あたごくらぶ新春インタビュー
ノーベル物理学賞受賞・平成基礎科学財団理事長
小柴昌俊氏 インタビュー(3)
2008年12月11日 都内にて
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日本計量新報 2009年1月1日 (2755号)2部11面掲載
理科好きを理科嫌いにさせない
財団の活動として、高校生と大学生を相手に、「楽しむ科学教室」を開いています。月に1回開き、これまで47回続いてきました。
一人ひとりが個人として申し込まなければ受け付けないという方針をとっています。例えば、学校の先生がまとめて何人といった形は認めません。一人ひとりがやる気になっていないとだめだということです。
基礎科学のある分野のトップクラスの学者にお願いして講演会をやります。「先生のレベルを落とさないでください。ただし、相手を考えて、先生がふだん1時間で講演するところを、ここでは2時間40分かけてていねいに説明してください」とお願いしています。
近年、子どもの理科離れが言われていますが、ぼくは若い人全部が理科をやらなければいけないとは思いません。音楽や絵、文学に喜びを感じる子どもがいていいわけですよね。ぼくが気にするのは、本来なら理科好きになれる素養を持った子どもたちが、教え方などで理科嫌いにさせられてしまった、そのことです。
自分の経験で言っても、小学校5、6年から中学校くらいのとき、生きがいを持って自分自身が楽しみながら教える先生に出会えるかどうかなんだと思います。
つづく
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