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日本計量新報 2013年5月26日 (2965号)

法律の規定とそれが実現しない状況の理解の仕方

東京都千代田区神田にある首都高速道路竹橋出口の一般道への合流には一時停止の標識があり、これに従わなければ違反である。しかし、見通しのよい合流点であるから一時停止する車はおらず、後続車も合流状況が見えているから車間を詰めて後に続いており、一時停止すると追突事故が発生する。この場所で神田警察は頻繁に違反を摘発していた。一時停止義務づけの違反で停められていた運転者は延々2時間も抗議をしていて、このことがあってしばらくして竹橋出口の一時停止標識が撤去された。
 見通しがよい信号機のない交差点に一時停止標識がある場合、警察はここで交通違反の取締りをして点数を稼ぐということをよくする。同じように長い橋の上の道路で左右からの危険がない場所に低速の速度制限をすることで速度違反をさせて反則切符を切る。地元自治会から苦情が出ても改められないことが多い。警察の速度計測用のさまざまな計測器の正確度の確認には、計量法は直接は関与していない。重量計測用の一部の計量器も同じである。取引と証明に関係する計量に計量法が関与している分野が多いのでこの理解に悩む。世の人の善悪に対する感情は変わる。昔は悪いと思っていたことが今では良いのではないか、というようになっていることが多々ある。逆のことも同じようにある。飲酒と運転の関係などはその一例である。
 法律は世の中のしくみの維持のためにつくられて運営される。世が変われば法律と食い違うので法律が変わることがある。計量法の明確な諸規定と地方計量行政の実態の大きな乖離に対して、計量法が規定の実行を強く迫らない状態がつづいている。ハカリの定期検査の実施のことでだ。地方計量行政がハカリの定期検査を本気でしない体制になれば、ハカリの定期検査の実施率は現状の5割程度からさらに下がって4割、3割、2割、1割となり、ついにはハカリの定期検査を実施しない地方計量行政機関が増えることになる。ハカリの定期検査を実施する体制がとれない地方公共団体は、事実上このような状況になるだろう。ハカリの定期検査を完全に実施する行政費用を用意しない地方公共団体のあり方を、どのように理解したらよいのか。

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