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日本計量新報 2010年12月12日 (2850号)

人口増加とノーベル賞受賞者に見る日本経済

日本の経済が低迷している。中国とインドは大伸張、米国も、さまざまな問題を抱えながらも、日本に比べればそれなりに規模拡大を続けている。各国の状況と関連して、日本の行く先はどうなるのか。
 経済と人口を対比すると、見えてくることがある。
 世界人口の上位の国は次のとおりである(以下、国際連合経済社会局人口部の作成した『世界の人口推計2008年版』のデータによる2009年の推計人口)。
▽総計=68億2936万人、▽1位中国=13億4575万人、▽2位インド=11億9800万人▽(参考3位)欧州連合=5億106万人▽3位アメリカ合衆国=3億1465万人▽4位インドネシア=2億2996万人▽5位ブラジル=1億9373万人▽6位パキスタン=1億8081万人▽7位バングラデシュ=1億6222万人▽8位ナイジェリア=1億5473万人▽9位ロシア=1億4087万人▽10位日本=1億2715万人(11位以下、メキシコ、フィリピン、ベトナム、エジプト、エチオピア、ドイツ、トルコ、イラン、タイ、コンゴ民主共和国)
 世界人口第一位の中国は、2003年には12億9千万人であったので、この6年間に6千万人増加している。この間にインドは10億5千万人から12億人になったので、1億5千万人増えている。米国は、2千万人増えている。経済が伸張する国の人口は増えることを、中国とインドは示している。
 ただし、必ずしも人工と経済規模が比例する訳ではない。アメリカの人口は世界第3位であっても、経済規模は世界第1位である。中国がこれに続き、日本は第3位である。
 人口と対比すると、日本も米国も欧州の先進国も経済規模は大きい。表に見えにくい経済活動として、資本輸出や技術輸出がある。ベトナムなど東南アジアの経済振興は、こうした外国の資本と技術がもつ要素が大きい。

 さて、日本の人口の推移はどうか。前述の通り、2009年が1億2千7百万人であり、2003年と比べると、わずかに減っている。世界的にみると、09年も03年も世界第10位である。
 もっとも、人口の算出根拠である国勢調査には10%ほどの誤差があり、その誤差は人口でいえば低い方に振れて出る。2010年10月に日本では国勢調査が実施されたが、ある国勢調査員によれば、60世帯を担当したうち、受け取り拒否が2件ほど、郵便受けに入れておいてもそのままになっているのが2件、受け取っても調査票を返さないのが2件ということであった。1割の人が実際に世帯をもって生活しているのに調査票を返さないから、存在漏れになってしまう。こうした誤差を補正すべきかそのままにして扱うか、大いに迷うところである。世界の人口も、結局のところ推計という文字を入れて処理するしかない。
 話が逸れたが、中国・インドの伸びと比較した時、日本の人口停滞は気になるところである。経済と人口の関係を含め、日本はこの先どうなっていくのだろう。
        ◇
 もう一つデータを提示したい。ノーベル賞の国籍別の受賞者数(2010年現在)は、次のとおりである。
▽1位アメリカ合衆国=305人▽2位イギリス=106人▽3位ドイツ(東ドイツ含む)=80人▽4位フランス=54人▽5位 スウェーデン=30人▽6位スイス=22人▽7位ロシア(ソビエト連邦含む)19人▽8位日本=17人▽9位オランダ=15人▽10 位イタリア=14人
 人口、あるいは経済規模と比較したとき、日本の17人という数は「多い」と感じるだろうか、それとも「少なすぎる」と感じるだろうか。
 ノーベル賞、特に理系分野における受賞数は、その国の経済基盤となる技術力の指標とも言える。
 2010年ノーベル化学賞を受賞した根岸英一氏は、「日本はもっとノーベル賞をとっていい」と言い、日本の若者の科学離れに危機感を抱いている。人口の問題も重要だが、科学の振興なしに日本の発展はない。

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