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日本計量新報 2008年5月18日 (2724号)

優れた人をみて感動することができる人は優れた人である

人も組織も企業も知恵ある者が社会の適者となる時代である。さまざまな要因と経緯によって栄えていた企業がその繁栄をつづけていくことは容易(たやす)くない。 
 計量計測機器を製造し、あるいは販売している事業者にしても昔と今とを比較すると今昔の感ありと思わされることが多い。社会の生産力は中級の技術要素の分野では飛躍的に発達するものであり、それが量産技術となって社会に定着すると企業間競争が激化する。その技術力の伸びは市場規模の拡大をはるかに上回るのが普通であるから、その市場に残ることができる企業は少数となる。計量計測機器産業の一部の分野を除くほとんどの分野で寡占化が進行しているのはこのためである。変わる社会と変わる時代に対応するのは知恵である。
 人の知恵を集め、企業の知恵に仕上げて事業を推進するのであり、人の知恵こそが事業を成功させる礎(いしずえ)である。その人の知恵も企業の歴史や風土そして体質などと融合してこそ企業の知恵となるものであり、経営責任者と経営陣は知恵の集合のまとめ役であり、同時に知恵を発揮するための先導者である。したがって、その企業の将来を決めるのは経営責任者の知恵であり、総合すれば経営責任者の人格である。小さな成功に満足してその成功の繰り返しだけに望みをかけて、市場の将来を見つめようとしない経営者の事業は先細ることが多い。ものを考えるに独善的であったり、思考力がある時期を境に停止してしまうどころか大きく後退したり無思考状態になっている人をよく見かける。
 使わない脳は衰え、長く使っていなかった能力や技術も後退する。第2次世界大戦のおりにソ連に抑留され、そのままシベリアの地に居残った日本人が日本語を話すことも聞くことも忘れていることが多いのはこうした事情による。20代までは記憶力と思考力に秀でていた者が、30代、40代になると輝いていた能力が失われてしまっているという事例も多い。企業活動の目的の一つとして永続性を掲げていることが普通であるので、企業にあっては一瞬の間に輝く能力だけではなく、永続的に確実に機能する能力を維持確保するための組織体制をつくることは大切である。
 計量計測の世界では大学教育の場面で教育と経営の両面で意欲的に働き、成果を挙げている偉人がおり、この人は常に前向きであり、年かさが進んでも好奇心も旺盛、人との連携と融和の術にも長けていて、そうしたことの全体が人格となって人に慕われている。新潟方面の企業経営者、東京地方の小・中・大の企業経営者、同様に近畿地方や四国地方、そして北海道、東北、関東、津中部、中国・山陰、九州・沖縄の各地方に優れた経営者がいる。身近にいる優れた計量士、公務員ほかの人と経営者などからさまざまなことを学ぶことができる人は、同時にまた優れた人である。


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