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計量トレーサビリティー制度(JCSS)の概要 |
JCSSとは、Japan Calibration Service System の略称であり、計量法に基づく計量法トレーサビリティ制度。
JCSSは、「計量標準供給制度」と「校正事業者登録制度」の2本柱構成され、後者についてはNITE(製品評価技術基盤機構)が1993年(平成5年)11月から校正事業者認定制度として運営されている。
2005年(平成17年)7月1日からは、制度変更により校正事業者登録制度となっている。
校正事業者登録制度は、校正事業者を対象とした任意の制度。
計量法関係法規およびISO/IEC 17025の要求事項に適合しているかどうか等、が登録基準。現在公表されている25の登録区分毎に登録される。
NITEが、事業所からの申請に基づき、その事業者の品質システムが適切に運営されているか、校正方法、不確かさの見積もり、設備などが校正を実施する上で適切であるかどうか、などの観点より登録審査する。
計量トレーサビリティー制度(JCSS)の概要
登録が認められたJCSS登録事業者は、特別な標章の入った校正証明書を発行することができる。
JCSSは、1999年12月にAPLAC(アジア太平洋試験所認定協力機構)、2000年11月にILAC(国際試験所認定協力機構)の相互承認(MRA)への参加の署名をした。
これらの国際MRAに加盟したことにより、JCSSは一度の校正でILACで相互承認しているどこの国でも受入れられる(One-Stop-Testing)。
国際MRA対応を希望するJCSS登録事業者は、別の任意な契約を締結したうえで、ILAC MRA付きJCSS認定シンボルの入った校正証明書を発行することができる。
国際MRA対応認定事業者に対しては、登録のための審査に加え、国際MRA対応状況を確認するための定期検査が実施される。
JCSS標章やJCSS認定シンボル付き校正証明書は、そのマークによって日本の国家計量標準へのトレーサビリティが確保され、かつ校正事業者の技術能力のあることが一目でわかるというメリットがある。
計測管理に関わる国際規格ISO9001-2015、自動車関係規格IATF16949など、さまざまな規格の改正や新規格などで、計量計測に関する規定が強化され、JCSS校正が望ましいとする規格が増えてきている。
〈NITEのwebサイトから〉
2018年11月現在、NITE認定センターの運営する「校正事業者登録制度」におけるJCSS登録事業者数は約260、JCSS校正証明書発行数は年間約53万枚となっている「。
JCSSは、登録事業者の登録の区分として、以下の25区分が定められている。
区分毎のJCSS登録事業者は、NITEのwebサイトで閲覧できる。
1. 長さ | 10. 振動加速度 | 19. 熱伝導率 |
2. 質量 | 11. 電気(直流・低周波) | 20. 音響・超音波 |
3. 時間・周波数及び回転速度 | 12. 電気(高周波)及び電磁界 | 21. 濃度 |
4. 温度 | 13. 密度・屈折率 | 22. 放射線・放射能・中性子 |
5. 光 | 14. 力 | 23. 硬さ |
6. 角度 | 15. トルク | 24. 衝撃値 |
7. 体積 | 16. 圧力 | 25. 湿度 |
8. 速さ | 17. 粘度 | |
9. 流量・流速 | 18. 熱量 |
JCSSトレーサビリティ体系図は、NITEのwebサイトで閲覧できる。
(NITEwebサイトより)
JCSSの対象となる校正の源である国家計量標準(一次標準: 特定標準器等または特定標準物質)は、計量法に従い、産業界のニーズや計量標準供給体制の整備状況等に基づき経済産業大臣が指定している。
国立研究開発法人産業技術総合研究所、日本電気計器検定所、経済産業大臣が指定した指定校正機関は、指定された特定標準器等、特定標準物質を用い、登録事業者に対し計量標準の供給(校正等)を実施する。
ISO/IEC Guide 99:2007 (VIM: 国際計量計測用語−基本及び一般概念並びに関連用語)では、「計量計測トレーサビリティ」とは、「個々の校正が測定不確かさに寄与する、文書化された切れ目のない校正の連鎖を通して、測定結果を計量参照に関連付けることができる測定結果の性質。」と定義されている。(NITEwebサイトより)
【ザンジバール島の時計】(計量計測のトレーサビリティはなぜ必要か、NITEへのリンク)
〈参考:NITEのJCSSのページ〉
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