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日本計量新報 2009年4月12日 (2769号)

在るのだけれども気付いていない需要を見つけ出せ

片方に計量計測機器や関連技術の購買や利用希望者がいて、もう一方にその供給者がいる。この双方が円滑に結びつくことによって計量計測機器とその技術などの商品の売買が成立する。製品や技術の利用と使用を希望する購買者側からはそれが見つかりにくいし、その製品と技術を供給する販売者側からは、購買希望者が見つけにくい。結びつくべき相互の間に大きな壁があるのが計量計測機器や技術の受給である。

 使用者側の製品や技術に対する欲求は多様であり個別的であるのに対して、そうした対象の欲求を満たす側の製品や技術は十分ではないのが普通である。製品と技術の供給の側では、需要の規模とか製造費用などから既製のもので精一杯であると考えがちであり、それしかないからそれを使うことを求めて、利用者に不便を強いる。十分ではない製品や技術を仕方なく我慢して利用していると、不満が増大してそれが供給者側にぶつけられ、そこから技術的な改良がもたらされる。

 計量計測機器の利用者の側の組織としてかつては「計量管理協会」があって、計量計測技術を品質管理その他へと昇華させてきた。この団体の活動が製品供給する側に製品の開発と改良・改善の動機付けを与えてきた。先進国の技術を日本に移築する欲求は計量計測機器を利用する側に強く、この欲求に引っ張られて日本で計量計測機器を製造し、供給する側は技術の進歩と発展を実現してきた。

 未来の製品と求められる技術は、その利用者の側の欲求に触発され牽引(けんいん)される。したがって、計量計測機器とその技術をつくりだして供給する側は、利用者の欲求や要望に密着していなければならない。
 供給者と需要者を結びつけるのは難しい。未来の大きな市場なり需要はなおさらである。しかし、計量計測機器とその技術的応用の需要は製造、流通、サービスその他の産業に必ず付随しているのだから、それを見つけ出して現実の需要として顕在させることである。過去の経験だけでモノを考えずに、ありとあらゆる知識をあつめて知恵をだして「確実にあるのだけれどもまだ見えていない欲求と需要」を満足させることこそが、社会に認められる方法である。

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