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2019年度(令和元年度)関東甲信越地区計量団体連絡協議会開催
討議の概要:4つの各都県提案議題を討議

2019年度(令和元年度)関東甲信越地区計量団体連絡協議会開催:2019年10月24日、群馬県伊香保のホテル木暮で                  

2019年度(令和元年度)関東甲信越地区計量団体連絡協議会開催、討議の概要:4つの各都県提案議題を討議

 関東甲信越地区計量団体連絡協議会(関ブロ)は、当番県の横田貞一群馬県計量協会会長と笹尾利昭同副会長(計量士部会長)を議長に選出し、4つの各都県提案議題を討議した。

横田議長が提案議題T、Uを、笹尾議長が提案議題V、Wを担当した。


横田貞一群馬県計量協会会長

 

■提案議題T:一般計量教習(資格認定コース)について(群馬県計量協会)

 木暮房雄群馬県計量協会次長が提案理由を説明した。


木暮房雄群馬県計量協会次長

【提案理由・説明】当協会では、群馬県及び特定市から「指定定期検査機関」として指定を受け、非自動ハカリの定期検査や精度確認等の事業をおこなっています。また、計量関係政省令の改正にともない、今後は民間が「指定検定機関」としての役割も担うことになります。

 ご承知のとおり、これらの事業を円滑に推進するには「一般計量士」が必要不可欠ですが、当協会では高齢化に伴い若年計量士の育成・確保が緊急の課題となっています。

 また、全国的に見ても「指定定期検査機関」、「指定検定機関」等々の民間活用において、各団体や事業所は計量士の育成に継続的な仕組みを望んでおり、県および地方計量協会指定定期検査機関職員の一定の教習参加数の確保、計量関係事業者の従業員からの応募に対応した措置等々業界全体から幅広く教習生の確保が望まれることになります。

 国家試験以外で資格取得を唯一可能とする計量研修センターの一般計量教習は、計量業界の長期展望には欠かせない存在であることから、日頃の教習事業に感謝するとともに、計量士の育成に今まで以上に積極的に取り組んで頂きますよう次のとおり要望します。

1 定員(現在40人)を満たすまで入所者の受け入れをお願いしたい。
2 入所試験の必要性は理解できますがもっと入所し易い環境整備をお願いしたい。
3 教習コースの増加(前期・後期等々)および定員の増員をお願いしたい。

 新潟県計量協会の小島秀俊専務理事が、計量士の安定的な確保のためにぜひとも受入ををお願いしたいと述べた。


小島秀俊新潟県計量協会専務理事と討議のようす

 小谷野泰宏産業技術総合研究所計量研修センター長は概略次のように述べた。


小谷野泰宏産業技術総合研究所計量研修センター長

一般計量教習が年2回から1回に変更されているのは前期の受講者希望者が少ないためであり、計量士国家試験合格者と同レベルの教育を実施するため、また教習内容をきちんと理解するためには入所レベルを引き下げられない。また、現在の計量教習センターの設備、人員、予算では、教習人数を増員するのは難しい。要望を踏まえて検討したい。

 

■提案議題U:一般計量士確保の実態と今後の対策について(群馬県計量協会)

 鈴木博久群馬県計量協会専務理事が説明した。本議題は事前に各都県から回答を得ており、回答内容の特徴等を説明した。(各都県の回答内容


鈴木博久群馬県計量協会専務理事

【提案理由・説明】本県におきましては、一般計量士の高齢化が進んでいる一方で、高年齢雇用安定法の改正により「雇用確保措置」が平成25年4月から施行されたことから、県および民間から有資格者OBを雇い入れることが難しくなり、将来の事業運営に大きな影響を与えかねない状況にあります。

一般計量士の確保には、県や民間から有資格の退職者を補充する方法と若年労働者を雇い入れ育成していく方法などがありますが、有資格者の補充ではその候補者を見つける手立てがなく、また若年労働者を雇うには生涯賃金を支払えるだけの財政基盤が必要とされます。

このようなことから、効果的な対策が見いだせないまま苦慮しているところです。

 つきましては、各都県の一般計量士確保の実態と今後の対策について、情報提供をお願いするとともに、それを踏まえて効果的な対策を見いだすべく意見交換ができればと考えています。

<参考>「高年齢雇用安定法第9条第1項」
定年年齢を65歳未満に定めている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、「65歳までの定年の引き上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかの措置を講じなければならない。

 黒坂篤志氏(新潟県計量協会)は、若い人が一般計量士の仕事に積極的に飛び込んでくるように変えていきたいと述べた。


黒坂篤志氏(新潟県計量協会)

 清宮貞雄東京都計量協会会長は、都計協では計量教習センターの教習を積極的に活用しており、計量士国家試験受験者への援助もしている。また、未来を見すえて、小学校の計量学習カリキュラムの共同開発など計量の普及にも力を注いでいると述べた。


清宮貞雄東京都計量協会会長

 小堀和弘埼玉県計量協会専務理事は、これまでは計量検定所のOBを活用してきたが、難しくなってきた。後継者がいないと事業が続けられない。現在1名若手ががんばっていると述べた。


小堀和弘埼玉県計量協会専務理事

 横田議長は次のように述べた。難しい課題だが1歩踏み出す工夫が必要である。協会で意見を出し合って取り組んでもらいたい。

2019年度(令和元年度)関東甲信越地区計量団体連絡協議会開催、討議の概要:4つの各都県提案議題を討議

 


笹尾利昭同副会長(計量士部会長)

■提案議題V:スーパーマーケット等のバックヤードで使用されている自動包装値付け機が新規型式承認を取得する場合は自動はかりとして取り扱われることについて(東京計量士会)

 小林悌二東京計量士会会長が説明した。


小林悌二東京計量士会会長

【提案理由・説明】計量ジャーナル(2019・Vol.39―1)平成30年度「自動捕捉式はかりの計量管理及び検定実機研修会」の概要報告の質疑応答の中で[スーパーマーケット等のバックヤードで使用されているオートパッカー(自動包装値付け機)の取扱いについての質問に対して、今後新たに型式承認を取得する場合、自動はかりとしての型式承認となる。]との回答があった。

≪問題点≫
 同種の特定計量器で政省令の適用が異なること

・非自動はかりの場合
 初回検定は指定製造事業者、修理検定は都道府県、使用中の検査は2年1回の定期検査(都道府県、特定市、指定定期検査機関、法25条の定期検査に代わる計量士による検査)、第128条第1項第1号の計量士による検査

・自動はかりの場合
 検定は指定検定機関(所在場所検定)、有効期間は2年、6年(適正計量管理事業所)

「自動包装値付け機は静止計量をした後、包装・値付けのみが自動化されている。」として非自動はかりとして取り扱われ、適正計量の実施に何ら問題なく現在に至っている。

 今後、新型式が自動はかりになると、2通りの対応と使用者への多額の負担を強いることになるので、使用現場では大きな問題と混乱が生じることになる。また、適正計量管理事業所における計量士の優位性が無くなるため、今後の適管制度維持に懸念が残る。

 ※上記の理由から、非自動はかりとしての運用を要望します。

 佐藤竹一郎神奈川県計量士会会長は、この自動包装値付け機は検定が必要なのか、定期検査の対象なのか現場で混乱が生じるので、非自動はかりとしてもらいたいと述べた。


佐藤竹一郎神奈川県計量士会会長

 

■提案議題W:現在の定期検査の実施方法及び今後の方向性について(群馬県計量協会)

 金井喜久雄群馬県計量協会検査係長が説明した。この提案議題も事前に都県から回答を得ており、回答状況を説明した。

集合検査にするか所在場所検査にするかは、該当の都県や特定市の事情・意向によるところが大きいと説明した。(各都県の回答内容


金井喜久雄群馬県計量協会検査係長

【提案理由・説明】本会におきましては、指定定期検査機関として平成15年度に群馬県、平成19年度から特定市となった伊勢崎市、太田市から指定され集合検査方式を中心として検査を実施してまいりました。

しかしながら、近年、所在場所検査を希望する事業者が増えており、また、本年度から指定となった前橋市は所在場所検査及び集合検査方式での検査を委託されております。

なお、精度の高い質量計等、集合検査では対応できない質量計も増えており、将来的に所在場所検査の比重が増すことが予想されます。ただ、所在場所検査につきましては、検査人員の増員等検査コストの増加が危惧されるところであります。

 このことから、指定を受けておられる各協会の実情および将来的な方向性をどのように考えているかをお伺いし、今後の参考としたいと存じますので、次の3点についてご教授願います。

1、集合検査と所在場所検査の過去から現在の比率について
2、集合検査及び所在場所検査のメリット、デメリットについて
3、今後の方向性について

 戸田哲夫茨城県計量協会常務理事は次のように述べた。


戸田哲夫茨城県計量協会常務理事

ほとんどが集合検査である茨城県の状況を説明し、全部所在場所検査とすると設備等で対応が困難であり、茨城県では集合検査主体で実施するほかはない。しかし、集合検査に持っていけないとする所在場所検査への希望は増えている。所在場所検査で実施する場合は、費用は100%事業所に請求してよいのではないか。

 橋本千晴神奈川県計量協会専務理事は次のように述べた。


橋本千晴神奈川県計量協会専務理事

神奈川県では県の意向ですべて所在場所検査である。所在場所検査が当たり前になっており苦情もない。所在場所検査のデメリットは、必要の検査員の数が増大し、費用も増大するが、体制が確保できており、予算も安定しているので、所在場所検査を続けるつもりである。

 新潟県計量協会の塩ア利平氏が、全体を通じて、協力してしっかりやってもらいたいと要望した。

 

■阿部一貴計量行政室長が講評

 阿部一貴経済産業省計量行政室長が講評した。阿部室長は概略、次のように述べた。


阿部一貴経済産業省計量行政室長

 今回の計量法令の改正で、一般計量士の質量に関する実務に必要な年数を5年から2年に短縮した。今後一般計量士の役割が大きくなることからの見直しである。

 計量教習は人材を育成していくために大切である。キャパシティの問題などがあるが、人材育成の役割を果たしていくために、産総研とも相談していきたい。

 人材の確保は大事な課題である。必要に応じて対応を考えていく。

 スーパーマーケット等のバックヤードで使用されている自動包装値付け機に関しては、そういうご意見があることは認識している。規制するためには、どこかで線を引くことが必要である。現場で混乱が生じることがないように、これからも考えていきたい。

 皆さんの意見は参考になったので、今後の行政運営に活かしていきたい。皆さんの引き続いての協力をお願いしたい。
 

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