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日本計量新報 2010年12月5日 (2849号)
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地方計量協会が公益社団法人になることを応援する
「新公益法人制度」が2008(平成20)年12月1日に施行され、公益法人制度が大きく変わった。
これに伴い、新制度施行前に「公益法人」であった各地の計量協会は、移行期間の終わる2013(平成25)年11月30日までに、「一般社団法人」と「公益社団法人」のどちらの身分で存続するか判断しなくてはならない。移行手続きをしなければ、法人資格を失うことになる。
多くの計量協会は、一般社団法人への移行の方向で検討している。東京都計量協会のように、一般社団法人として移行することを総会で決議し、現在事務局が中心になって移行手続きを進めているところもある。京都府計量協会のように、一般社団法人への移行を完了した協会もある。
新規に法人資格を取得する場合も、どちらかを選択する必要がある。千葉県計量協会は、新規に法人化をする際に、一般社団法人を選択した。
移行にしろ、新規設立にしろ一般社団法人を選択する協会がほとんどであるなか、富山県計量協会は公益社団法人になる道を選択して、勇躍挑戦してこれを実現している。
実務に当たった担当役員は、税理士など会計の専門家になれるのではないかと思うほどの知識を身につけることになったと振り返っている。組織が小さく事務体制も十分でない計量協会が公益社団法人になることには、それほど困難が伴う。改めて、富山県計量協会の奮闘とその成果に賛辞を送る。
公益社団法人とは「公益を目的とする事業を行う法人」のことで、一般社団法人の事業活動が自由で柔軟なのに対して、事業活動が制限され、公益目的の事業比率が2分の1以上であること、公益社団法人に即した定款の設置などが条件になる。税制の面では、一般社団法人が収益事業に課税され、公益事業は非課税であるのに対して、公益社団法人は収益事業利益の50%を公益事業に回すことができ、当該法人に寄附した者に対して税制優遇措置が適用される。
社会的に高い公益性を周知でき、税制上の優遇措置を受けることができるなどのメリットがある分、法人格取得には厳しい審査を通る必要がある。法人化した後も、会計基準が厳密で監督官庁の立ち入りなどがあるなど、一般社団法人と比較すると厳しい監督措置がとられることになる。
こうした規定に照らし合わせると、法人格を選択する目安として次のようなことが言える。比較的自由な立場で、可能な範囲で公益事業を実施していきたい法人や、公益事業財産が少ない法人には一般社団法人が、公益目的の事業を主体に実施していきたい法人には、公益社団法人が向いている。
しかしながら、実際には全国の計量協会が一般社団法人か公益社団法人かを自由に選択するのは容易ではない。都道府県などの担当部署の意向や支援体制などとも照らし合わせながら選択することになる。無理のない選択として、当面は一般社団法人となり、必要があれば公益社団法人に移行するという方法が選ばれることになるのであろう。
設立や設立後の運営に、大きな苦労を伴う公益法人化だが、実現すれば、行政からの事業委託が増える、計量の権威付けや表彰受賞に有利であるなどの利点が期待できる。それらは、計量業界全体に良い結果をもたらすものである。
現在、富山県計量協会のように公益社団法人になる道を選択して準備している計量協会も複数ある。その心意気を大いに賞賛し応援する。
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