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日本計量新報 2010年7月25日 (2831号)

豊富な計量の知識を提供し、さらに豊かな社会へ

国民が平均的に高い知識水準を持つことは、近代社会が円滑に動くうえで欠かせない。日本では、義務教育が徹底され、社会で生活するために必要な知識は、中学卒業までに習得する仕組みができている。計量の基本的な知識と技術も、その他の学問と同様に学校で教えられる。国民が、計量や計測に関する豊かな知識を保有、活用して諸事象を計り、計った結果を巧みに応用すればするほど、国民の暮らしは豊かになる。現在の状況をみると、もっと計量に関する知識を応用するための知恵が必要であるように思える。
 最近では、NHKが、テレビ番組「ためしてガッテン」などで、体重計を利用したダイエット方法を紹介して反響を呼んだ。細かい目盛まで測定できる体重計を用いて、毎日体重を計ることにより、体重がより意識される。そのことが、適正体重まで減量する励みとなり、モチベーションを維持できるのだと、番組は伝えている。


 体重計以外にも、国民生活と密着して使われている計量器は多い。
 温度計や湿度計は日本で販売個数が一番多い計量器である。盤面に温度計や湿度計が組み込まれた壁掛け時計もよく売れている。
 最近は、食物のおいしさを一定に保つため、塩味や甘さを計測器で管理することが増えている。果物の甘さの確認も、以前は人の味覚に頼っていたが、糖度計が使われるようになった。ラーメンスープや蕎麦つゆの管理に、比重計を用いる現場も増えてきている。
 計れば、見えない事柄が見えてくる。計れば知らないことがわかってくる。物事を理解しようとするときに、計ることが果たす役割は大きい。
 国民が、「計ればわかる」という思いをもち、「この計量器を使って計ってみよう」と考え、必要な計量器を調達して、実際に計測することは、計量文化の水準を高める。


 昨今、産業やサービスの分野では、ともすると行動指針や作業手順などのマニュアルだけで行動する人が増えている。なぜそうするのか、そうすることの意味は何なのかといった、行動の目的や性格を考えないのは愚かなことである。
 国民と、計量器や計量知識・計量技術の関係を考えると、計量に関する専門知識を持つ人々は、これらに関する基礎知識を社会に提供することが大事である。
 豊かな知識は大きな知恵を生み出す元になる。 計量知識と計量技術を社会に豊かに提供することは、国民が計量分野で知恵を発揮する土台を形成しすることにつながる。
 計量に関する知恵が、生活分野、産業分野、サービス分野、科学技術分野などで応用され、存分に力を発揮すれば、宇宙探査機の「はやぶさ」の偉業のごとく、大きな結果をもたらすだろう。

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