旺盛に計量管理を実施している適正計量管理事業所 |
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【2】 | ||
適管制度を計量法へ盛り込む |
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通産省通達は「合理化と能率化は必然の要求であり企業の合理化にとって計量が不可欠である」と述べ、適管制度を計量法に盛り込んだ高徳芳忠 私が関わっています東京都計量管理研究会の歴史を調べますと、昭和25年の9月25日に通産省から各企業に計量管理について通達がきています。そのなかで合理化と能率化は必然の要求であると述べ、企業の合理化を考える場合には「計量」が不可欠であること、生産工程での計量により、数量の不明や加工の失敗による無駄を省くこと、計量管理には、計量器の管理、計量方法の管理、計量精度の管理が問題であること、の3点をあげたうえで「以上のように計量管理は、今後経済社会においては、景気の動向や企業の種類大小に拘わらず恒久的、普遍的重要性を持つものであると思われ計量法案に計量管理の一章を設ける処も此処にある」と結んでいます。 これがきっかけで東京都でも計量管理研究会ができました。東京都の有力メーカーがほとんど参加しました。 物量に劣ったから戦争に負けたという発想がありこれが計量管理につながった蓑輪善蔵 戦争に負けたときに、その原因の一つは物量である、物量に負けたという反省があったものですから、そこから始まっているのですね。 定期検査は2年に1回、対して築地市場は必要があって6カ月に1回と短周期のハカリの検査をしている 横田俊英 安斎さん。築地市場は6カ月に1回検査をしていると言われました。日常のはかりの管理はどのようにされていますか。 安斎正一 日常の管理までは私どもはめんどうを見ておりませんが、巡回検査の時に指導をしています。段ボール箱の上にはかりを置いて使ってはいけませんよ、などと気がついたことは指導しています。 横田俊英 定期検査は2年に1回です。それに比べると築地市場ははかりが水に触れるということなども考慮して6カ月に1回と遙かにきめが細かな管理をしておられる。これで安心とか安全ということを市場全体として獲得しているということでしょうね。 かつては定期検査は都市部は1年に1回だった(東京都は指定事業場は定期検査周期よりも短いスパンで管理をすることを強く指導してきた)林 紘治 昔は定期検査は都市部は1年に1回でした。計量器使用事業場制度を育成していくなかで、東京都は指定を受けた事業場に対して、定期検査周期よりも短いスパンで管理をしなさいということを強く指導していました。したがって当時の東京都の計量器使用事業場のほとんどは1年に2回検査をしていました。 横田俊英 計量器をどの周期で検査するかは技術的なことと社会的なことから決めていくことですね。 林 紘治 私も東京都の職員だった時に築地市場にいきましたが使用環境が劣悪です。はかりの消耗度合いも激しいです。昔と今とははかりの種類も違ってきていますので、耐久性にも違いは出ているとは思いますが。 定期検査周期は都市部は1年、郡部は3年に1回だった(適管事業所に6カ月に1回検査を求めるのは過剰な要求かどうか)横田俊英 昔は、計量法では定期検査周期は都市部は1年、郡部は3年に1回でしたね。適管事業所に6カ月に1回検査しなさいというようなことを求めるのは過剰な要求ではないですか。 林 紘治 かつては行政側が強く指導するという方針が打ち出されていましたから。 横田俊英 適正な管理のためには、そのような管理をしたほうがよいのでしょうね。 蓑輪善蔵 過剰でしょうか。そうは思いませんが。 林 紘治 当時は、通産省の担当部署からもそういう指示が出ていました。 2年に1回のはかりの定期検査のみで管理している食品メーカーも(計量を上手に管理すれば歩留まりが向上するのにこれをしないのは愚だ)佐藤克哉 ある食品メーカーでは、2年に1回の定期検査のみです。それで十分だという認識なのです。私はそれを聞いて、もっと自主的に研究してきちんと計量管理をしたらもっと利益が出るはずなのだが、と思いましたが。 物産展に関わる計量器については、その催事が終わるごとに清掃して「臨時検査」をしている(年間には保有しているはかりの台数の約4倍ほど検査をしている)恵田 豊 流通業界のなかでの百貨店の状況ということで申し上げます。百貨店の場合は物産展の関係が大きいものがあります。物産展等の催事に計量器を貸し出すわけですが、そこでの計量器の状況は先ほどの築地市場と同じようなものがあります。 恵田 豊 使用環境としては厳しいです。何故かというと、まずはかりの移動がその都度ともないます。はかりを落としてしまったり、はかりの上に荷物を載せたり、といった状況も起こってきます。 計量管理規程上は検査周期としては年1回以上と決めていますが、物産展に関わる計量器については、その催事が終わるごとに清掃して「臨時検査」をしています。したがって催事用に貸し出す計量器に関しては年何回の検査という決め方ではなくて、催事が終わるごとに適宜検査をしているというのが現状です。 数字を少し紹介させていただきますと、平成18年度の検査実績ですが、臨時検査に関わった計量器は延べ3475台でした。計量器の数は1都3県7店舗で約1300台ほどですが、催事に関わる臨時検査が7店舗で延べ3475台あったわけです。他に定期検査、受入検査ですとか簡易修理にともなう検査などがあります。それを全部合計しますと検査数は、延べ4738台になります。ですから保有しているはかりの台数の約4倍ぐらい検査をしていることになります。 |
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適正計量管理事業所制度にどのような指定のメリットを見いだすか |
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法的メリットがほとんどない横田俊英 これまでのお話を伺っていますと、適正計量管理事業所制度に法的メリットがほとんどないのは確かです。法的には定期検査を2年に1回実施すればよいわけです。 しかし、皆さんは必要に応じた周期で計量器を管理されている。そういうなかで、計量器が非常によい状況で管理されているということです。そして、世の中に送り出す商品の量目における間違いも非常に少ないという状況があります。そうなると法律との矛盾がまた出てきますね。 単位もわからない、計量の原理もわからないような素人ばかりでは正確計量はできない高徳芳忠 私は適正計量管理事業所の制度は必要だと思います。単位もわからない、計量の原理もわからないような素人ばかりでは正確計量はできません。製造事業者でも計量に関する専門家や計量機器を維持するシステムは必要です。 管理目標に対して計量器がどの範囲にあるか、日常的に点検されるべき(流通分野の適管事業所はいかにも法定計量に寄り添ってやっているという印象だ)森川正彦 適正計量管理事業所制度には2つの問題があると思います。 一つは、製造業を育成するには非常に役に立った制度であるということです。しかも、製造事業所の場合、多くの場合法定計量よりも品質管理上の計量管理が主題になります。法定計量で規制しているもの以外の計量器をたくさん使用しています。自ら校正して、今でいう不確かさの概念に近い考え方で製造品質の維持に使ってきました。先ほど検査周期の話が出ましたが、製造事業所でかなり安定した品質管理システムを持っているところでは、普通のラインのなかの計量器は始業点検から始まるはずです。はかりもそうですが、狂わない計量器はあり得ません。 ですから管理目標があって、それに対して計量器がどのくらいの範囲に入っているかは、日常的に点検されるべきものです。 ところが、流通分野の適正計量管理事業所は、いかにも法定計量に寄り添ってやっているという印象です。不特定多数の消費者を相手にしているわけですから、しかたがない面はあると思いますが。始業点検しませんか、と言いたいぐらいです。現代では、かつての製造業がやったような管理システムを導入する必要がある側面が出てきていると思います。 3000分の1の精度のはかりでは、3年たったら1目量はズレる(はかりは3年間は持ちません2年間がやっとだ)横田俊英 機械は壊れる、計量器も壊れる、はかりはいつも正しい状態にはありません。壊れたり、正しい表示をしない状態で計量器を使用することがないように管理するのも計量管理です。 森川正彦 はかりは必ず狂うものです。壊れるものです。それをきちんと理解して欲しいですね。はかりは3年間は持ちません。2年間がやっとです。実際にはそのはかりは使用者の手に渡るまでに、平均するとお店で1年間くらい在庫されています。そして購入してから最長で3年間は定期検査が免除されますね。その間そのはかりを全然検査しなかったら、実は大変なことになります。製品によりますが、電子回路は約2年から3年でパラメータが変化してしまいます。 したがって、一般的によく使われている3000分の1の精度のはかりでは、3年たったら1目量はズレると考えてください。したがって、私は日常的な始業点検から始めるようなしくみをつくっていって欲しいと思います。 東京都では電気式のはかりはゼロリセットをしなさいという指導をやってきました(はかりのゼロ点は変異するので必ずゼロ点の表示を見なさい)横田俊英 一般的なお肉屋さんなどで、始業点検はおこなわれていますか。スイッチを入れればそのまま、というのが多いのじゃないでしょうか。 林 紘治 一般的にはそうですね。 ただ、私が東京都計量検定所の職員の時代に、電気式のはかりの数が増えた段階で、ゼロ点というのは変異するので必ずゼロ点の表示を見なさい、あるいはゼロリセットをしなさいという指導をやってきました。 現在、計量管理をしているお店でもそのことは口うるさく言っていますし、恵田さんがおっしゃったように催事後に戻ってきたはかりのチェックでもそれらの機能を重点的にやっています。 |
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