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日本計量新報 2013年2月24日 (2954号)

故障しない機械はないからパソコンも計測器も故障する

機械は壊れる。壊れない機械をつくることができたらどれほどすばらしいことだろう。誰もが壊れない機械を求める。日本人が品質管理という言葉を用いるときにそこで意味しているのは壊れない完全な機械であるらしい。徹底した品質管理をすることで完全な機械や製品や商品をつくることができると考えることに誤りはないのか。故障しにくい自動車をつくっているつもりでも、パンクするタイヤのことまでは配慮が及ばないし、操縦の失敗があれば事故につながる。完全な機械は実際にはない。機械が完全でないことを想定して機械に接し機械を使うべきなのである。 パソコンもコンピュータシステムも機械であるから故障する。コンピュータのハードウェアシステムは頻繁に故障するし、ソフトウェアシステムも同じである。パソコンが順調に作動しているとパソコンは壊れないという意識が使用者を支配してしまう。思考がそうした状況になると積み上げたデータを外部のハードディスクやインターネット上の保存システムなどに保存することを怠る。パソコンが突然動かなくなって、パソコンに内蔵されているハードディスクのデータを読み取れなくなることがある。労働の結晶であるデータがハードディスクの故障とともに消失する。それを手痛いと思わない人はいないだろう。ハードディスクに蓄積された膨大なデータの消失に失望して、同じ業務の継続を断念した人がいる。データ消失の危険を回避する安全のしくみをつくって実行しなければならない。
 ある人のパソコンが故障したときに発生した困ったことは以下のようなものであった。電子メールができない。電子メールが届いているはずなのに、見ることができない。また電子メールを送信したいのにできない。パソコンによる文書作成が必要なのにできない。インターネットに接続できないために、インターネット上のホームページの運営が止まってしまう。そしてインターネットの閲覧ができない。このような状況が出現すると企業では会計業務や受注業務など止まってしまう。企業では端末のパソコンとデータのやりとりをするサーバーが故障すると業務が狂乱する。
 コンピュータを安全確実に使うためには、データのバックアップをしておくことと、メインコンピュータが故障したときに予備的なコンピュータを機能させることが求められる。パソコンは機械であるから故障する。計量計測機器も機械であるから故障する。故障した計測器が誤った計測値を表記していることに気づかないでいたことがよく報告される。誤った計測値を利用・使用して、事実と違うことを真実と考えてしまっていることはないのだろうか。これでは計測が意味を失ってしまう。

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