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日本計量新報 2017年4月16日 (3145号) |
投球速度の計測値には何が示されているかイチロー選手がオフシーズンに日本に滞在していて「ニュースを見ると暗い出来事ばかりであるので、自分の大リーグでの活躍はそれとは別のこととして意味があるのかもしれない」と語っていた。プロ野球が開幕して大谷翔平選手が大活躍した。バッターボックスに立って思い切り振ったバットは球を強く弾き返す。大谷翔平の弾丸ライナーが2塁手の右わきを抜けていき、上がった球は外野席に飛び込む。金曜日に開幕、土日と3連戦を茶の間で楽しんだ人は多いことだろう。現在は負傷で欠場中だが、あせらずに完全に直して復帰してもらいたい。 長嶋茂雄のデビューの年には天をも駆けるような躍動感あふれる走塁だけでも見物であった。頭抜けた力量で投手を圧倒していたのであったが、その才能は野村克也の努力や工夫によってなしえた成果と比較するとどちらが上か判別しがたい。身長193cmの大谷翔平は恵まれた体格と精進によってどのような成績を残すのか楽しみである。心配なのは今回のような怪我などによる故障である。イチローが言っている。日本人の骨格と筋腱の負担対応力は大きくはない。 硬式野球はよくできたスポーツである。バットを球に上手に当てれば遠くまで飛んでいく。身長171cm、体重72kgの菊池涼介選手はWBC準決勝の対アメリカ戦で日本唯一のホームランを打った。大谷翔平の速いバットスイングは芯を外れてこすった状態でも外野席に球を運ぶ。サッカーやラグビーなどさまざまなスポーツ競技があって、それぞれ楽しく見物することができるが、プロ野球は面白いスポーツの代表だ。堀内恒夫投手の引退試合では目をつぶって打った球がホームランになった。偶然の要素が含まれる野球競技に野村克也は確率の概念を持ち込んで競技をし、采配した。 大谷翔平投手の165km/hの球はバットに当てることができる。阪神タイガースの鳥谷敬選手は目を白黒させながらもバットに当てた。直球とカーブしか投げることができなかった江川卓投手の球速は145kkm/hほどでも振ったバットは球の下を潜っていた。球の初速と終速との差や軌道のお辞儀のしかたの平均を意識して振ると江川卓の球は当たらない。回転のよい球はベース上で遅くならない。浮き上がるようにバッターの前を通過する。 全盛期の藤川球児投手の球はよく浮き上がった。凄かったのが身長169cmにして体重73kgの山口高志投手である。王貞治の振ったバットははるか下であった。小学生と中学生の試合のようであった。山口高志投手は藤川球児投手に浮き上がる速球の投げ方を教えた。全力投球をしていた山口高志投手の成績は通算64試合登板、46勝11敗、防御率0・92、497奪三振である。金田正一は晩年には力を抜いて負担がかからないような投球をしていた。成績は通算400勝、4490奪三振、5526・2投球回、365完投、298敗、1808与四球、シーズン20勝以上14年連続14度、64・1イニング連続無失点、最年少200勝達成(24歳309日)、公式戦開幕投手14度(国鉄10度、巨人4度)。 世の中は何事も数値にして理解しようとする。投球の初速と終速のこと、ストレートとカーブなどの変化球のこと、その速度差などさまざまなことを数値にすることができるが、少しだけ取り出した数値では投球の全体を表現することはできない。投球の初速の表示によって投球が分かったように思うのもよいがそれは部分の表現である。野球に計測機器を持ち込んで計測値をだして状態を分析して対応策を講ずることは大いになされるべきである。年俸5億円の日本プロ野球界で活躍する選手は5指ほどおり1億円プレーヤーはチームに5人はいる。身体の動きやプレーを科学することが活発になる。三度目のストライクですね、三振ですといった言わなくてもよい解説やアナウンスを聞くのはうんざりである。 |
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