あたごくらぶ新春インタビュー
ノーベル物理学賞受賞・平成基礎科学財団理事長
小柴昌俊氏 インタビュー(2)
2008年12月11日 都内にて
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日本計量新報 2009年1月1日 (2755号)2部11面掲載
じわりと広がる寄付
何とか1億円をつくることができました。しかし、1億円の利子だけで事業はできません。そこで賛助会をつくって応援していただける人を募りました。
いままで会ったこともない何千、何万の人からの応援を受けるわけです。そこで考えました。自分なら、寄付の依頼を受けたとき、何を基準に判断するか。まず知りたいのは、首謀している人の実績、人物ですね。その次に、その人自身が自分の財布を開いているかどうか。つまり、自らお金を出して本気でやろうとしているかどうかです。
しかし、賞金を全部注ぎ込んでしまったので、お金はありません。そこで、著書の印税が入ってくるのでこれを賛助会費にあてることにしました。それから、当時、会社を経営していた弟に年100万円の寄付を頼みました。医師をやっている妻の弟にも100万円。二人とも出してくれましたよ。
国民一人ひとりが1年に1円ずつ応援してほしいというキャンペーンも始めました。これに応じてくれたのが自治体です。例えば岩手県が県民の数だけの円を毎年寄付してくれました。ほか、豊橋市、横須賀市、ぼくの住んでいる杉並区など。東京都も一度だけ出してくれました。
さらに、2004年には「高貴なお二方」が二人分として2円、さらに、実に気がきいているんですが、「今後10万年分」の前渡しとして20万円を寄付してくださいました。こういうこともあってじわりじわりと寄付がふえてきました。年に1億2000万円。これを目標にいまがんばっているところです。
つづく
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