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日本計量新報 2010年9月19日 (2838号)

計量協会は自分の業務に誇りと気概をもつべきである

2008(平成20)年12月1日に「新公益法人制度」が施行され、公益法人制度が大きく変化した。公益法人とは「公益を目的とする事業を行う法人」で、その制度は日本に100年以上存在する
 新制度では、「一般社団法人・財団法人」に関しては登記をするだけで設立できるようになり、以前よりも手続きが簡易になった。しかし、「公益社団・財団法人」になるには、厳しい基準を満たすことが必要となった。内閣府もしくは都道府県に申請し、基準を満たすと認められれば、公益認定を受けることができる仕組みである。
 新制度施行前に設立された従来の「公益社団・財団法人」は、移行期間の終わる2013(平成25)年11月30日までに、内閣府もしくは都道府県に「公益社団・財団法人」または「一般社団・財団法人」に移行する申請をした上で、移行認定・移行認可を受ける必要がある。申請を行わなかった場合、法人は解散となる。
 今回の制度改革は、官僚の天下り先として、一部の公益法人がマスコミに取りあげられたことで、多くの公平・公正な団体まで問題があるように疑いを向けられた結果であると考えられる。

計量関係団体は、これまで公平・校正に活動してきたが、やはりほかの団体同様、新制度への対応に大わらわである。
 一般社団法人と比べて公益社団法人は、社会的に高い公益性を周知できること、税制上の優遇措置を受けることができるなどのメリットがあるが、厳しい審査を通る必要があり、二の足を踏んでいる団体も少なくない。

こうしたなか、富山県計量協会は、外部のコンサルタント会社に頼ることなく独自に申請を行い、2009(平成21)年10月23日付で公益法人として認定された。
 「新公益法人制度」での公益認定の基準を知っている者にとって、富山県計量協会の頑張りは驚異であった。見事に公益社団法人になったことは賞賛すべき快挙である。
 大変な努力を要する道をあえて選んだのは、富山県計量協会の社会事業に対する大いなる自負心の表れである。また成せば成るという協会執行部の情熱である。
 公益性認定の基準を満たし、民間の有識者による公益認定等委員会や都道府県の合議制機関の納得を得るために、通常の情熱では及びもつかないほど大きなエネルギーを要した結果であると推測される。


 計量協会は、県の計量行政の補助機関として公益性を持って活動し、計量行政が円滑に運営されるために欠かせない「計量思想の普及」などを、県当局と一体となり活動してきた。
 加えて、県の義務であるハカリの定期検査事業を、計量法にもとづいて請負い実施している所が増えており、計量協会は県の計量行政と直接的につながっている。県の建物のなかに事務所を置き、検定所などと隣接して業務を実施している協会は計量協会以外にはあまり例をみない。

中には、計量協会を役所の建物から追い出そうとする「不逞の輩」もいるが、計量協会がハカリの定期検査実施事業主体である「指定定期検査機関」に指定されていることを考えると、県が実施する計量行政の実施「主体」ともなっている計量協会が県の建物のなかで業務をすることに、なんら不可思議なことはない。
 指定定期検査機関の業務に関する費用といった予算に関しては、計量協会が県当局に対して強く要求できない現状がある。これを打開するためには、制度的裏付けを確立しなくてはならない。そうでなければ、ハカリの定期検査事業は名目だけが残って実質はもぬけの殻となる。指定定期検査機関を指定しないうちに定期検査業務を放棄してしまい、計量行政がすっぽりと抜け落ちてしまっている県が実際にあるのだから、日本の計量行政は恐ろしい状態に立ち至っている。
 計量協会は、はかりの検査事業で行政の肩代わりをしているという自負心を持ち、その存在の維持に力を注ぐのはもちろん、富山県計量協会のような気概をもって業務にあたるべきである。

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