信頼できる測定には計量のトレーサビリティが必要
JCSS登録校正事業者の利用が望ましい (2)
JCSS制度の活用が便利
計量のトレーサビリティを確保する方法はいろいろある。校正証明書にトレーサビリティ体系図などがついているのもあり、現状ではこれでもISO9000の審査などでは認められている。
しかし、価格(料金)は高いが、計量法のJCSS制度(Japan Calibration Service System、校正事業者登録制度)の利用が便利である。
JCSS制度は、国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準会議(IEC)が定めた校正機関に関する基準(ISO/IEC 17025「試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項」)の要求事項に適合しているかどうか審査を行い、校正事業者を登録する制度である。JCSSで登録された校正事業者は、特別な標章(JCSSのロゴマーク)の入った校正証明書を発行できる。
JCSS標章やJCSS認定シンボル付き校正証明書は、そのマークによって日本の国家計量標準へのトレーサビリティが確保されていることを示しているのである。したがって、校正証明書とは別にトレーサビリティ体系図などは必要ない。
また国際MRA対応認定事業者は、ILAC MRA付きJCSS認定シンボルの入った校正証明書を発行できる。これは一度の校正で相互承認協定を結んでいる国ならどこでも受入れられるグローバルなものである。
質量のJCSS校正は「分銅」と「はかり」の2種類
質量分野のJCSS校正には、「分銅」と「はかり」の2種類ある。おのおのの天びんの管理の状況に応じて、便利な方を選べばよい。
現在登録されている質量のJCSS校正登録事業者は、非自動はかりが26事業者(機械式と電子式がある)、分銅・おもりが21事業者(内分銅だけが2事業者)ある。それぞれ、校正範囲や最高測定能力も異なるので、目的にあったJCSS校正登録事業者を選択することが大切である。
JCSSロゴマーク付校正証明書の記載事項
JCSSロゴマーク付校正証明書の記載事項は「はかり」の場合は次のとおり。(1)校正対象品の仕様等、(2)校正及び非直線性の測定に使用した分銅(偏差・拡張不確かさ)、(3)校正の環境条件、(4)測定値(4・1繰返し性、4・2偏置誤差、4・3非直線性)、(5)校正結果(偏差、拡張不確かさ)。
今や社会的要請である
現在、計量のトレーサビリティは、測定の信頼性を確保するためには欠かせなくなっている。安全や安心、取引などの信頼性に関する社会的要請からも計量のトレーサビリティの確立が重要になってきている。計量のトレーサビリティが確保されていない測定結果は意味を持たなくなってきているのである。
(おわり)
|