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日本計量新報 2013年11月10日 (2987号)

測ることとその目的実現にまで踏み込む行動

安倍晋三首相が「美しい国日本」と述べてもピンとこなかった日本の人々である。腸の病が癒えて、強い言葉が使えるようになり自民党総裁に復帰し、国政選挙で支持を得て内閣総理大臣に再度就任した安倍晋三氏は、偶然にも株価の値上がりと円安、そして日本経済の上昇気配という状況が出現したために、その後も高い支持率は高い。
 旧長州藩の武家を先祖にもつ安倍晋三首相は、長州藩の始祖である毛利元就の三本の矢の逸話を経済政策に敷延(ふえん)し、アベノミクスと銘打って宣伝したために日本人は何となくそういうことになるかな、という気分になっている。ドルを限りなく印刷して国債を日本などに大量に買わせてまで、経済を膨らましているGDP16244.58(10億USドル)で世界第1位の米国のやり方では、ドル価格が50円になる(浜矩子著『1ドル50円時代を生き抜く日本経済』)と揶揄されるほどに、内容に怪しさがある。GDP8221.02 (10億USドル)で世界第2位の中国は輸出の陰りなどを補うために、通貨供給量を極度に増大させており、みかけの経済繁栄は実質の需要と釣り合いをどのようにとるか、大きな不安要素である。中国国家統計局は2012年GDPを前年比7.8%増の51兆9322億元(日本円で約753兆円)と発表している。
 GDP5963.97(10億USドル)で世界第3位の日本は、国家財政の累積赤字の増加、人口減少など負の要素をもつなかでも、相対的な安定性が眼につくようであり、これを着眼点として国際マネーが日本の株を買った。しかし日本株を買うその姿勢は株価を上げて売り逃げるということを目論んでいることを警戒するのが至当であろうか。日本の2012年のGDPは名目で476兆円、実質で520兆円という資料があり、先にもあげた5963.97(10億USドル)という数字は世界第3位であり、米国は日本の2.7倍、中国は日本の1.4倍である。国には紙幣を印刷してこれを配るという機能と権限があり、さまざまな形で米国も中国もこれに類することをして、経済の規模を膨らませている。首相の地位に戻ってきた安倍晋三氏がしようとする政策内容はこの要素が大きいように思われる。GDPの取り方は単純ではなく、いろいろな数字がでてくる。中国の経済統計はその裏付けがないものであるので、おぼろな数字としてとらえるとよい。
 米国における第2次産業の就業者数の比率は、1920年から1970年にかけての50年間、30%ほどであった。日本では1970年から1990年までの20年間は米国と同様に高い比率であった。米国に20年ほど遅れて日本の工業社会が形成され、頂点も20年遅れた。日本の工業社会におけるモノづくりは、鉄鋼、家電、自動車などであり、それにつづいてエレクトロニクス、コンピュータ、IT関連が華やいだ。
 第2次産業の発展が工業化社会を形成したが、この分野の産業社会そしてGDPに占める比率はこの後低下する。工業分野ではソリューションという普通の人には意味不明なカタカナ語で表現される事務と物流と工場と農業と漁業などの諸産業の設備分野が日本人の技能と思考特性などから、ひきつづき発展できる分野と想定される。また家族が家族の老後などを世話できない社会形式に移行した日本では、介護・ケアーといった労務が産業化されて、この比率は高まっていく。団塊の世代が生産人口から外れ、これらの人々の老後の世話や介護を子どもたちがしないとなると、社会における労働の大きな部分がここにとられる。
 測ればわかるけれども、わかってもそれに対応しないという体重測定と体重管理における人のだらしなさを解決するために、よい形で食べて健康を維持増進させることが事業になっている。耕耘機、トラクター、田植機などによって、農業分野における労力の低減がされたのとあわせて、生産物の選定、価値付け、計量・包装などの技術が開発され、関連する設備がつくられている。日本の計量計測機器産業は生産統計の項目に挙げられている品目の伸びが緩い。統計項目にないか、直接に当てはまらない分野の製品は、生産の報告がでないということなどもあって、計量計測機器の生産にならない。この分野は隠れた計量計測機器産業であり、成長分野であることが少なくない。複雑になった機械であれば、その維持と整備には10年経過すると生産費用(購入費用)と同等の費用が投入される。この分野が計量器産業における生産統計や経済統計に表出しない。

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