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日本計量新報 2016年11月13日 (3126号)

動的状態で計る自動はかりが検定と定期検査の対象になる

計量法を変える重要な手続きとして計量行政審議会が開かれ、現在の計量法令に追加した規制として、質量計(ハカリ)分野でこれまで直接の規制の対象になっていなかった自動はかりの特定計量器への追加が答申された。

 ハカリは静止状態で質量を計量する非自動はかりが検定と定期検査の対象となっていて何十年もの長い間、都道府県がこの検定と定期検査を実施してきた。検定についてはメーカー自己検定としての指定製造事業者制度が計量法に打ち立てられたことによって特定計量器に指定されている多くのハカリで、この制度によりメーカー自己検定が実施されている。

 同じように質量を測定し、取引証明に使われている自動はかりという区分は、非自動はかりとは分離されていて、検定も定期検査も実施されないその対象外になっていた。OIML(国際法定計量機関)では、自動はかりも非自動はかりも検定の対象として同等に扱われており、取引と証明分野における計量の重要性ということでは変わりがないのだから、日本の計量法でも同等に取り扱うようにという要望が計量協会に加入する計量士などから強く出されてきていた。

 そうした状況のもとで計量行政審議会は、計る物が動いている状態で計量する自動はかりで取引・証明に使われるものに検定と定期検査をすることに決めた。具体的には、ホッパースケール、充填用自動はかり、自動補足式はかり、コンベヤスケールを考えている。動いている状態でも質量を精密に測定する技術は質量センサーのロードセルの性能向上とコンピュータの発達などによって格段に高まっている。充填用自動はかりなどの質量計は食品分野ほかで広く使われていて、袋詰め質量計量では高い占有率をもっている。そのようにして使われている自動はかりが計量法の直接の規制としての検定と定期検査の対象外になっていて、非自動はかりだけが対象であることの不自然さの指摘を受けての自動はかりの特定計量器への指定が今回の審議会の答申である。

 メーカー自己検定制度としての指定製造事業者制度が質量計分野では定着しており、自動はかりの製造企業は規模の大きなところが多いので、製造される自動はかりの大概はメーカー自己検定が実施される見通しである。修理検定や定期検査については指定検定機関・指定定期検査機関になったメーカーなどの民間事業者によってメンテナンスと連携して合理的に実施することで多くの器物が処理されるものと推定されている。

 それでも制度を実際に動かしてみると想定外のことがでてくる。小さな事業者による一品生産のハカリが自動はかりの概念に相当することがある。型式承認や自動計量するための複雑な構造をもつ自動はかりに対応できる検定と定期検査の方法をどうするか。検査する当事者に身を置くと幾つもの関門はある。

 法令が改正されてから数年ほどを目途にして取引・証明に使われる可能性が高い自動はかりから実施に移す計画であり、このあいだに円滑な検定と検査の施行体制を築くことになる。地方計量協会の5割ほどはハカリの定期検査を実施する指定定期検査機関に都道府県等から指定されているが、自動はかりの定期検査あるいは検定を担うような仕組みがつくられるのかが関心事項である。

 ハカリの検定の手数料は実際にかかる費用に折り合う内容にはなっていない。検査すればするほどに検査費用が検査手数料を上回ってしまうという構造になっているから、この検査は役所がやってきたのである。指定定期検査機関の指定を受けているがために計量協会の運営が窮地に陥っているのであるから、何の策もなしに自動ハカリの検定や定期検査を計量協会に押しつけるようなことをしてはならない。

 

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