What's New計量新報記事計量計測データバンクOther Data会社概要出版図書案内リンク
2008年2月  3日(2709号)  10日(2710号)  17日(2711号)  24日(2712号)
社説TOP

日本計量新報 2008年2月17日 (2711号)

モノの見え方が昔のままであっては将来が危うい

モノの見方を考えるときに、現代社会においてはNHKテレビが描き出す世界によって大勢の人々のモノの見方が決まってしまうといえるのではないか。NHKは事件と政府のこと、政治のことをよく報道しているようであるが、その内実の解説はほとんどしないし、政府批判はNHK予算の縮小につながるのでこれもしない。報道という観点からは事件報道は掲載情報のアナウンスですむから手軽である。国会報道もカメラを議場に据えればそれですむ。株価報道はいつでも株価は動いていて日経平均だの何だのと株価情報を手軽に入手できる。お天気情報、交通情報しかりである。NHKテレビだけを見ていると、日本という国は事件ばかり起きているよい国ではない。また経済規模が拡大しないと如何にも国が滅びるかのごとき報道となる。
 食品偽装にしてもそのような事件が出てくるとその食品企業だけが悪いかのごとき報道となる。偽装とそれ以外のボーダーラインのことは考えないで、法令や規則などのことを国の言うがままにそれが正当であるようにガンガンとがなり立てるように報道する。こうしたことはNHKに限ったことではなく日本のマスコミ全体に共通したことであり、全体として新聞とテレビとラジオは表面的なことしか報道しないという欠点をもっているので、国民もこれにつられて表面的なことしか見ないということになって、日本人のモノの考え方が全体として軽薄になっている。
 国の機関、さまざまな省庁がその構成員である人々の満足を目的とする共同体に変換して、その組織がなさねばならない、あるいはなすべき機能を失ってしまう。NHKなどその典型であり、郵政公社もそうである。クロネコヤマトは路上駐車の取り締まりが厳しくなるのに対応して街のあちこちに手押し車で配送できる営業所をたてたし、夕方には店を閉じてしまう「郵便局」の隣で夜の10時まで営業している。おそらくこの先「郵便局」はクロネコヤマト以上に物流事業で重きをなすことはないであろう。
 企業の組織も歴史が古く大きな組織であればあるほど、企業目的の追求のための機能性を発揮するよりもその構成員の満足を優先する共同体と化しがちである。組織はその健全性を維持するためにさまざまな尺度で測らなければならないが、その一つが組織全体のやる気としての志気の高さであり、その実行としての成果である。やると決めてもやらない、できないことを正当化する屁理屈が横行する、「命令」あるいは約束事を守らないという状況が幾つも出ているようであれば、その組織は大改革しなければならない。モノの見え方が昔のままであってはその人もその企業も将来が危うい。


記事目次本文一覧
HOME
Copyright (C)2006 株式会社日本計量新報社. All rights reserved.