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日本計量新報 2013年7月21日 (2973号)

役所は人々が働くのを助け、ときに少し調整するだけでよい

役所の人が民間の団体の会合ほかの場所にでむいてのあいさつのなかに「民間活力」という言葉があると非常な違和感にドキリとする。「民間の皆さん」という追い打ちの言葉がでると苦痛に身を捩る。NHKは県庁所在地では県庁や県警本部などの隣に位置して、「報道機関」と呼ばれる。行政と警察が発する広報などを報道するのがその中心任務になっているようだ。警察が発表する場に呼ばれると、「警察への取材で明らかになりました」というから、ものは言い方によってなんとでもなるものだと閉口する。ともかく、いまの時代は役所が経済活動を指導したり、産業を発展させるという機能は実際には消えている。ある人は「役所は邪魔だけはするな」と発言する。NHKとは逆のことを印象づける。役所は人々が働くのを助け、ときにそれを少し調整するだけでよい。
 選挙で大勝した人は威張る。ついつい威張りたくなるのだろう。それがまた滅びの引き金になる。国会議員の職が恋しくなり、もしかしたら密かな思いを抱いていた内閣総理大臣の椅子に座ることができるかもしれないということから、都知事を任期途中で辞めた人がいる。しかし、国会議員となり、会派の代表となってからは、そのカリスマ性にも陰りがみえてきた。また、その国会会派も勢いを失ってきているのではないか。
 「猪瀬くんで十分じゃないの」と侮辱めいた言葉を投げられた当の本人(猪瀬直樹氏)は圧勝して東京都知事になって、張り切りすぎるあまりにオリンピック開催都市に立候補している競争相手を中傷して危うい状況になったものの、その相手が暴動などでコケかけているので、失点が消えたかもしれない。
 戦後まもないころの通産省の職員の数とその働きを知っているトヨタ自動車5代目社長豊田英二氏は、その後の通産省の組織の膨脹ぶりに驚き、そしてその仕事内容の質の凋落を自伝のなかで指摘している。1970年代以降に政府や各省庁が打ち出した政策のうち成功したと認められるものがどの程度あるだろう。カタカナ言葉によって表現された政策はどのように消えていったのだろう。その政策の成果を多くの人は確認することができない。現在もまた政府の各省庁には立派な公務員がいて、そこで立てた政策を声高に大勢のまえで語る。事業仕分けでスーパー・コンピュータのあり方を「2番ではいけないんですか」と述べた人のハイテンションに驚いた人は多いとはいえ、省庁がつくる政策の是非はいつでも事業仕分けしたい対象である。
 環境省などは時流を背景にして要らないと思われる政策をつくって行政行動をしているようであり、その一方で自治事務に変更された計量行政の重大な事務のひとつであるハカリの定期検査の実施は、現場を知る計量士の何人もが指摘しているとおり実施率5割程度であり、この状況は行政の怠慢の結果である。それは行政機関による計量法の施行違反そのものではないのか。

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