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日本計量新報 2013年5月12日 (2963号)

王は徳をもって立ち、その下に賢将がいれば、物事が徳望によって行われる

会社の社長が元気で能力もあり指導力もあるから、率先垂範ということで何でもやる、そして会社が発展するということはよくある事実だ。会社が小規模であればこの方式が望まれることでもあるだろう。そうした企業でも元気な社長の下に、優しい思いやりがあり如何にも人徳者然としたふるまいをする専務や副社長がいる場合があり、ときに社員の信望が専務や副社長に集まることがある。人徳者然とした人はそれが個性であり普通にふるまえばそのようになってしまうのだとしても、社長を補佐する立場の者はその逆のことをしなければならない。
 松下幸之助氏は「社長は徳、副社長は賢」とし、「王は徳をもって立ち、その下に賢将がいれば、物事が徳望によって行われ、企業の経営についても同じことが言える」と述べている。松下氏もどの会社でも総じて社長が積極的で、副社長は女房役ということが多きことを認めている一方で、望ましいのは会長あるいは社長の最高首脳はおだやかで、次席がばりばりやることだとしている。つまり社長は人柄をもって立ち、副社長などは実行力を大いに発揮することがよい。似たような性質をもった優秀な経営者が二人三人いたとしても最高首脳の立場にある者には人徳をもって立つようにするために、次席の者はあえて別のふるまいをするように務めよ、ということでもある。
 経営においても団体運営についても人の組み合わせは微妙なものである。最高首脳よりも人徳および能力が優れていると思われる次席などが、最高首脳にならずにその下の者がそれを超していくということがよくあるのは人の組み合わせによるものであり、結果として経営はその方が上手くいくことが多いようだ。
 団体運営における最高首脳とその次席、そして事務局の役割などに関係しても松下幸之助氏の説く、徳をもつ社長と賢者としての次席のことを考えてみるとよいであろう。
 徳も賢もない人が最高首脳におさまることがないとは言えないが、その任期中にあっては次席と事務局で最高首脳に徳があるように補佐することである。人はよく見ているからやがては徳のある最高首脳を迎えて、賢者である次席を配置することになる。

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