What's New計量新報記事計量計測データバンクOther Data会社概要出版図書案内リンク
2007年3月  4日(2666号)  11日(2667号)  18日(2668号)  25日(2669号)
社説TOP

日本計量新報 2007年3月25日 (2669号)

計測の課題解決のためのソリューションこそが情報社会のビジネス

社会は変わる。なぜ変わるのかというと経済が変わるから、技術が変わるから、国際的な関係が変わるから、人の心が変わるから、人の暮らし方が変わるからなどである。日本の社会で変わったことは、年金に対する国民の信頼がなくなりかけていること、人口が減少傾向になって働く人々が少なくなっていること、職業や職場に対する考え方が変わってきていること、パソコンとインターネットをもとにした情報社会になって知識経済が広がっていることなどである。
 産業の構造が変化したため、かつての工場地帯がマンションなどが建つ住宅地になり、昔の商店街がすっかり寂れて、新しくとおったバイパス道路にホームセンターや自動車販売会社、ファミリーレストランなどが軒を並べるようになった。
 計量計測の世界では電子化しない計量器の分野に従事する企業は規模を拡大できずにおり、電子技術を計測技術に巧みに取り入れた企業は発展し、希望すると株式市場に上場することもできる。薬局で販売していた体温計はほとんどが電子式になり血圧計も同じである。そして血圧計はテレビショッピングの目玉商品になっていて体脂肪計なども同様である。地方都市にあった江戸期までのはかり座で現代に生き残っている企業は少ないもののさまざまな方法で現代の産業社会に立派に適応しているところもある。
 計量器の流通関係の事業者は新しい事業者にとって代わられようとしている。ホームセンターなどに商品を供給する大規模事業者がいて地方都市の専業店と競合し、また小さな計量器販売専業店、理化学機器販売の専業店は事業の持続に窮する状態にある。計量協会という地方の計量組織の主要な構成員は薬局と金物店であったのに、この方面の計量器流通はビジネスとしての面白みをなくしたため会員でなくなっていることが多い。計量器製造などの企業は、はかり製造の場合には地場産業としてはかりの据え付けとメンテナンスならびに工場の計量管理などの事業でしっかりと生きていて地域の計量文化を支えている。
 情報社会といわれる状況が進展し、アルビン・トフラーの説くIBMのビジネスに範をとった「知識経済社会」において、計量計測産業がどのような発展の道筋をとるかということの結論は明確である。「ソリューション (solution)」という言葉で表現される、業務上の問題点の解決や要求の実現を行なうための情報システムと連動する計測システム開発の方向がそれである。物事の軽重はあるとしても計測技術と計測産業の基本方向は計測技術を基にしたソリューションシステムあるいはソリューション技術を開発しビジネスにしていくことである。
 計測のソリューションシステムは、計量器の販売等のビジネス世界においてはコンサルティング業務を通じての顧客の計測要求を満足することであり、具体的なことになると必要な精密さをもつ計量器情報の提供と関連技術や関連知識を供給することである。こうして顧客の計測に対する取り組みを支援する総合情報を提供することと計量機器を供給することが分離しないで存在するようになることであろう。


記事目次本文一覧
HOME
Copyright (C)2006 株式会社日本計量新報社. All rights reserved.