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日本計量新報 2012年3月4日 (2907号) |
流行言葉に観る虚しさと事後既成の概念近頃 「安心・安全」という言葉をよく耳にする。行政に従事する公務員や、選挙で選ばれた議員などがよく使う。ビジネスの世界でも、この言葉を使えば物事のとおりが良いということで枕詞として大流行である。しかし、原発事故を起こした当事者たちの口から「安心・安全」という言葉が発せられると、時代の流行言葉の無意味さと虚しさが露出する。 辞書で「安心」を調べると「安心とは、気にかかることがなく心が落ち着いていること、またそのさま」(大辞泉)ということである。安心は仏語でもある。「あんじん」と読み、仏法の功徳によって迷いがなくなった安らぎの境地、あるいは阿弥陀仏の救いを信じて浄土往生を願う心のことである。安心と立命という言葉が結びつく「安心立命(あんじんりゅうみょう)」の意味は、人力を尽くしてその身を天命に任せ、どんな場合にも動じないこと。またここにおける「安心」は仏教語で、安らぎを得、落ち着いた穏やかな心に達した究極の境地をいい、涅槃(ねはん)と称する。安心は人によって与えられるのではなく、自ら求めて涅槃の境地にはいることである。安全には深い意味はみてとれない。文字通りに受けとめるとよいがその「安全」に安易に「安心」を結びつけるところに、いかさまがみてとれると思うのは歪んだ見方だろうか。 事後規制の正確な概念と意味を知ることが大事ではあっても、取引と証明に関係する計量行為が適正に実施されるために計量法の規制が成立し、それを行政が実施しているのである。 |
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