What's New計量新報記事計量計測データバンクOther Data会社概要出版図書案内リンク
2008年3月  2日(2713号)  9日(2714号)  16日(2715号)  23日(2716号)  30日(2717号)
社説TOP

日本計量新報 2008年3月2日 (2713号)

公務員の鑑の姿をその後も継続する計量士は多い

計量の世界で単純にハカリの検査の実態を述べると、事業所などで計量の管理を実施する計量士の仕事に従事している者には、高齢者が多い。
 計量士業務とは、計量法令をもとに理解すると、ハカリの定期検査に代わるハカリの検査と管理である。
 しかし、計量士本来の業務は企業、事業所における総合的な計測の設計と計量管理であり、その目的は社会の信用の獲得と企業利益のための下支えである。
 計量士業務の従事者は、計量検定所や計量検査所など計量行政の公的機関の定年退職者が多いために、計量士全体の平均年齢はゆうに65歳を超えており、あるいは70歳にとどいているかも知れない。年齢を重ねると人は練れて聖人になるかというと、老齢に伴う知能の劣化としての軽い惚け(ぼけ)、一つのことにこだわってどうでもよい内容を繰り返し言い立てる老人の繰り言、善と悪を勝手に決めて人を攻撃することが習い性のようになっている人、すぐ怒って喧嘩をするなどトラブルを絶えず引き起こす人、指導的立場にいたかつての成功事例だけが頭に浮かんで現実社会への適合を欠いた行動を指揮したりそうした行動を取る人などがいる。
 こうした人々は多くはないものの一定数いるから、計量士という職業とその人々をみる目は人によってさまざまである。
 ある大きな計量士会の会長はそのようなことを知ってか知らずか、ある会合の挨拶で「中国の平和思想家の墨子」を事例に引いて、穏やかに平和的に計量士会の運営をしていくことを説いた。
 墨子は現代のスイスと同じような立場で軍も持ち、戦えば強かったのであるが、非戦主義であった。墨子とその信奉者の墨家は、戦争を仕掛けることをしてはならない、相手に攻撃を仕掛けたい意識こそが問題であるとした。墨家は攻撃しない「非攻」ではあっても、戦いを仕掛けられたらこれに屈しない「墨守」の立場を取っていた。守り抜くための戦いであれば必ず勝つことを信条とした。
 計量士も人の子であり良い人悪い人さまざまな人がいる。公務員として公僕の鑑(かがみ)のような人がその後も同じ行動で社会と企業に尽くしていることも多いし、このような人がほとんどである。
 しかし、物事には例外もあって、地位を守ることに汲々として人の足を引っ張ることを平気でするし、その振る舞いが卑しいことであることさえ自覚しない人もいる。役所は「偉い」と勘違いしているか、役所を利用しようとする下品な民間人は、卑しい公務員定年退職者でも権力的行動に出る者に高い地位を与えて黙らせようとするので、そうした組織は全体として卑しくなってしまう。
 計量の世界は役所をたてて、公務員にへつらって、誤魔化しながら生きてきた世界でもあった。役所と公務員とその定年退職者の能力と機能が劣化している状況のもとにあっても同じことをしているから、計量の世界はますます将来が怪しくなっている。
 表でも裏でも喧嘩ばかりしている人は醜いが、表と裏のある人はもっと醜い。嘘の固まりの人間は人に好かれないのであるが、そうした人が運営の責任者になるような団体は人に好かれないので会員が去っていくことになる。


記事目次本文一覧
HOME
Copyright (C)2006 株式会社日本計量新報社. All rights reserved.