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日本計量新報 2015年9月27日 (3074号)

統計が社会の実態を捕捉していると勘違いしていないか

人の活動の状態として物を造り、それを使ったことを数字としてとりだすことがなされる。それが経済統計などであり、計量器の分野では生産統計となる。計量器は輸出入の貿易統計などと工業会などが会員企業の生産報告を集計した工業会統計などを織り交ぜて業種としての生産高が弾き出される。
 計量器業界とその関係工業団体の数は多い。そうした計量器の工業団体に関係する企業がすべて加入しているかというとそうではない。工業会への企業の加入率を器種ごとにみると2割程度かそれ以下の状況がある。生産統計を取っている団体とそうでない団体があり、業界全体としては関係企業の加入率は2割程度と推計する。
 計量器が計量法に連携していて、生産者が計量器事業者として役所に登録などの形をとっていたころには事業者のほとんど把握することができた。計量法の検定などにかかわる器種が両手かその倍ほどに限定され、しかも事業規制の緩和ということで登録制から届出制に変更されると、計量器生産事業者を役所が把握する割合は多く見積もっても2割を超えることはない。
 そのような事情の下で数字として出てくるのが計量器生産の政府統計や工業会統計である。ハカリの事業に関係する統計であれば、修理事業といった生産費は把握されない。そして、ハカリの検査に関係する費用がここに盛り込まれない。生産統計などの数字が出ていると、それをもって日本の経済だと勘違いする。
 五木寛之氏は数字に示されるまやかしを見抜いていて、経済にしても社会統計にしても、その数字を鵜呑みにして信じることをせず、自分の感覚をこそ大事にするのだという。社会全体としての生産など、GDPが増え、企業収益が上がっていても、生活者あるいは消費者としての個人状況では景気浮揚が感じられないという状況の理解と重なる。

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