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日本計量新報 2017年9月10日 (3156号)

時代が変わる、計量器企業の姿が変わる

 人が減る。人の物事への考え方が変わる。風習や文化が変わる。ネクタイをしない人が増えた。上下揃いの背広を着ない人が増えた。通勤バッグがいつの間にか登山用のリュックに変わった。そうした一連のことによるものか船橋市と小田原市の大手百貨店の閉店が決まった。パリッとした背広を着ることが格好いいことではなくなった。チノパンとカッターシャツのカルフォルニア・スタイルが仕事場に広がっている。背広を着た事務系統の人と作業用ジャンパーを着た工場勤務の人との服装の差が、今後どのようになるのか興味深い。

 背広をデパートに買いに行くことがない。大手洋服店で買ったと思われる背広は型が決まっている。靴は先が長い。「アアーッああいうところで買ったんだな」と推察される。日本人の背広とネクタイの装束は江戸期の<RUBY CHAR="","かみしも">に近づいている。バーバリーであることを示すチェックの裏地のコートを着る人が減って、薄手のダウンジャケットを着ることが普通になった。熱海の宴会場のコート預かり所がそれを示していた。通勤電車ではコートの裾が邪魔だ。

 百貨店が賑わうのは地下の食品売り場と化粧品売り場だ。衣服、衣装、服装、靴やアクセサリーなど服飾全般は衰退している。衣服の製造業および流通業をアパレル産業という。アパレル(apparel)とは衣服を意味する英語の古語。衣服の企画・製造・卸売をおこなう企業がアパレルメーカーであり、洋装系の既製服を売っているお店などを日本ではアパレル販売業という。百貨店での洋服販売は街中に店舗を構える大手洋服チェーン店などに商売を明け渡している。街中の洋服販売の中規模店のなかにはリサイクルショップに衣替えしたところもある。アパレルメーカーとアパレル販売業に影が落ちている。

 街の金物屋が姿を消しつつあり、ホームセンターがその領域の商いをするようになった。ホームセンターでモノサシをつくっていた会社の名前をいくつか見かけると時代の変わりようを気付けといわれているようだ。街の食堂の代わりになった弁当屋で体重計メーカーの名前をつけた弁当やプリンをみる。領域を超えて飛躍している意欲に圧される。変化への対応は飄々ひょうひょうと狙ってなされていることは少ない。事業と商売の壁に突き当たって呻吟しんぎんするなかで壁を突き破る。そして新しい領域に乗り出す。このことが間近にある。

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