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日本計量新報 2014年11月16日 (3034号)

計量行政が真っ当に実施されるための法の関わり方

日本の自動車産業が好調である。トヨタは今期2兆円の利益が見込まれている。米国市場の拡大と円安が幸いした。日本の市場は消費税増税の駆け込み需要の反動で低迷が続いている。不振が続く電機産業は自動車の電装系の革新によって自動車産業に貢献している。その電機産業と自動車産業の地位がいまのような状態であることを予測することはできなかった。
 オートバイ産業はホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの4社に集約されたが、たくさんのメーカーがこの市場から消えていった。自転車産業は台湾、中国が製造拠点になっていて日本のメーカーの存在意義が怪しくなっている。ただし変速機やブレーキなど知識と高度技術を織り込む分野ではシマノの存在は特別に大きくなっている。
 自動車、オートバイ、自転車ともに、走る、曲がる、止まる、が確実にできて故障しないといった基本性能の高さが重要であると同時に、それを使う人の感情によく調和することが大事であり、「えもいえぬ」満足を与えることも大事だ。このことは商品としての自動車などに限らず、人と人との間にも関係しており、人には好き嫌いがあっても大勢の人に好かれる人は幸福である。
 計量法を土台や骨格そして理念として実施される計量行政は、もしかして時代に嫌われてきているのではないか。地方公共団体は首長も議会も選挙と連動しているので、選挙民への手土産や「ほどこし」に連動する施策は用もないのに膨らみ、社会基盤としてきっちりと据えられ、運営されなければならない計量行政は、ここに回す費用は最後にお金が余っただけを用意するといった体である。
 計量行政が自治事務になったのが災いしたのか、この費用を賄う額の予算を計上しなくなった地方公共団体が散見される。この方面の計量行政予算は歳を追うごとに減少している。こうした事態と計量法を突き合わせて考察すると、計量法はこのままでは機能を失うのではないかと危惧される。都市に人が集まり、高齢者が増えて、働く人の数が少なくなり、人口が減り、GDPの6割ほど人の生活としての消費の絶対量が増えない状況にあって、産業と生活の基盤になる計量行政が真っ当に実施されるようにする計量法にしていかなくてはならない。

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