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日本計量新報 2014年8月31日 (3023号)

計量管理、品質管理、品質工学の言葉の意味がわからない

堅牢で精密そして高機能という言葉を高品質という事柄に対応させているのが現代人の品質という言葉への感覚であるようだ。その後に管理の文字をつけると「品質管理」となり、堅牢・精密・高機能をつくりだすための魔法の技術として、テレビコマーシャルにこの言葉が使われる。それを強調するため「徹底した品質管理」とやってしまう。
 その徹底した品質管理があるから黒酢(くろず)の効用が増し、焼酎が美味しくなるのだという。このような論理の裏側にやましさを見て取れればよいが、単純な論理形式を覚えることを学校で強要されている現代の人々はコロリとやられる。
 モノつくり、あるいはサービスの提供の場面において、計測がどのようにかかわって、それとどこかで結びつく品質の管理をどのようにかして、そうしたことの総合として、望ましいモノとしての商品と、サービスとしての商品を提供することになる。
 計測の方面には、計測管理とか計量管理という言葉がある。品質の方面ではこれが品質管理になる。計測管理そして品質管理がなされ、好ましいモノと好ましいサービスがうみだされる、ことになっている。
 計測の側が自己主張するために「計らなければ造れない」と声をたてる。計ることを知らない、計ろうとしない、計れない、という実態をみて、これに一生懸命対応している人がいる。計ることの考えを広め、計ることの練習をさせてこれで訓練をする。このことはどこでなされればよいのか。学校教育のどこかに組み込まれていて欲しいが、それが抜けているのだろうか。
 「はじめに計測ありき」とは本当だろうか。「ありき」などという世の爺(ジジイ)と婆(ババア)にはチンプンカンプンな文語表現の用いることが世に広まっている。「ざっくり」と言えばそのようなことだ。ざっくりにも、ありきにも違和感を覚える。「ありき」は、文語過去の助動詞「き」を、文語のラ変動詞「あり」の後にくっつけて、そのことが既に存在しているという意味で使っている。生活と日常の分野に文語を用いることなど、下々のことを理解せず睥睨(へいげい)している学者がいきなり出てきているようで、嫌みだ。
 日本の計量の中央団体にはかつて「計量管理協会」があった。この団体と日本計量士会、日本計量協会の3団体が、一つになって日本計量振興協会になった。計量管理協会と日本計量協会が単独では旧来のままの財政運営が困難になったために取った対応である。
 計量管理とはどのようなことなのか。いまは単独の名称として表立って存立しないこの組織に結びつく人々が考え、論理にしていくべき事柄である。ある人々は計量管理の理論と技術を追い求めていて、その実現の場を「品質工学」という名称の組織に託している。計測と計量の在り方を考えて、計測と計量の役割を理論として再組織して、世の中に広めていく役割を、だれがどのように担って、果たしていくのであろう。

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