日本計量新報 2011年12月11日 (2897号)2面掲載
国内需要に期待できない
震災の影響
震災は大変不幸な出来事で言葉もありません。その後のEUのソブリン問題・中東の政情不安・トルコの地震・タイの洪水と重なる政治・経済の激変で世界中が激動しています。各国とも輸出振興と雇用の創造になりふり構わない政策を執っているように感じています。特に円高はその影響が如実に現れていると思います。
従来、わが社は官公庁向けの売上げが全体に占める割合が比較的高くなっています。今回のように予想外の大震災が起こりますと、復興・復旧の緊急予算措置が必要になるため他の設備予算が少なくなってしまいます。したがって、毎年秋には来年度以降用の予算用見積もりの依頼がまいりますが、今年は激減しています。来年度以降の景気の予想が立たない状況です。また、震災前までは景気も持ち直しの様子が見えていましたが震災後価格の下落が一段と厳しくなっている様に感じています。一部では復旧から復興の段階に入っている分野も有りますが、現在地にそのまま工場を再生させているところはあまり聞きません。工場の海外移転とか、企業の統廃合も進んでいるようです。全体的に不況が拡がるのではないかと心配しています。ここ3、4年が勝負の年ではないかと、気を引き締めています。
海外市場に注目
−−アジア市場への展開はいかがでしょう。
海外市場には、今まで以上に注目して行きたいと思っています。
アジアからの引き合いは増えています。
まだ大きな成約はありませんが、中・小の契約・納入は増えてきています。
韓国の営業所も 充実
韓国の営業所を移転しました。今までは間借りの事務所でしたが、きちんとした事務所にし、人員も増やして本格的に営業活動をしています。簡単にはいかないでしょうが、今後の発展が楽しみです。
韓国市場には活気があります。例えば、プラントなども、韓国を拠点に中国をはじめ世界中に進出するという形態が多いように感じています。また韓国では、設備投資も盛んで、基幹産業である製鉄業が元気ですから仕事は多いようです。なにより面白く感じていますのは景況に対して大変、敏感に大胆に反応することだと思います。最近では太陽電池の設備投資の見直しが急展開しているようです。
円高の影響
−−円高の影響はいかがですか。
わが社の輸出の割合は未だ少ないので基本的には円建てで進めていますが、価格的には厳しいですね。影響は出ています。円高は作られているように感じるくらい高いと思います。
新たな需要に期待
−−新しい需要はありますか。
注目のバイオマス
原子力発電所の新規設備だけでなく維持が難しくなってきていますね。そうすると新しい形の発電機器の開発が必要になってきます。太陽光とか、バイオマスとか、風力とか、いろいろ言われています。
鎌長製衡は、このなかでバイオマス発電用の機器の拡販に注力しています。
森林バイオマスのシステムを提供
多種多様なシステムのなかで、とくに森林バイオマスをターゲットにした機器を開発・拡販しています。森林ですからきちんと管理すれば、ほぼエンドレスで燃料を供給出来るわけです。木片だけでは熱効率が悪いという問題で、廃タイヤの破片やコークス、廃プラスチックスと混合して燃焼します。このようなプラントは技術的にも確立されており、すでにたくさん稼動しています。今後、これがさらに大規模化されて増えていくと思います。
チップをつくってストックするサイロ、サイロに蓄えるために各地から集めて来たチップを降ろす際に、これまでは手作業でやっていました。これでは時間はかかりますし、危険です。そこで、チップを積んだトラックを載せたまま私共のトラックダンパースケールを使って、計量して降ろし、サイロにストックします。そこから定量的に計って切り出す装置が必要です。
また、木材チップと混合して燃やすわけですから、最も熱効率をよくするために何種類かの混合物を重量制御します。鎌長製衡は、これらをシステムとして提案しています。また、バイオマス発電は、森林だけでなく建築廃材も利用します。そうすると、産業廃棄物の業界ともタイアップする必要があります。これらの道筋を整理するためには行政の力が必要になります。
これらの、バイオマス関連の需要が伸びて、引合いも増えてくるのではと期待しています。
東京支店を移転
奇しくも130周年という節目の年に東京支店を、以前の千代田区神田神保町から、現在の日本橋に移転しました。直接的には震災の影響で、以前のビルの耐震強度に問題があるからなのですが、これを機会に、人員も増強し、営業力をさらに強化したいと思っています。東京支店は今年、過去最高の売上げになりそうです。
−−ありがとうございました。
(おわり)
左から木材リサイクルシステムのツインカッターESCとハンマー式粉砕機EHC、トラックダンパースケール
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