はかり全機種の総生産金額は、579億2600万円(対前年度比85.3%)。過去15年ほどの推移を見ると(グラフ参照)、96年度に900億円台を突破した後、97年度851億円、98年度768億円、99年度739億円と3年連続して減少。2000年度は780億円と増加したが、01年度、02年度と続けて対前年比減となった。その後は、ほぼ横ばいを続け、07年度は生産金額が735億24百万円(対前年比103.4%)だった。08年度は、678億9300万円(同92.3%)と減に転じ、09年度も同じ状況になった。10年度は現在までのところ対前年度比136.9%であり、回復の傾向にある。
工業用はかり、連続して減少
生産金額で52.8%(09年度)を占める工業用はかりは、1998年度が388億円、99年度は343億円で、2年続けて約10%ほど減少。2001年以降は緩やかに回復していたが、08年度は生産額368億500万円(対前年度比90.7%)、09年度305億8800万円(同83.1%)と連続して減少している。
景気は回復基調だが懸念材料も
工業用はかりは、はかり全体の生産金額の動向に与える影響が大きい。工業用はかりは生産設備として機能しており、このはかりを導入することにより省力化・合理化が推進され、また品質向上にも寄与している。一方で、景気動向の影響も強く受ける。
景気は、全体的には回復してきている。6月の日銀短観は、大企業製造業の業況判断指数(DI)がプラス1と、リーマン・ショック前の2008年6月時点での調査以来2年ぶりでプラスに転じたことを示した。月例経済報告でも、景気の基調判断を上方修正している。
しかし、懸念材料もある。中国の工業情報省は7月20日、鉱工業生産が10年下期に鈍化するとの見方を示した。内閣府が7月8日に発表した5月の機械受注統計(季節調整値)は、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額が前月比9.1%減の6929億円と、3カ月ぶりに減少した。米景気の減速懸念や欧州の金融不安を背景に、先行きに不透明感が強く、個人消費に次ぐ内需の柱である設備投資の回復基調は鈍い。
機種別の傾向
天びんは24.7%減
機種別では、天びんは生産金額が61億300万円で対前年度比は75.3%である。生産数量も約9万8000台(同78.3%)と減少している。生産金額に占める電子式の割合は98.7%。生産数量では90.4%で、電子式が圧倒的多数を占めている。天びんの生産金額が全体に占める割合は10.5%である。
台はかりは17.1%減
台はかりは、生産金額が50億7700万円で対前年度比82.9%。生産数量は12万8000台(同104.4%)と微増である。台はかりも電子化が進んでおり、電子式のはかりが生産金額で台はかりの97.0%、生産数量では97.2%と、比率が高くなっている。台はかりの生産金額が全体に占める割合は8.8%である。
商業用はかりは10.2%減
商業用はかりは、生産金額が79億9000万円で対前年度比89.8%。生産数量は25万4000台で同95.1%。電子式の比率は、生産金額では91.8%だが、生産数量ではまだ36.7%に留まる。商業用はかりの生産金額が全体に占める割合は13.8%。
家庭用はかりは4.9%増
家庭用はかりは生産金額が75億3500万円で対前年度比104・9%。生産数量は249万8000台(同111.5%)である。昨年度に続いて増加した。家庭用はかりの電子化率は、生産金額で95.9%、生産数量で76.7%。家庭用はかりの生産額が全体に占める割合は13.0%だが、生産数量では77.3%を占める。家庭用はかりには、電子式ヘルスメーター、電子式の家庭用上皿自動はかりなどがある。
その他のはかりは、6億3200万円(対前年度比80.8%)、生産数量22万3000台(同121.1%)。
工業用はかりは16.9%減
工業用はかりは、生産金額は305億8800万円で対前年度比83.1%、生産数量は3万台で対前年度比63.8%、と減少している。
工業用はかりの生産金額の36.6%を占めるのが組合せはかりで、112億400万円(対前年度比95.2%)。生産数量が約2000台(同108.2%)である。
その他の主な工業用はかりは、チェッカー56億3600万円(同83.6%)、トラックスケール31億7800万円(同66.3%)、ホッパースケール35億3300万円(同101.1%)、袋・缶・びん詰め用15億1800万円(同66.6%)、コンスタントフィードウェア12億2700万円(同55.5%)など。
クレーンスケール、大型台はかり、コンベヤスケール、フレキシブルコンテナスケールは、併せて20億4600万円になる。対前年比はすべて減少している。
その他の工業用はかりは、22億4700万円(同93.0%)。
|