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産業界、官公庁から一般生活まで
多分野で活躍するpHメーター

pHとは、水溶液の酸性・アルカリ性の程度を示す尺度。pHの測定は、物質の化学的な性質を知り、化学反応を管理するための基礎的かつ重要なプロセスであり、化学工業をはじめ、水を使うほとんどの工業、また、公共機関、農林水産関係、さらに生物医学方面まで、幅広い分野で測定が行なわれている。まずはpHの利用方法を概観した上で、ガラス電極法を用いた最新のpH計を紹介する。

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pHの測定が行われている分野の例を紹介する。

5月〜10月は細菌性食中毒のピーク

2008年に食中毒と診断された人のうち約5割はウイルス、約4割は細菌が原因だった。月別の発生件数を見てみると、ウイルスによる食中毒は、圧倒的に1月が多いが、細菌性食中毒のピークは温・湿度が高く細菌が増殖しやすい5月〜10月。まさに今の時期に注意が必要である。
 食中毒原因となる細菌としては、カンピロバクター、ぶどう球菌、サルモネラ属菌など、少ない菌数でも発症可能なものが、上位を占めている。

■上下水道
 pHは、酸・アルカリによる水源などの汚染の確認や、浄水場における薬品注入量の決定、水道施設に対する腐食性の判定など、水道にとって非常に重要な指標である。
 上水は、水道施設の腐食等を防止する観点から、中性付近の値にあることが望ましく、水道法では基準値をpH5・8から8・6と定めている。

■農林水産業
 農業関係では、農作物の増産・育成管理に、土壌、農業用水などのpH測定が重要。漁業では、pH管理は漁場や、のり、真珠、はまち、うなぎなど養殖漁場の水質測定の重要な測定項目になっているため、養殖漁場の選定のひとつの目安として、また、漁場や養殖魚などに異変があった場合に、まずpH測定を行なう。

■食品
 pH測定は“味”と“安全性”に関連している。食品には、それぞれに最も望ましいpH値があり、このpH値より異常に高くなったり、低くなったりした時には、味がそこなわれ、同時に、異物の混入など安全性に問題のあることが予想される。

■環境・公害関係
 水質汚濁を防ぐため、全ての工場で排水管理が行われている。pHは、特定の汚染度を示すものではないが、異常なpH変化が起こると、塩類化合物などの沈殿が起こり、水が濁ることがある。

■繊維
 汗など外的な要因に対する耐久テストや、染料の変色テストで人工汗の調合をする際などにpH測定を行なう。

■製紙・パルプ工業
 製造工程中に多くのpH連続測定を行なう分野。紙料の蒸解、漂白、調合、抄造などの工程で薬品の消費量を少なくし、機器の腐食を防止している。紙そのもののpHは品質チェックの目安となる。

■その他
 石油精製、メッキや金属表面処理工程、電池製造、医薬・化粧品製造等、様々な工業分野のほか、警察の鑑識課(証拠物件の鑑定や確実な死亡時刻の割り出しに使用)、ゴルフ場の芝生管理など、意外な分野でもpH測定が活躍している。

pHとは?

pHとは、水溶液の酸性/アルカリ性の程度を示す尺度。pH7が中性で、それより数値が小さいほど酸性が強くなり、それより数値が大きいほどアルカリ性が強くなる。青いリトマス試験紙の色が赤く変われば酸性、赤いリトマス試験紙が青く変わればアルカリ性である。
 酸性、アルカリ性の度合いは、水溶液に含まれる水素イオンの濃度によって決まる。
 水はH2Oという分子式で表され、実際にも、H2Oという安定した分子の形で存在している。しかし、ごく一部、水素イオン(H+)、あるいは水酸イオン(OH-)というイオンの形で存在しているものがある。水素イオンの方が多ければ酸性に、水酸イオンが多ければアルカリ性になるのである。
 pHは、水素イオン濃度の負の常用対数で求められる。pHの値が1違うだけで、水溶液中の水素イオン濃度は10倍、2違えば、100倍となる。
 なお、pHの読み方は、JIS「pH測定方法」では「ピーエッチ」と定められている。pHがJIS化される以前は「ペーハー」という読み方が一般的だったため、「ペーハー」と読む人も少なくない。

pHの測定方法

pHの測定方法には、指示薬法(リトマス試験紙など)、金属電極法(水素電極法、キンヒドロン電極法、アンチモン電極法)、ガラス電極法の3つがある。このうち最も多く用いられているのがガラス電極法である。
 ガラス電極法とは、ガラス電極と比較電極の2本の電極を用い、この2つの電極の間に生じた電圧(電位差)を知ることで、ある溶液のpHを測定する方法。ガラスの薄膜の内・外側にpHの異なる溶液があると、薄膜部分に、pHの差に比例した起電力が発生する。この薄膜を電極膜という。溶液が30℃の場合、2つの溶液のpHの差が1異なれば、約60mVの起電力が発生する。通常、ガラス電極の内部液にはpH7の液をつかうので、電極膜に生じた起電力を測定すれば、pH値がわかる。
 ガラス電極法の大きな特長として、電位の平衡時間が早く、再現性がよいこと、また、酸化剤や還元性の影響を受けることが少なく、いろいろな溶液について測ることができることが挙げられる。簡易な判定であれば、リトマス試験紙等でも事足りるが、精度は低い。JISでも、工業的測定についてはガラス電極法が推奨されている。
 次のページで紹介するpH計は、全てガラス電極法を採用している。

 

 

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