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日本計量新報 2011年8月14日 (2882号)

地方公共団体は計量法にのっとった業務を実施すべきである

家を空けるとき、安全の確認のために「電気・ガス・水道は電源・元栓に異常がないか」と確認する人が多い。もし留守の間にそれらに異常があれば、無駄に料金を加算される上、大きな事故に繋がりかねない。

 電気、ガス、水道、タクシー、ガソリンのメーターは特定計量器と呼ばれ、適正な計量を確保するために、検定の受検義務が定められている。上記にあげたメーターを取引証明用(ほとんどがこの用途である)に使用するためには、出荷前の検定に加え一定期間が満了するごとに再検定を受検してこれに合格することが求められる。検定に合格したものであっても、使用している間に性能や器差が変化するおそれがあるからである。
 計量法の検定対象の計量器(特定計量器)は他に幾種類もあるが、ここでは生活と関連の深い特定計量器を取り上げる。

 電気、ガス、水道、タクシー、ガソリンのメーターといった特定計量器の製造に関しては、計量法の定めによって製造事業者自身が自己検定を行うことができる指定製造事業者制度がある。これらの計量器の場合、、ほとんどの製造事業者が指定製造事業者の指定を受けて、自己検定によって計量器を市場に出荷している。

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 一方、指定製造事業者制度が適用される特定計量器でも、ハカリの場合は様相が異なる。
 ハカリの製造業事業者の多くは指定をうけているが、そうでない事業者も珍しくはない。取引証明用でなければメーカーの自己検定は必要ないし、ハカリは多品種少量生産のものも多いからである。
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 取引や証明に使用するハカリは、2年に一度定期検査を受けなければならない.
 ハカリの定期検査は、行政機関が実施するほかに、計量士による代検査がある。計量士による代検査はハカリ設置場所に計量士が出向き、ハカリ使用者の都合の良い日時にあわせて実施するので、役所やその指定の検査機関による検査よりも便利であるとして、この方式を選ぶ受検者が少なくない。

 もう一つの方法として、指定定期検査機関制度がある。都道府県に直属する計量検定所や市に直属する計量検査所は、計量協会や事業者を指定定期検査機関として指定して、定期検査を委託している。

 ただし、適正な計量管理が実施されていると認められた事業所が指定される「適正計量管理事業所」は、定期検査が免除されている。
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 検定に関して忘れてならないのは、計量協会などを活用する場合であっても、特定計量器の検定実施の主体は、あくまでも都道府県(地方公共団体)だということである。指定製造事業者制度によるメーカーの自己検定の対象でない特定計量器が計量検定所に持ち込まれれば、その検定を実施する義務が計量検定所にはある。

 検定に当たっては、地方公共団体の計量行政担当職員が合否の判定をし、検定にともなう検定証印の刻印などの事実行為にも実質的に立ち会うことが、最低限の条件である。この条件を満足しないままに特定計量器の検定を実施することは、計量法違反である。

 しかし、計量検定所の中には、こうした特定計量器の検定を実施できる人員と、適切な知識が不足しているところが、少なからず存在している。計量行政を担当する職員が一人で、他の職務と兼任状態であっては、計量法が定める計量行政の実施主体としてはまったく相応しくない。そうした地方公共団体で特定計量器の検定が実施されているという事実に対して、計量法はその法文と諸規則を適合させられるのであろうか。

 2011年7月7日に静岡市で開かれた中部七県計量協議会では、「特定計量器の検定実施の主要実務受託を地方公共団体から求められても、計量協会としては受けられない」ということを、各県の報告と意見をとりまとめて確認した。
 この結論は、計量法の規定に照らして当然のことであり、地方公共団体は、計量法にのっとって真摯に計量業務にあたるべきである。

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