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日本計量新報 2008年2月24日 (2712号)

「コンプライアンス」という地雷を踏んではならない

いま日本の社会は「コンプライアンス」ということで法令遵守を大合唱しており、食品偽装をはじめとして違反が発覚した場合には、その違反者に極度に厳しい視線と懲罰的な対応をするようになった。違反は悪いことであるしそのことを肯定することはできないが、同類の違反を見過ごしにして、発覚した違反だけに過剰反応することはよいことではない。
 日本の法令は実態を無視した守りにくい厳しい内容で決められる傾向がある。法を守ることは大事なことであるが、守れる法や規則をつくってこれを皆が守ることができれば違法者のいないよい社会をつくることができる。もともと法はよい社会をつくるために社会規範を確定するものとして制定されるのであるから、法の目的に沿って諸規定を作っていくべきであろう。
 食品にしても賞味期限などに曖昧な表現があり、そのような表記を無視して消費者は自らの判断で期限超過の食品を食べることが多い。しかしミートホープ事件のように牛肉でないものを牛肉と偽って販売するような詐欺行為は厳重に戒められなければならない。法規の範囲かそうでないか、というグレーゾーンの多い規則や法律はよい法律とはいえず、グレーゾーンにかからないようにして物事を処理するのにとんでもない費用を要するようなことなどは愚かしいことだから、このような範囲を狭めるように規則を改正するという視点を持ってこれを実行しなくてはならない。
 「コンプライアンス」という言葉に違反した場合の仕打ちに恐れをもたない企業は少ないことであろう。お化けのような存在になっている「コンプライアンス」に対し企業や人が自然体でつきあえるように、ヒステリックな状況を改善することは社会にとって大きな善である。
 しかし、間違っても「コンプライアンス」という地雷を踏まないように企業は厳重注意の体制で歩んで行くことだ。


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