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日本計量新報 2016年4月24日 (3101号) |
凡人は「少年老い易く学成り難し」と言い聞かせたいNHKテレビの歴史番組でモノを語っている「歴史学者」と出演者たちの自信たっぷりの話しぶりを真に受けていいのだろうか。番組づくりの深い部分にかかわっているようであり、制作者はこれらの人々の考えに引っ張られている。番組によって考えるきっかけができることは否定しない。1人のまだ若い人が歴史の全部を解き明かすことなどできないのだから、ほかの出演者ともども街の人々の井戸端会議を聞いているということで聞き流していないと歴史の認識を誤る。 経済評論家とか銀行や生保などの調査研究所の社員が経済と社会のすべてを知っているような顔をして話すのはその会社の宣伝のためである。経済予測などは似たような理論のソフトウエアを組み込んだコンピュータを動かして弾き出したものである。ソフトウエアに打ち込む数字などは政府ほかが都合のよいように加工していることが多いのだから、はじきだす答えは怪しい。企業はこのようなものを相談相手にして経営するから家電関連の企業などは皆同じことをして同じようにしくじる。 人はいつまでが若く、いつからが老年なのか。日本の会社組織は55歳で定年にするならわしがあった。日銀も大きな会社もこのようであった。そうすると55歳に近いことは企業人としては老年になる。「少年老い易く学成り難し」とは読めばそのとおりのことである。こつこつと学んでいても賢くなりにくい、ということでもある。55歳までに仕事を成し遂げるとなると、その前の年代に活躍をしなければならない。中央官庁の上級職員はつくられた階段を足早くのぼって去っていく。 55歳の定年の時代には企業で役職に就くには早くから活躍をしなければならないことになる。早くに活躍するとなると早熟でならなくてはならない。仕事をじっくり覚える人のほうが働きが良いともいわれる。職場ほかの事情がこれを決める。直ぐ仕事ができる人と覚えれば良い仕事をする人がいる。これらの人々をどのように扱うか。力仕事であったり若い人の特別の感覚や勘がものをいう分野もある。テレビディレクターのテリー伊藤氏がそれまで優秀だった人が50歳にならないうちに発想力が減退して役に立たなくなる事例を語っていた。 計量計測機器の世界では30歳になったかならないうちから事業を興して躍進するということで異彩を放つ人もいる。知識と技術と知力と気力と指揮者として総合力を備えた人がいる。企業にいる者のすべてがそうであることが望ましいように見えるが、組織には役割があり役割を充足するように個々の人々が活動することが大事だ。 頑張ろうとしても頭が働かず、身体が動かなくなり、気力を奮えなくなる年齢は人によって違う。生涯現役でいつまでも若く<RUBY CHAR="逞","たくま">しい人がいる。自分を凡人と思う人は「少年老い易く学成り難し」と自分に言い聞かせて努力を惜しまないことだ。それにしても「少年」の年齢で歴史も社会もわかったように語る人には閉口させられる。こういう人々も調査会社の研究員という社員も同じ括りにしておきたい。 |
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