旺盛に計量管理を実施している適正計量管理事業所 |
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【5】 | ||
売っているものはすべて適正計量すべき |
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商品量目は特定商品でないものは何の規制が計って売るものはすべからく適正な計量をするべきだという規制がかかるべきだ(商品量目の関連で法律で公差が決められているのは特定商品の分野だけになっているのは変だ)桑山重光 お店での計量に関して疑問に思っていることがあります。お総菜など買うときに、商品によって風袋容器の大きさがそれぞれ違うのに、風袋設定は一律8グラム引くようになっているようなことがあります。そういうことを指摘したい。 横尾明幸(司会) 桑山さんから提起されました商品量目の話に移ります。 林 紘治 商品量目の関連で、法律で公差が決められているのは特定商品の分野ですね。この分野は行政側も民間もかなり混乱しています。 特定商品でないものは何の規制もありません。だけどそんなことはないはずです。計って売るものはすべからく適正な計量をするべきだという規制がかかるべきです。 計量法の第10条1項に「物象の状態の量について、法定計量単位により取引又は証明における計量をする者は、正確にその物象の状態の量の計量をするように努めなければならない。」とありますが、これは努力規定です。 この10条の規定と第12条の特定商品、13条の密封をした特定商品の計量に係る規定の解釈については行政のなかでも非常に混乱しています。 蓑輪善蔵 あの文章は解釈が非常に難しいですね。あれは変更しなければいけませんねえ。 私の事業所では特定商品かどうかは区別せずに計って売るものはこの範囲でなくてはいけないと計量管理規程を決めている(計って売るものはすべからく適正な計量をするべきだ)林 紘治 ですから、私が担当している事業所では、特定商品であろうがなかろうが関係ありません。特定商品かどうかは区別せずに、計って売るものはこの範囲でなくてはいけませんよという計量管理規程を決めています。 横尾明幸(司会) あの条文は二とおりの解釈があります。計量して計らなければ表記しなくてもよいという解釈もありますし、特定商品はきちんと表記しなくてはならないという解釈もあります。 林 紘治 私は密封とはなんぞやということを論議する必要はないと思います。先ほども言いましたが、計って売るものはすべからく適正な計量をするべきなのです。 食品メーカーがまず聞いてくるのはその商品が特定商品であるかどうかということ横尾明幸(司会) 私が東京都計量検定所の職員の頃にある食品メーカーさんが相談にきましたが、特定商品であるかどうかは使用材料によっても異なります。それは計量できないのかというと、そのメーカーさんの材料は計量できるわけです。私はそれじゃ計量してきちんと表記しなさい、それがあなたの会社の安心・安全に対する信頼性につながりますよ、と答えました。食品メーカーがまず聞いてくるのはその商品が特定商品であるかどうかということです。 佐藤克哉 これはしょっちゅう改定しなければなりませんね。 林 紘治 ところが第13条は結局、小分類になっているわけです。今の法律をつくるときにはすべて中分類にするということになっていたのですが。いつの間にかどんどん細かくなっていったわけです。 消費者は行政を信頼しているので法律できちんとやっていると思ってる(しかし計量行政が十分でないことを知ると驚く)います。実情を話すと、そんなことは初めて聞いたと言います。 高徳芳忠 消費者団体は何も言わないのですか。 横尾明幸(司会) 消費者は行政を信頼しています。法律できちんとやってくれていると思っています。実情を話すと、そんなことは初めて聞いたと言います。 行政は自分たちに都合が悪い情報を消費者に出さな横田俊英 きちんと議論していませんから、わかるわけないですね。 横尾明幸(司会) 行政は自分たちにつごうがよい情報は流すけれども、自分につごうが悪い情報は出したくないですから。 林 紘治 量を計って売るということは、本来は合理性を求めているわけです。それが本当に合理性があるのか、それとも逆なのか、ということも検討されていません。特定商品なら何でもかんでも計って売らなくてはいけないというのも、おかしいと思います。 商品量目と自然減量のこと(豆腐、こんにゃく、もずく、牡蠣などの真の質量とは何か)横尾明幸(司会) 特定商品のなかでもものすごく自然減量が激しいものがあります。それまで計れというのかどうか、いろいろあります。 蓑輪善蔵 昔から問題があったのは牡蠣(カキ)ですね。 林 紘治 これは未だに解決していません。 桑山重光 昔、豆腐、こんにゃく、もずく、牡蠣の4品目について当時の計量研究所の名古屋支所で量目測定の方法を研究したことがあります。豆腐は少し傾けて測定しました。 横尾明幸(司会) 東京都計量検定所に豆腐を計る棒はかりがあります。水切りができてそのまま計れるようになっています。 森川正彦 豆腐はかりですね |
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百貨店における商品量目の適正化のために苦労している |
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いま百貨店内のお店はほとんどがテナントだが百貨店の計量士がこれの管理している林 紘治 適正な商品量目の計量に関しては、一般消費者がある程度当たり前のこととして受け止めていることは大きいですね。ですからこれこそ本来押し進めるべき適正な計量です。 では会社が企業として何のメリットがあるのかということですが、これはすぐに言えます。儲けるためです。儲けるために適正な計量をする。ぼくは必ずこのことを言います。 ところが、いま百貨店内のお店はほとんどがテナントです。そうすると一人の計量士としての発言がなかなか行き届かないのです。そのために頻繁に現場を回るのですが、そういう難しさがあります。昔はテナントではなく百貨店が直に経営していましたから、販売員も百貨店の従業員でした。今はまったく様変わりしました。従業員もほとんどがテナントからの派遣です。 蓑輪善蔵 テナントが使うはかりはデパートのはかりですか。 林 紘治 いいえ。テナントの持ち込みのはかりが多いです。恵田さんがおっしゃったように催事などに使うはかりはデパートとして用意しますが。 蓑輪善蔵 それを林さんなどが検査するわけですか。 林 紘治 そうです。 百貨店が売る商品には安心・安全に加えて信頼が求められている(百貨店の計量管理は計量器の管理よりも計量する人の教育の要素が大きい)横田俊英 百貨店が売る商品というのは高品質というイメージですよね。 恵田 豊 現在は、安心・安全に加えて信頼が求められています。 林 紘治 特に安全性は重視しています。ですから、表示なども関係してきます。 恵田 豊 デパートに関連する規制としては、計量法の他に「食品衛生法」「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」「不当景品類及び不当表示防止法」「公正競争規約」などがあります。安心・安全・信頼に関するものです。 蓑輪善蔵 デパートでは安心してものを買っています。 高松宏之 しかし、テナントばかりになると先ほど林さんが言われたようにそうも言っていられなくなるのではないですか。 林 紘治 まず従業員の交代が激しいですね。製造業ですと組織として人も管理できますが、百貨店やスーパーでは計量管理をやる組織そのものを確立しにくいという面があります。 横田俊英 テナントの従業員の指導もするのですね。 林 紘治 現場ではそうです。ところが、そのテナント会社の上層部をとおしてというのはなかなか言いにくいです。 横尾明幸(司会) 百貨店の計量士さんに話を聞きますと、いかにしてこちらの気持ちをわかってもらうかだと言います。いつも顔を合わせるようにして話せるようになったら一人前である。だけど、またすぐ人が変わってしまうとい言います。その繰り返しですね。 森川正彦 店長からして売り上げ成績が悪いとあっという間に変わってしまいますものね。 横尾明幸(司会) 言ってもなかなか素直には聞いてもらえません。 林 紘治 百貨店の計量管理は、計量器の管理よりもむしろそういうところが密度的には高いですね。 恵田 豊 百貨店の計量管理では、ハード面よりはソフト面を重視しないと成り立たないです。 商品量目の規定の解釈の難点を解消したい蓑輪善蔵 先ほどの商品量目の話に戻りますが、これは何とかしなくはいけません。 林 紘治 今の条文ではわかりにくすぎます。 横田俊英 解釈が分かれてしまうのではねえ。 横尾明幸(司会) 計量士国家試験の問題にもあの部分は出ないですよ。問題にできないですから。 |
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