日本計量新報 2011年11月20日 (2894号)2面掲載
世界的な販売、世界的なサービス
地球に「ハチマキ」
――長野計器は世界的に展開していますね。
私どもは、2006年から米国の子会社であるアッシュクロフト社と一緒に事業を展開しておりまして、日本の長野計器と米国のアッシュクロフトの二つを合わせると、今のところ世界的に16カ所の活動拠点があります。
その中で、特に工場は日本と、アメリカのコネチカット州ストラットフォード、それとブラジルのサンパウロ、ドイツ、中国にもあります。
アッシュクロフト社の販売店では、シンガポール、サウジアラビア、ベネズエラ。長野計器としては、日本の他に中国、韓国、ドイツに拠点があります。ヨーロッパはドイツ主体に製造販売をしている状況です。
当社の場合、たまたまですが、世界地図を見ますと、ちょうど地球にハチマキをしたような形に活動拠点を持っているので、お客さまへ24時間対応が可能です。この強みを生かして、ハチマキを結ぶ各会社を拠点として、事業展開をしていこうと思っています。
地産地消が基本
基本的な形は、やはり「地産地消」ですね。部品は「グローバル購買」ということで、やはりアジアなど、安いところで作って仕入れますが、製造は販売する場所で作るのが一番いいのではないか。特に中国や南米では現地での製造・販売を進めています。
円高ドル安、あるいはブラジルの通貨であるレアル高が、経営に打撃を与えていますので、そういったことを回避するためにも、現地で作って現地で売るという方向でいかなければダメなのです。
日本から輸出すると、どうしても価格が高くなってしまいますね。
影響の度合いが読めない
現在、国民の総中流意識化が進んでいますから、欲しいものがありません。この間不況で我慢していましたから、その反動があるだけです。それに、エコカー補助金の廃止、エコポイントの半減の影響がありますから、回復基調にある経済にも当然歪みが来ます。この影響の度合いが読めないのが現状です。
経営は現地で
経営は、現地の人間に任せています。日本と文化も風土も違いますから、それぞれ現地の人間に任せた方が良いということです。日本とは仕事の進め方もかなり違いますからね。海外ではかなりトップダウン的な進め方が多いですね。
ただ、基本的な考え方、方針というものは伝えなくてはならないので、日本の本社の意向を伝えながら、現地の状況を加味して仕事を進めていただくというふうにしてきました。それが、これまでのところうまくいっている感じがします。
海外では利益を見込んでくれる
海外のユーザーは、ある程度こちらの利益を見込んでくれるところがあります。「企業をつぶしちゃいけない」という考え方があるようですね。良いものには妥当な価格を付けてくれる場合が多いですね。
――海外の方がもっとシビアかと思っていましたが。
安いものは安いなりに考えているところがあります。
たとえば、安価な中国製品も使っていますけれども、それで品質に問題があった場合は元に戻す、という発想があります。
コストダウンした場合は、「何をしたからコストダウンができたのだ」ということが重要になりますよね。その辺りをしっかり見極めて、お客さまにも理解していただければいいと思います。
逆に、値上げする場合でも、材料費が値上がりすると、その分販売価格も上げてくれるのですね。「材料費が上がったのであればしょうがないだろう」と、そういう文化があります。日本の場合だと、「企業努力で何とかしてもらいたい」という話になってしまって、なかなか転嫁できないですけれども。
サービスも充実させる
私どもは日本のものづくりの会社ですし、「良いものを作らなくてはならない」という考えが基本にあります。しっかりしたものを作るのは、日本の強みでもありますから。
しかし、良いものを作っただけではお客さまは付いてこないのですね。お客さまに対する「サービス」についてもしっかりした考え方と実行力を持っていないとダメだと考えています。
まあ、サービスにもいろいろありますけれど、お客さまのニーズに対して早く応えられるということが一番なんじゃないかと思いますね。商品に対してもそうですし、何か問題が生じて困っているお客さまにも、できるだけ早く対応できることが重要だと思います。
世界の拠点から 迅速に対応
――サービス面でも、長野計器から全世界に発信していくということですね。
ええ。先ほど言いましたように、地球にハチマキするように活動拠点がありますから、各拠点から回答します。
たとえば、アメリカと日本では昼夜逆転していますよね、そういった場合に、今稼働している拠点から連絡することでいち早く対応ができる訳です。
アジアの場合は、多少時差を考慮するくらいで対応できますけれども、やはり欧米の場合は現地の対応が重要ですね。アメリカは、南と東西に拠点がありますので、より細やかに対応できると思います。
円高をどう乗り越えるか
今、私どもが一番困っているのは円高の問題ですね。早く適正なレートになってもらわないと。いろいろ工夫はしているのですけれど、日本の企業全体が冷えてしまえば、私どもの製品への需要もなくなってしまうということですから。ぜひ、日本の企業に活発になっていただかないと。
当社は拠点が世界的に広がっていますので、その利点をうまく利用していくしかないということですね。
会社概要
【会社名】長野計器株式会社
NAGANO KEIKI CO.,LTD.
【代表取締役社長】依田恵夫
【資本金】43億8000万円
【創業】1896(明治29)年5月1日
【設立】1948(昭和23)年12月21日
【所在地(本社)】〒143−8544、東京都大田区東馬込1丁目30番4号、電話03− 3776− 5311、FAX03−3776 −5320
【従業員数(連結)】 2031名(11年3月31日現在)
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