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日本計量新報 2009年3月15日 (2765号)

計測ソフトウエアが新しい商品となり市場を形成する

「プロフ」という用語があって、これと小・中学生あるいは高校生の関係が問題にされている。プロフにアクセスして求めに応じて書き込むと、自分のプライバシーが意に反してか、あるいはプライバシー保護の意識がない者がプライバシーを公衆の面前に公開してしまうことになり、ここから様々な不具合が発生する。
 プロフとは、主に携帯電話で利用されている、自分のプロフィールのページを作成できるサービスを提供しているWebサイトのことであり、プロフィールを略して「プロフ」という。そのようなサービスの商品として「前略プロフィール」「マイプロフィール.jp」「Chip!!プロフ」「魔法のプロフ」などがある。プロフィールは、あらかじめ用意された項目に記入して作成する。好きな項目を記入し、顔写真などの画像を添付する。プロフは固有のURLによってWeb上に公開される。プロフ入力の項目は、「名前」や「誕生日」「性別」「血液型」「星座」に始まり、「好きな映画」「好きな本」「マイブーム」果ては「前世」まで。プロフは、携帯電話を通じて利用されており、女子高生に人気。
 「ブログ」(Blog)とはウェブログ(Weblog)の略称であり、「ブログ」の名称が一般化した。
 「プロフ」が携帯電話で利用される(ことが多い)のに対して、「ブログ」はパソコンを使って利用される(ことが多い)。「プロフ」も「ブログ」もwebサイトであり、簡便型のwebサイトという言い方ができる。日本ではブログという言葉は、ブログ作成ツールを使って作られたwebサイトを指しており、HTMLの知識がなくてもホームページの運営ができる。ブログは企業や個人が自己のホームページと述べているwebサイトと同じように機能する。
 テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのメディアには「インターネット」「webサイト」「ホームページ」「ブログ」「プロフ」などの言葉が氾濫していて、これらの用語と内容の違いが曖昧になりがちなのでこれらを整理してみよう。「ブログ」「プロフ」は先に述べた。
 「インターネット」(Internet)とは、大小さまざまなネットワークを相互に接続(inter-networking)して構築された世界規模の巨大なネットワークのことで、原型は1969年に米国防総省の高等研究計画局(ARPA)が導入したARPANETである。ARPANETは、米国内の4カ所(カリフォルニア大学ロサンゼルス校、スタンフォード研究所、カリフォルニア大学サンタバーバラ校、ユタ大学)に分散したコンピューター同士をつないで開通した。その後徐々に規模を拡大し、現在のインターネットになった。
 「ホームページ」(home page)とは、webサイトの入り口となるトップページのことである。現状ではwebページと同義で扱われている。「Internet Explorer」では、起動直後に表示されるwebページを「ホームページ」と呼んでいる。
 「webサイト」(web site :ウェブサイト)とは、企業や個人が公開している複数のWebページのまとまりのことで、一般的には、サイトと呼ばれている。
 「webページ」(web page:ウェブページ)とは、WWW(World Wide Web)システムを用いてインターネット上で公開される、HTML等で記述された文書のことであり、webブラウザーのウィンドウに1ページずつ表示される。一般にはwebページにハイパーリンクが設定されており、これによって世界中のwebページにリンクされる。
 「WWW」はWorld Wide Web(ワールド・ワイド・ウェブ)の略で、世界中に蜘蛛の巣のように張り巡らされたハイパーテキストシステムで、ハイパーテキストシステムとは、文書内にある文字列が、別のテキストやファイルにリンクしていることを指す。1989年にCERN(Conseil Europeen pour la Recherche Nucleaire:欧州合同素粒子原子核研究機構)」のティム・バーナーズ・リー氏が考案したさまざまな技術によって成り立っているシステムの総称。ユーザーがWebブラウザーにURLを指定すると、HTTPによってwebサーバーへの接続とwebページを取得するためのコマンドの送信が行なわれる。指定されたファイルが存在すれば、webサーバーから指定したファイルが転送されてくる。webブラウザーは、HTML形式などのファイル情報を読み込み、書式情報や文書構造を表わす「タグ」の内容に合わせてテキストを画面に表示する。テキストだけでなく、画像、音声、映像も同様に処理が可能である。
 インターネットにかかわる技術用語やその概念はあやふやに理解され会話に用いられるので、インターネット、webサイト、ホームページ、ブログ、プロフの用語がまぜこぜに使われる。「ブログ」がホームページやwebサイトやインターネットの意味で使われる。
 また、ホームページを閲覧したことを「パソコンを見ました」とか「パソコンで見ました」という言い方をする人が多い。ホームページをパソコンで閲覧したか、携帯電話で閲覧したかの違いを述べているのではないが、この場合は携帯電話ではなくパソコンで見たという背景は透けてくるので、必ずしも全面否定できない笑い話である。
 その昔、情報の伝達はモノの伝達と重なっていて、シルクロードは仏教伝達の通路でもあった。ラクダの歩く速度は仏教伝来の速度でもあり、文化が伝わる速度でもあった。ラクダが自動車になっても情報の伝達速度は大して速くならないが、有線通信や無線通信技術の発達によってこれが飛躍した。インターネットの世界は情報の伝達の速度と量を飛躍的に大きくした。これは凄いことである。
 情報伝達の速度を追求する試みは昔からなされていた。武田信玄は戦闘などに際して山の頂や見晴らしの良い場所に見張り台を設けて、ここから狼煙(のろし)をあげて、あるいは太鼓をたたいて通信した。狼煙や太鼓などによって無線通信と似たくらいの速度で情報伝達できた。情報はリレーによって甲斐の境から甲府の館まで2時間ほどで届いたことであろう。狼煙の連続的伝達で無線通信に匹敵するくらいの速度で情報を遠くまで伝達した。私の住まいの裏山には武田氏の狼煙台がある。狼煙は煙の上げる間隔などによって暗号の形式をとっていた。原理をひもとけば現代のインターネットに通じる。
 計量計測の行為は、物事を数値化し情報化することである。情報化したその計測値をどのように役立てるかが知恵の発揮しどころである。計るだけでは十分ではない。大事なのは、計った結果をどのように活かすかだ。
 計ってあったために、そのときには役立たなかった計測データが後に大いに役に立つことも実際にはある。将来に役立つことになる計測データの蓄積を目的とする計測もある。一方、計る行為を極力省いて計ったのと同じ結果を実現する計測技術があり、それを品質工学ともいうことができる。
 計測情報は、計っていなくても別の要素から計ったのと同じように取り扱うこともできる。そうした情報に目的を重ねてシミュレーションをして最適な計測要素を設定することができる。コンピュータの能力が発展するほどに計測ソフトウエアも新しくなり、市場を形成するようになる。


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