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日本計量新報 2009年8月30日 (2787号)

パソコンと人の融合性の推進は情報社会を真に花開かせる

 電子メールの送受信ができないという状態に陥ると、仕事ができない、ビジネスが滞る、という事態になってしまうのがインターネット時代の2009年である。インターネットを通じた情報の受発信ができず、社内の会計や事務用のコンピュータが故障などで機能停止すると、どのような仕事もビジネスも推進・運営ができなくなる。
 大きな地震は道路や家を壊す。道路が陥没したり橋が落ちると、自動車による物資の輸送や人の移動が困難になる。モノの形をとった情報の通信も途絶える。発電と送配電設備に被害が発生して有線の通信回線が寸断されると、電話や電子メールはほとんど使えなくなる。

 個人でもそうであるが、企業にとって大事な電子データは、パソコンの破損と同時に破壊され消滅するような事態にならないように、バックアップをとって適切に保管しなければならない。パソコンが壊れても電子データは確実に残るという仕組みをつくって、これを実行することが企業の地震対策の要である。
 「ある人」は3台のパソコンを使っている。事務所に1台、住まいにメインとサブの2台のパソコンを備えている。文書や写真の電子ファイルは2台の外付けハードディスクに保存している。
 この事務所で起きた電子ファイルのトラブルに次のようなことがあった。
 細密な業務を持ち前の1つとしている人のパソコンに故障が起こり、データを保存するハードディスクが修復不能になった。長年溜めてあった貴重なデータは消えてしまった。印刷した論文とそれを保存して配布したCDが残ったために、いくつかの業績は電子データとして残された。パソコンのハードディスクだけに保存していたデータは回収不能になった。そのデータは、その人にとって生きた証でもあったから、掛け替えのないものを失ったことになる。
 そのような教訓を踏まえて、旅行などに持ち運ぶのに便利な携帯型のノートパソコンを4台目として入手したのは上記の用心深い「ある人」のこと。老眼の進んだ知人がもてあましていたので、1万5千円で譲り受けた。
 スティック状のイー・モバイルを差し込むと、パソコンが自動的にインターネットに接続する手続きをして、5分ほどでインターネットを見ることができるようになった。
 ところが、電子メールの手続きをしようとするとどのようにしても@(アットマーク)が表示されない。取扱説明書のないこのパソコンと格闘すること丸一日。アットマークを表示する機能にバグがでていたことがわかり、キーボードドライバーをインターネットを通じて入手して、インストールすることでこの問題は解決した。
 その後に発生した問題は、ある特定の電子メールでの通信が「原因不明で」できないことである。

 機械としてのパソコンはさまざまな働きをする。その機械と人間との良い関係、すなわち共生ができている人は決して多くはない。イー・モバイルが通信を自動的にセットアップするように、パソコンの機能の発達で機械の側が人に寄り添う度合いがいくらかは進んでいる。
 その一方で、「学ばない」「学ぼうとしない」「学んでも分からない」といったパソコン弱者と、パソコンやインターネットとの距離は決して近づいていない。
 半導体がムーアの法則にしたがってあげるその能力をパソコンが人に親切に寄り添う方向に振り向けることこそが、情報社会を真に花開かせる。

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