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日本計量新報 2017年11月12日 (3171号)

適正計量管理事業者の指定は社会への義務と自己の名誉

地方の計量協会、別の言葉でいえば都道府県ごとの計量協会は会員である計量器販売「登録」事業者が納付する会費と検定手数料などの証紙販売による収入によって事務局長と事務員が勤務する体制をつづけていた。販売事業の登録制が届出制になって、一度書面を役所に提出すればその後は何もなしになった。登録制時代は定期更新に際して講習と再申請の手続きに協会が必須であった。再登録と連動するためだけのために協会加入が意味を失うと販売事業者の会員は減少する一方だ。
 ハカリの定期検査が自主管理によって「免除」されることが法的側面の唯一の「特典」である適正計量管理事業所は、その免除という特典に意味を感じない。役所がおこなう定期検査を受検すると安くあがるという費用計算をして、適正計量管理事業所の指定を返上した当時日本最大のスーパーマーケットがあった。相前後してプロ野球球団を手放した。経営規模は縮小しかつての繁栄はない。
 適正計量管理事業所は指定を受けても特典とは思っていない。少しくらいの名誉は世知辛く費用計算する悪い人にかかると意味がない。こうした人々は計量協会に入会して計量管理部会に名を連ね、場合によってはその長になっていてもそれは役所向けの体裁でしかない。挙動にそれが現れるし、心の内底に食い込むと真っ当な意味での計量管理など心にない。そのようなことをしなくてもモノはつくれるしサービスもできると考える。そのような考えの人々の仕事場はいつしか社会から見放されて地域から消える。閉店を余儀なくされる事例が幾つもでている。
 計測値のデータが商品に意味づけをする鉄などの素材製品のデータを<RUBY CHAR="偽","いつわ">る。計測は欲得を抜きにした平らな心でするものだ。「算術で計算できない名誉を重んずるという特質は、近代の経済学以上に、はるかな真実の教えを人々に教えた」と新渡戸稲造は『武士道』で語る。製鋼所と名のつく企業が欲得によって事実を捻じ曲げ品性をも捨てていた。相手へも社会への礼儀を欠く。計測は武士道に通じる。「してはならないことはしない」ということで口約束しなくても守ることは守るというのが「武士に二言はない」という意味だ。平らな心での計測と名誉心があったならば企業が転覆する事態は発生しなかった。
 自分が使っているハカリの性能の確認と維持は自分でするという当たり前のことが認められて適正計量管理事業所に指定される。社会への義務であり自己の名誉でもある。その義務と名誉に対して計量法は自動ハカリの検定有効期間を通常より多い年数で対応する措置を講じている。

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