気象情報から生活の安全まで
幅広いフィールドで活躍
先日の3連休の中日である3月21日、発達した低気圧の影響で全国的に春の嵐が吹き荒れた。
遅延や運休といった交通機関への影響のみならず、強風にあおられて転倒したり、飛来した屋根の一部にぶつかり負傷するなどの事故や家屋の倒壊といった被害が各地で相次いだことは、まだ記憶に新しい。
これらの風害がニュースで大きく報じられ、一般にも気象への関心が高まるなか、風を測定する機器、すなわち風向風速計が注目されている。
多面的な用途
風向風速計によって得られる観測値は、気象情報や災害防止などのほかにも、さまざまな現場で利用されている。
例えば、陸上競技などでは記録が公認となる条件として、風力と風向のデータが必要となる。
その他にもヨットなどのマリンスポーツやパラグライダーなど、風と密接に関係するスポーツでは必須となる計測器である。
また、室内の環境測定や空調・ダクトの保守点検のために風速値を測定したり、建築現場における高所での安全作業のための風速確認など、生活や仕事上の安全のために利用されることもある。
最近では、アウトドアにも気軽に利用できる、携帯しやすいミニタイプも出ている。
風向・風速の定義
風向とは、風の吹いてくる方向をいい、16方位、36方位で表される。
風速は単位時間に大気が移動した距離をいい、平均風速は大気の流れた距離(風程)を時間で割った値、瞬間風速は変動する風速の瞬間値を表す。
風速の単位はいずれもm/sを用いる。地上気象観測においては、観測時前10分間の平均値をその時刻の観測値としている。
風向風速計の種類
代表的なタイプとして、風杯型・風車型・超音波式・熱線式の4種類が上げられる。
▽風杯型風速計=垂直な回転軸の周辺におわん型の部品「風杯」が3〜4個付いている。風杯に風が当たると、凸面よりも凹面の方が強い空気抵抗を受けるため、凹面から押された方向に回転する。この回転数から測定値を出す。4つの風杯を持つロビンソン式風速計が広く普及したが、その後、より精度の高い3杯型風速計が広まった。これだけでは風向が測定できないため、矢羽式の風向計を併用する。
▽風車型風速計=流線型をした胴体に垂直尾翼と4枚羽根のプロペラが付いている。垂直尾翼により、風が吹くとプロペラが風上に向くように回転し、胴体の向きから風向が、プロペラの回転数から風速がわかる。現在、一般気象観測用として広く用いられている。
▽超音波式風速計=超音波の伝わる速度が、風上から風下に向けては速く、その逆は遅くなることを利用。向かい合わせに配した発信部と受信部との間で超音波の伝播時間を測定することにより風速を測る。2組の発信部と受信部を直交させて設置すれば、測定結果から風向と風速の両方が計算で求められる。
▽熱線式風速計=電流を通して熱した電熱線を環境中に露出させ、風があたって冷却されることによる温度変化と、電熱線の温度を一定に保つために必要な電気を換算して風速を求める。
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