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日本計量新報 2015年1月18日 (3041号)

測定器の選定、測定とその技術と測定値の取り扱い

 ありふれた計測器をホームセンターで扱う事例が増えている。インターネットでの通信販売(eコマース)が一般的になっていて、メーカーと販売店はインターネット市場で計測器を販売しており、売上に占める比率は上昇している。計測器が普通の人の普通の知識によって使えるようになっていればここに問題は生じない。問題があってもインターネットで計測器を買って使うことはますます増えていく。
 間違った使い方ができないように計測器に誤操作防止機能が付けられていればいいのだが、そうしたことがなされているのはごく一部であり、計測器の多くは間違った使い方をすることの危険を含んでいる。そして間違った測定値を表示する計測器が正しいと思われて使われている場合がある。
 目安程度に計測器を使うのであれば、社会的にもその人の個別の用途にもさしたる問題はおきない。これが細心の注意が必要な細かな数値を求めての計測である場合は、その細かな数値の信用性と有効性に確たる自信がないままに、測定値を世の中に出してしまうことになる。その数値の細かい方の一桁あるいは二桁は意味をなさないものであることを知らないで、数値を提示する側とそれを提示される側とが納得しあっている状態は滑稽である。計測器の使い方とそこで取り扱われる数値の信頼性と有効性を知るための教育と訓練はいまの日本では小さな問題ではあるが大きな課題である。
 弥生時代の分銅と推定される発掘物の質量を確かめる測定が日本計量史学会とその会員と関係する人々と事業者の協力によって実施された。発掘した人々の手によって測定された質量とこの測定による質量が一致した。このことによって弥生時代の分銅は質量への危惧を払拭して大事な事柄の調査と研究に打ち込む条件ができた。測定値に疑義があっては何を考えても、どのような実験をしてもそれが無意味になる。測定器の選定、測定とその技術と測定値の取り扱いに関しては、計測の関係者も今一度その基本を思い起こしてみるとよい。

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