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日本計量新報 2013年7月7日 (2971号)

仰ぎ見られる富士山と計測器によって監視される富士山

富士山が世界文化遺産になる。世界自然遺産になることが事実上できなかったために文化遺産という形式で登録される。世界自然遺産になった白神山地の玄関口になっている地方公共団体は観光客が増えたので宿泊施設をたてたところ、ブームが引いたために施設の運営ができなくなった。世界遺産という名目によって浮沈する観光地の見かけの価値に振り回されるようなことはしないほうがよい。富士山の世界遺産登録によって観光ツアーのバスが富士山5合目の駐車場と道路にあふれ、富士登山もこれまでのような数珠つなぎがさらにひどくなる。落石事故、高山病の発生、粗末な山小屋とその数の不足といった問題が一気に表面化する。
 日本の美しい自然の形式の代表として、上高地と穂高の山々の景色がある。この地は細い道を大型バスが通行し、盛期には小梨平の駐車場はあふれる。上高地に出入りする幹線道路の建設の促進が課題になっており、松本側の熱は高い。日本の世界文化遺産、世界自然遺産などがこれだけ増えてくると、もうそんなモノどうでもよい、という気分になる人は多いはずだが、これに悪のりするものもまたいる。
 新幹線に乗車する外国人は富士山が見える窓側を強く希望するという。外国人にとって富士山は日本を象徴し、日本人でも富士山が好きな人は多い。インターネットの普及に連動してライブカメラの設置の勢いがすごい。富士山を映し出すライブカメラは日本一多い。観光にでかけたり、山に登ろうとするとき、このライブカメラの映像は非常に役に立つ。晴れたらでかけよう、雨なら山登りは延期という判断ができるからである。
 日本百名山の一つ、加賀の白山(標高2702メートル)の山麓には高山植物が多いので人を魅了する。その一方でこの山をみなもととする手取川の崩壊はひどく、手が付けられないほどである。国土交通省は川の管理に巨費を投じ、手取川の監視のためにいくつものライブカメラを設置する。全国の河川をリアルタイムで監視するライブカメラの設置が進行する。ライブカメラによって河川を監視するその行為は見ることであり、見ればおおよそのことがわかる。見ることによって、それまでの状況と比べることができる。比べることは計測の手法の一つである。黒部第4ダムなどは、ダムの壁面の変形を計測用カメラによって監視している。ここでは比べることによって変化のようすを知るのである。ダムのコンクリートの内部や、土手のあちこちには歪みゲージが設置されていて、変化を監視している。
 普通の人の目には見えないところで計測が働いており、この計測器によって地形やダムの変形が比べられ、計測され、それによって監視がされている。富士山の噴火の予兆を見つめることは、計測であるともいえ、それは比べることでもあり、この監視の目は不十分であるものの備えられている。

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