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日本計量新報 2009年6月28日 (2779号)

計量器を製造・販売する側と買う側の情報の溝を埋める道

世の中の人々が計量と計測のことを思い浮かべることと、計量計測の世界に身を置く人々が、計量計測機器を製造したり、それを販売したり、取り扱ったり、その他検査をすることとの間には、浅くない溝がある。これを、計量器を買いたい側と売りたい側の溝と見なすと、この溝を埋めることこそが販売の実現ということになる。
 計量計測の世界に身を置く人々と、その中の様々な計測器を造る人は、このような計測器があることを知らない人々が沢山いることをあまり意識していない。あなたが造っている計測器のことなどてんで知らないよ、という人々がほとんどであることを考えないでその計測器を造って売ろうとしていることを認識するべきである。片やその計測機器があることを知ることができれば、たちどころに購入の手続きとなる。男と女の間には両者を隔てる川が横たわっているという、ある歌の文句は、計量器のビジネスの世界にもそのまま当てはまる。

 かつて、小さな企業が自社製品を広く知らせることは難しいことであった。自動車や家電などは、テレビやラジオや新聞紙上を通じて製品イメージを購買層に注入することができる。エコカーとして社会の話題になってマスコミがこぞって取り上げると、トヨタのハイブリッドカーのプリウスやホンダのハイブリッドカーのインサイトなどは宣伝しなくても顧客の側が相当量の情報を入手して、その車のイメージをよい形でつくりあげる。このような場合の情報の溝は小さい。
 買いたい、使いたい側がその計測機器に対する情報を充足するための道具として、インターネットは便利な働きをする。その計測機器の情報発信はそれを製造するメーカーが行うのと平行して、それを売りたい販売代理店や販売者も、メーカー以上の意欲を持って情報を発信するべきである。その計測機器の情報発信は複合的かつ多角的・多面的に行われる。「プリウス」という用語検索でトップにくるのがトヨタのwebサイト(ホームページ)ではなく、新聞社や販売店のそれであったりウィキペディアであったりする。
 計量計測機器の販売と購買の間の溝を埋めて双方の望みを実現する道具として、インターネットは重要な働きをする。この働きをよりよい形で実現する者は社会の適者となる。

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