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日本計量新報 2016年10月9日 (3122号)

普及する電力量計の自動検針システム

家庭の使用電力量を自動検針して課金する仕組みが動き出している。検針員が電力量計が入った函を覗いて使用した電力量を機械に打ち込んでその控えを置いていき、そのデータによって請求書がでるのが現在一般になされている検針と課金・請求の仕組みである。電話料金の課金のようなしくみに電力使用料金が移行している。鉄道やバスの自動改札によってキップ切りや車掌がいなくなったのと同じように、電気料金請求のための検針員がいなくなる日が近づいている。

電話は昔は電話交換手がいて相手先の電話に手動でつなぐ方式であった。客の電話番号を暗記していて何々さんと言えばさっとつなぐことができる交換手は職場内では花形であった。レンズ設計のために計算をする女子従業員が大きな部屋に並んで仕事をする風景の写真がニコンの社史にあって、こうした女性たちもまた英雄であった。

回転円盤が回るときのその量をデジタル表示するハカリが登場し、その後に質量と料金を関連づけて処理する電子料金ハカリが普及してハカリ市場を賑わした。この方式のハカリはPOSシステムに発展している。現代のPOSシステムは商店などの品目別の売り上げなどを記録し次の商品展開のためのデータを算出する仕組みになっている。ハカリあるいは計量計測機器分野ではコンピュータを利用してのさまざまなことをなしてしまうことが広くおこなわれている。

 「電気、ガス、水道」そして「携帯忘れていないか」というのが現代の人の家をでるときの確認事項である。電力量計の自動検針と課金の仕組みが普及する。ガスも都市ガスであればこれが早期になされるかも知れない。ガスボンベに入れて家庭に設置するものについては自動システムに移行するのは容易ではない。水道メーターも屋外の設置環境と水回りなどということもあって現状の変更は難しい。

電力量計の自動検針・課金のメーターをスマートメーターと呼んでいるのは、その機能が自動検針と課金だけのものではないということからであろう。しかし紛らわしく理解を得にくい名称である。

スマートメーターの計量法との関係を議論する場として計量行政審議会があり、議題がとして採りあげられたが、課題の抽出を含めて慎重に取り組むようである。特定計量器の所管は経済産業省に属するという一般の観念があるが、電力量計の所管は、資源エネルギー庁になっている。

 

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