p、最大厚3.02p、質量116.318g(復元値、約119.3g)で石製(トレモラ閃石岩)。

 30倍権(石斧転用権)は、大きさは最大長7.3cm、最大幅5.25cm、最大厚4.4cm、質量354.2gで石製。材質は調査中。

 朝鮮半島の茶戸里遺跡と同じ基準質量が11.365gの体系に属すると見なされており、10倍権はこの基準質量の約10倍になっている。

 「権」(けん)とは、天秤や棹秤で質量をはかるときに使うおもりのこと。

 新たに確認した10倍と30倍の権は、1989年に調査した須玖岡本遺跡岡本地区5次調査の包含層から出土したもの。

 発掘時はどちらも権とは考えられず、10倍権は用途不明の円筒形石製品、30倍権は石斧の欠損品と考えられていたが、資料を整理する中で権と判断した。

 今回の発見により須玖遺跡群で見つかった権は10例となった。10倍となる権が見つかった事で、3・6・10・20・30倍の権が揃い、春日市は、須玖遺跡群の人々が弥生時代から十進法を使用した可能性がさらに高まったとしている。

 元古代オリエント博物館の堀晄氏が、インダスの分銅の研究のなかで、古代では何系列かの分銅システムが現実に存在していると指摘していたように、古代人は多様な進法を併用していた。多様な対象物を計るための利便性を考えれば、人体が起源と言われる10倍系列の権も、日本でもその存在の可能性が指摘されていた。今回、10進法による権の弥生時代の「実物」が日本で初めて発見された意義は大きい。

 すべて青銅器生産遺跡から見つかり、一部が青銅器鋳型の再加工品であることから、須玖遺跡群では青銅器生産技術に伴って秤を導入し、青銅器の材料を調合する際に使われたと考えられるという。

 須玖岡本遺跡は、中国の歴史書『魏志倭人伝』に登場する「奴国(なこく)」の王墓とされ、同遺跡を含む須玖遺跡群は青銅器やガラス、鉄器などの生産工房跡も多数確認されている。

 春日市の「奴国の丘歴史資料館」は、2021年9月1日(水)〜9月26日(日)まで、「発見!!弥生時代の権」オンライン展示室」を開設している。

 新発見の資料2点を含めた須玖遺跡群の権を中心に、弥生時代から古代の資料および民具資料など計58点を公開している。

 内容は中学生でもわかるように、権とはどのようなものか、いつ何のために日本で使われるようになったのか、権の研究のはじまりなど、弥生時代の権の最新研究をまとめている。

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JCSSで特定標準器による校正等を実施
ベリリウム標準液等の値付けを開始
計量行政審議会答申に基づき

(2021年9月12日号)

 経済産業省は、2021年8月10日、計量法トレーサビリティ制度(JCSS)に基づき、ベリリウム標準液、けい素標準液、ジルコニウム標準液の供給(値付け)を開始し、経済産業省のwebサイトに公示した。

 2021年5月19日〜25日に開催された、計量行政審議会計量標準部会(書面審議)において、特定標準器による校正等の実施について諮問し、答申を得たことによる。

 2019年12月20日以降、計量法第135条(特定標準器による校正等)に関する公示は、官報ではなくホームページに掲載することが可能になっている。

 ベリリウム、けい素、ジルコニウムは、いずれも産業材料として広く利用されており、各分野において測定されるベリリウム、けい素、ジルコニウムの濃度を適切に評価するためには国際単位系にトレーサブルなベリリウム標準液、けい素標準液、ジルコニウム標準液が必要不可欠である。

 産業技術総合研究所より国際単位系にトレーサブルなこれら3つの標準液が認証標準物質として開発され、かつ標準物質の値付けの実施が化学物質評価研究機構(CERI)で技術的に可能となったことが2020年11月に最終確認されていた。

 これら3つの標準液に関して、計量行政審議会から答申を得たことから、特定標準物質を用いて行う標準物質の値付け(特定標準器による校正等)を開始することになった。

■指定校正機関の指定

(特定標準器による校正等の業務の範囲、指定校正機関の名称及び住所、特定標準器による校正等を行う事業所の名称及び所在地の順)

▽ベリリウム標準液であって、濃度が1グラム毎リットルのもの=一般財団法人化学物質評価研究機構(東京都文京区後楽一丁目四番二十五号)、東京事業所(埼玉県北葛飾郡杉戸町下高野千六百番地)
▽けい素標準液であって、濃度が1グラム毎リットルのもの=同前、同前
▽ジルコニウム標準液であって、濃度が1グラム毎リットルのもの=同前、同前

■特定標準器による校正等を行う者等

【特定標準器による校正等を行う者】一般財団法人化学物質評価研究機構

【特定標準器による校正等を行う計量器又は標準物質、特定標準器による校正等に用いる特定標準器等又は特定標準物質】
▽ベリリウム標準液であって、濃度が1グラム毎リットルのもの=ベリリウム標準液であって、一般財団法人化学物質評価研究機構が保管する標準液製造用精密天びん、超純水製造装置及び分析計測装置(以下「標準液製造装置」という)を用いて製造されたもの
▽けい素標準液であって、濃度が1グラム毎リットルのもの=けい素標準液であって、一般財団法人化学物質評価研究機構が保管する標準液製造装置を用いて製造されたもの
▽ジルコニウム標準液であって、濃度が1グラム毎リットルのもの=ジルコニウム標準液であって、一般財団法人化学物質評価研究機構が保管する標準液製造装置を用いて製造されたもの

■校正等の周期

12月

 一例として、ベリリウム標準液におけるトレーサビリティ体系図を図に示す。

ベリリウム標準液におけるトレーサビリティ体系図

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A&Dグループのホロン
新本社工場が完成
生産体制拡大と開発・製造環境を充実

ホロン新本社工場
ホロン新本社工場

(2021年9月12日号)

 エー・アンド・デイグループの半導体検査・測定装置メーカーであるホロンの新本社工場が完成した。生産体制の拡大と開発・製造環境の充実が目的。

■製造能力が2倍超に

 ホロンの新本社工場建設は、生産体制の拡大と開発・製造環境の充実をはかることを第一の目的としている。

 特にクリーンルームを従来の3倍のスペースに拡充し、従来の製造能力は年間10基ほどだったが、年間20基超に引き上げ、次世代機の開発スペースや装置のプレゼンテーションエリアも併設した。

 社員が働く環境を改善し、優秀な人材を獲得するために、駅(西武拝島線武蔵砂川駅)の近隣に建設した。

■寸法測定装置を製造・販売

 ホロンは独自の電子ビーム技術を活かして、半導体デバイスの製造に必要な回路図の微細な回路パターンの寸法測定装置を製造・販売している。エー・アンド・デイとシナジー効果を発揮し次世代機を開発している。

【主力製品】

@フォトマスク用CD―SEM「ZX」

▽ホロンがフォトマスク市場で長年培ってきた独自の高分解能技術、チャージ対策技術をさらに進化させて、sub−10nm最先端デバイス用マスク向けに開発した装置
▽ナノパターンの高速・高精度計測が可能
▽収差補正技術をさらに改良し、高SNRイメージを取得
▽低真空技術によるチャージフリーSEM画像を取得、高精度計測が可能▽多彩なアプリケーション(多点計測・輪郭抽出・2D測定・欠陥レビュー・3D表示)

A欠陥レビューSEM「LEXa―10」

▽フォトマスク用CD−SEMで定評のある低真空技術の採用により、チャージ抑制を行いながらナノの世界を観察・分析する欠陥レビュー装置
▽低真空技術によるフォトマスク(絶縁物)の全面観察および元素分析
▽低加速電圧による高分解能、低ダメージ分析
▽光学式欠陥検査装置とのリンク機能
▽自動欠陥レビューナビゲーション(ADR)機能

■会社概要

【株式会社エー・アンド・デイ】
▽本店所在地:〒170−0013東京都豊島区東池袋3―23―14
▽代表者:代表取締役執行役員社長森島泰信
▽設立:1977年5月
▽資本金:63億8800万円
▽市場情報:東証1部7745
▽事業内容:電子計測器、産業用重量計、電子天びん、医療用電子機器、試験機、工業計測機器、その他電子応用機器の研究開発・製造・販売

【株式会社ホロン】
▽新本社工場:〒190−0032東京都立川市上砂町5―40―1
▽代表者:代表取締役社長張皓
▽設立:1985年5月
▽市場情報:JASDAQスタンダード7748
▽資本金:17億6400万円(2021年3月末現在)
▽事業内容:半導体回路の寸法測定および検査装置の開発、製造、販売、保守サービス

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超重元素の精密質量測定に成功
新元素の新しい原子番号決定法の証明に

図 超重元素領域の原子核の地図(核図表) 
図 超重元素領域の原子核の地図(核図表)

 高エネルギー加速器研究機構(KEK)・素粒子原子核研究所・和光原子核科学センター(WNSC)、理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センター、九州大学を中心とする国際共同研究グループは、原子番号105番の超重元素ドブニウム同位体257Dbの質量を精密に測定することに成功した。

 これは、超重元素の存在理由を解明する第一歩となる研究。

 理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」の気体充填型反跳核分離器(GARIS−II)と多重反射型飛行時間測定式質量分光器(MRTOF)を用いて、測定した。

 原子番号(=陽子数)が大きい超重元素は、正の電荷を持つ陽子間の反発力が大きく、どこまで原子番号の大きい元素が存在できるか分かっていないため、新元素の探索が続けられていた。

 超重元素がなぜ存在できるかを解明するには、原子核の結合エネルギーの系統的研究が鍵となり、そのためには超重元素同位体の質量をくまなく精密測定することが必要になる。

 理化学研究所の加速器施設で核融合反応で生成されたドブニウム同位体(257Db)は、研究グループが開発したMRTOF質量分光器とα―TOF検出器を用いることで、一日に2個程度しか観測できない稀な事象にも関わらず、質量を1/100万の相対精度で決定できた。

 これは、超重元素同位体を直接質量測定した世界で初めての実験となる。今回の測定結果から、超重元素領域の原子核の原子番号を決定するには最低2事象を観測できれば良いことも実証した。

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2021年度東北・北海道計量大会と第69次東北六県・北海道計量協会連合会総会は中止(2021年9月12日号)

 2021年度東北・北海道計量大会と第69次東北六県・北海道計量協会連合会総会は中止となった。

 福島県が当番県として開催予定だったが、コロナウイルスまん延防止等重点地域となり(期限は9月12日)越県中止も出されておリ、今後の改善の見通しがない状況から、今年度はは開催を見合わせることにした。

 次年度の開催につきましては、理事会で協議し、連絡するとしている。

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日本科学機器協会・東京科学機器協会
事務所を移転
2021年9月27日(月)から新事務所で

 日本科学機器協会と東京科学機器協会が事務所を移転する。

 2021年9月22日(水)までは現住所で業務し、2021年9月27日(月)から、新住所で業務を開始する。9月24日(金)は引っ越し作業のため電話が不通となる。

【移転先】〒103―0001、東京都中央区日本橋小伝馬町14―9、小伝馬ファインビル6階
【業務開始日】2021年9月27日(月)
【電話番号/FAX番号】変更なし。

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