精密天びんから吊りはかりまで
あらゆる機種に防水機能を採用
活用分野が広がる防水はかり分野
精密機械の天びん、はかりは、水平な接地面や一定の温湿度を保つ空調、防振装置・設備など整備された環境下で、はじめて100%のパフォーマンスを発揮する。しかし生産や流通の現場においては、水・ホコリ等が機器にかかることが当たり前で、そのような環境下でも100%の性能が要求される。それははかりや場合によっては天びんにも要求されることがあり、過酷な環境下でも対応するのが「防水(防塵)はかり」である。電子式の台はかりや天びんは、IP65以上の防塵防水等級を持つものがはかり・天びん各社で用意されている。また機械式の上皿指示ばかりにも構成部品のほとんどがステンレス材を使い、高い耐水性・防錆性をもっているものがある。
活躍の場を広げる防水はかり
水産物の計量に活躍していた防水はかりは、高い防水性・防塵性の丈夫な特性を食品の生産現場、化学・薬品の生産現場とその活躍の場を広げている。はかり本来の高精度計量や性能面を高める一方で防水性、防塵性、さらには堅牢性を高めなければならず、それぞれの技術を高次元で担保した製品が多くランアップされている。高精度はかり、天びんでありながら、なかにはIP69kの最高規格の防塵防水構造をもつものまである。
食品の生産現場では、一連の計量作業を終えたあと汚れたはかりを清掃する場合、ホースからの流水によって清掃出来ると作業の効率化につながり、また現場の環境を清潔に保てる。化学・薬品の現場においても数々の汚染を防止するために機器の清掃がおこなわれるが、そこで気を使わず手軽に清掃することが出来る防水構造のはかりや天びんが活躍している。
粉塵がまん延している現場や屋外での使用にも耐えることから、建設現場、廃棄物処理の現場にも活躍の場を広げており、今後も供給される製品に求められている機能のひとつである。
形状と価格帯
現在はかり各社から出ている防水はかりのなかで商品点数として一番多いのが計量部と表示部が離れている電子式台はかりタイプ。この機種が防水規格、構造、部位、価格と一番多く、選択の幅が広い。防水構造が表示部と計量部の両方のものから、計量部だけのもの。規格もIP65〜IP69kと幅広い。価格帯も7万円台からある。
電子式の卓上タイプは、一般家庭の台所におけるものから、厨房等の業務向けのものまである選択肢の幅広いモデル。はかり上部からのみの流水ぐらいなら充分防水性を発揮する機種から、縦・横・斜めからの放水にも耐えられる高い防水性をもつ機種まである。構造上表示部と計量部が一体化しているので、高い防水性能が求められる機種である。
500kg、2000kgの重量物をはかる現場においても防水性能が求められている。それらのニーズに応えたのが、電子式吊りはかりである。粉塵やホコリ等で汚れた本体を放水で清潔に保てたり、水をかぶる現場においても気軽に使用できる機種が増えている。最近ではIP67の高い防塵防水規格を持ったステンレスボディの吊りはかりも発売されている。
ユーザーの声から開発された、内部部品からステンレス材を使った機械式上皿自動はかりは、水に濡れても構造部品にステンレス材を採用しているので、錆が出ず故障の発生を抑えている。また食品の現場においては異物の混入が企業の信頼性を落とす原因だが、ステンレス材のため、錆や塗料が食品に混ざる心配がない。価格は15750円。
天びんにも防水機能を持つモデルが、数多くランアップされている。
【参考】防塵防水規格(電気機器)の保護等級と解説
防塵性規格(外来固形物の侵入に対する保護等級)
▽等級0=無保護、▽等級1=直径50mm以上の固形物が侵入しない、▽等級2=直径12・5mm 以上の固形物が侵入しない、▽等級3=直径2・5mm以上の固形物が侵入しない、▽等級4=直径1・0mm以上の固形物が侵入しない、▽等級5=機器の所定動作および安全性を阻害する量の塵埃は入らない、▽等級6=塵埃は侵入しない
防水性規格
等級0=無保護なもの、▽等級1=防滴T形 鉛直から落ちてくる水滴によって有害な影響がないもの、▽等級2=防滴U形 鉛直から15度の範囲で落ちてくる水滴によって有害な影響がないもの、▽等級3=防雨形 鉛直から60度の範囲の降雨によって有害な影響がないもの、▽等級4=防沫形 いかなる方向からの水の飛まつを受けても有害な影響がないもの、▽等級5=防噴流形 いかなる方向からの水の直接噴流を受けても有害な影響がないもの、▽等級6=耐水形 いかなる方向からの水の直接噴流を受けても内部に水が入らないもの、▽等級7=防浸形 定められた条件で水中に没しても内部に水が入らないもの、▽等級8=水中形 指定圧力の水中に常時没して使用できるもの
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