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日本計量新報 2014年4月20日 (3007号)

消費税率変更で大忙しだった一部の計量器事業者

国は2014年4月1日に消費税率を5%から8%に引き上げた。これによって国の運営に要する費用の徴収が楽になるかどうかはわからない。ある試算では税率50%にして何とかまかなえるとのことであるが、それでは国民は何のために働いて、何を楽しみにするというのか。少なくなった児童生徒に対応して小学校が統廃合し、大学は野球場に広告を掲出して入学者の確保に汲々としているさまであり、日本の人口は明治初年に3000万人であったのが現在の1億3000万人弱になり、これから急激に減っていって50年後には7000万人にほどになる。
 人は減っても役所は行政費用を増大させることを地方議員と一緒になってする。役所では正規の職員を減らして、非正規職員を雇用している。地方公共団体における計量行政は法律で定められた事務を完全実施しなければならないのだが、これらの事務内容を知って、これを本気で実施しようとする事務組織とその従事者がどれほどいるか、懸念される。計量事務の重要な内容であるハカリの定期検査は、地方公共団体が指定した計量協会などの機関が実施している。指定機関の置かれた状態はともすると地方公共団体における非正規雇用の人々の状態に陥れられかねず、そのような状態も一部では露見している。
 地方計量協会を疎外する地方公共団体とそれを実行する地方公共団体職員がいる場合には、うわべで述べる「計量行政機関と計量協会は共同の目標をもった仲間」というのは、眉唾になってしまう。行政機関と計量協会の関係の歴史の経緯と連携のあり方などに、しっかりした視点と論理がつくられていないと、行政機関の幹部職員の異動によって、右に左に振り回されグニャグニャにされて、やがてはつぶされてしまう。
 消費税が8%に引き上げられるのに対応して、タクシーメーター関連はメーターの更新需要が起きて賑やかに仕事をした事業者があった。ガソリン計量機関係は、消費税率の設定のしなおしとして対応していたようであるが、人が動き物が動けば何らかのことが起こるので、いつもの状態よりは忙しかったようだ。ハカリ関係では、料金計算ハカリを納入し日ごろのメンテナンスをしている事業者は大忙しであった。
 ハカリの税率の表示は、生鮮食品のパックに貼付するラベル内容がちょっとずつ違うので、会社が違うと、仕様を変えるなどのわずらわしさがあった。その事例は、売り場では総額表示にしてあるものの、レジでは本体価格がでて、一律に消費税率をかける。あるいは売り場の総額表示をし、レジでは足し算するといったことである。ラベルの印字内容を設定するのに大わらわであり、4月1日にかかっても、作業をつづけていた。レジスターやラベルプリンターを使っている顧客の消費税率の変更の手続きを、ハカリ企業が出張して実施することが多く、総責任者の社長以外は従業員が総出で対応していた。税率変更の手続きをレジスターに組み込まれたタイマーの機能を利用して実施できるので、4月1日の直前には大忙しであったのと併せて前年の末ころからせわしく対応してきた。
 国を運営する費用の国民負担を増やす消費税増税はこの国を安定させ豊かにすることになるかは別にして、計量器が消費税を表示するその内容を変更するという事務が発生しているので、ハカリ、タクシーメーター、ガソリン計量器を含む燃料油計、ガスメーター、電気とガスと水道などのメーターでは、増税にあわせた動きがおきた。ハカリ関係で忙しかったのは料金ハカリ関係、ラベルプリンター関係の大手ハカリ企業系列の販売とメンテナンスをする大きな事業者に限定されていた。このことは同時にこうしたハカリの流通と保守整備の実態を物語る。

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