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日本計量新報 2014年4月13日 (3006号)

不都合なことをみないことは今を上手に生きるすべだが

春一番に咲くのは梅の花である。桜の季節になると衣を一つ外すほどに気温が上がり人の心は弾む。奈良時代の花見は中国から伝来して間もない梅の花をみることであった。平安時代になって、812年(弘仁3年)嵯峨天皇が桜の花をめでる「花宴の節(せち)」を催したと『日本後紀』に記されている。天皇が催す観桜会と観菊会が1880年ころから始まり、これが春の園遊会と秋の園遊会として今もおこなわれている。春の園遊会は4月20日ころであり、東京は八重桜の季節だ。豊臣秀吉の醍醐の花見は4月20日(旧暦3月15日)であった。参加者は男は嫡子秀頼と前田利家だけで、ほかの1300人は女であった。秀吉は5カ月後に死亡する。
 ガンを患って代々木公園近くの病院で過ごしていたある人は偶然にも豊臣秀吉と同じような時間の経路で死んだ。車いすで付近の桜の花をみたこのころは容態が安定していた。この人は親族の者と一緒に医師から何度かガンの状態と治療法の説明を受けていたのに症状が悪化すると「俺は死ぬのか」と周りの者に聞いた。この人が医師の説明を聞いて理解していたのか、聞こえていても別の理解に置き換えたか、聞かないことにしたのかわからない。おそらく後の二つのことである。人は自分に不都合なことはそのままには受け入れない。ガン、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病に、新たに精神疾患を加えて5大疾病(しっぺい)とすることを厚生労働省が決めた。職場でのうつ病や高齢化にともなう認知症の患者数が年々増加し、国民に広く関わる疾患として重点的な対策が必要だからだ。
 うつ病の罹患者は世界で3億5000万人いる。心の拒絶症がうつのようである。現実にまともに向き合うと心がつぶれてしまうので、これへの防御対応である。
 うつ病の発症にまではいたらなくても、現代の職場にはストレスが多いし、まだ仕事に習熟していない新入社員などは目前の課題が大きすぎて、どう対処したらよいかわからなくなることも多い。みるべき物事やなすべき物事は細かに分解して、段取りをつければ、容易に処理できる。これがぼやけたり、やたらに大きくみえるから、逃げてしまう。段取りをして簡単な行動にして指する。それができたら褒める。そうすると自信がつく。ということではあっても単純にはいかない。
 しょげて総理大臣の職を退いた安倍晋三ならびに麻生太郎の両氏は、総理大臣あるいは副総理大臣の職に戻ったら、野党議員のどのような質問にも怖じけないどころかヤジを飛ばす議員を恫喝してこれを制するほどに元気だ。自信なのか地獄をみた者の強みか、あるいはヤケなのかははっきりしない。
 計量計測の世界は世のなかと良く調和して元気溌剌と活動している。元気な企業や職場はそのようになっている。やたらに増える福祉関連、環境関連などを行政に取り込むことで、行政費用が不足したために、割を食っているところは計量行政だけではないのだろうが、この分野をみている者にはそのようにみえる。ハカリの定期検査は完全に実施していると思っていても1割か2割は漏れていたのがこれまでの状態であった。これが3割4割5割になっているとすれば他のことなど考えていられないほどの大問題だ。ハカリの定期検査漏れを無くすということを理念として、これに対応するために段取りをつけて、何年かの計画で対応することが求められる。このことに執念をもち情熱を傾ける人々が少なからずいる。

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