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日本計量新報 2010年5月23日 (2822号)

新しい目で物事をみる、新しい発想をする、それは進歩と発展につながる

計量の会議では、役所や民間団体の役職者がそれぞれの業務、事業などを蕩々(とうとう)と述べる光景が日常的に繰り返される。
 「計量法は貨幣制度とともに国の重要な制度である」「大宝律令においてすでに形づくられていた」「計量の安全の確保は国民の社会生活の基盤である」といった言葉に、素直に感心する者もいれば、その話は前任者からもう聞いていて耳にたこができていると思う者もいる。
 仰々しい正論が述べられる一方で、計量行政職員の現状ひとつとってみても、財政難から計量行政を確実に実施するための体制を整備できない、設備はあっても人員がいない、そして人員が教育と訓練を十分に受けていないといった状況がある。過去には、特定市が定期検査を実施しなかったという計量法の違反事例もある。
 計量法と計量行政は困難な時期を迎えている。

 役職員のめでたい演説を聴いている職員それぞれが、所属する企業の事業や職務を大声で唱えることこそが重要である。自らの仕事を人に情熱をこめて語れることは、その仕事を成功させる条件であるからだ。
 商品を製造し販売する企業に属する者であれば、その製品をすべての人々に使ってもらいたい、使えば便利で幸せになれる、と思わなければならない。そのように思わない者、思えない者を数多く抱える企業は衰退する。
 自分の仕事を人に語り、つくりだした商品を熱心に人に勧めることができる人は、会う人すべてが自らのお客さまに見えるであろう。
 慎み深くしていても、商品への自信や愛着があれば、自然にそうしたことが言葉になって現れてくる。
 企業の事業は、その内容を職員全員がひたむきな情熱をもって社会に知らせることが大事である。
 使う者が幸せになる商品をつくることは、企業の願いである。企業はその考え方や商品の価値を社会に訴え浸透させるために努力しなければならない。それは自ずと企業の念願や希望を訴えることにもなる。
 いいものが自然に知られていくことは事実であるが、良いものを早く知らせることは、顧客への親切というものである。
 企業が自らの念願や希望を訴えるのと同じ内容を、計量の会議で役所や計量団体の役職員が語っていると思えば、何度も聞いた話を聞くことの苦役を和らげることができそうだ。
 その話を下敷きにして自らの事業や仕事のことを考えることである。立場が変わればものの見方も変わる。
 人間というものは、ともすれば一つの物事にとらわれがちである。過去の常識とか通念というものから、なかなか抜けきれない。
 人の話を聞くことは、自らを振り返るよい機会と考えて、新しい目で物事を見ていくように心がけることである。そうすることで新しい発想が生まれ、次の進歩と発展につながる。

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