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日本計量新報 2013年8月11日 (2976号)

第一原発に隣接の原町火力と広野火力が復旧している事実

東京電力は発電所を訪れる人々に日本の電力は原子力発電がその多くをまかない、水力発電と火力発電はその補助であるように説明し、原子力発電の宣伝パンフを配布していた。原子力発電は一定の出力で運転するのがよいので、電力需要の3割をこれにあて、水力発電と火力発電をこれに足し、電力需要に対応する方式になっている。日本の電力の半分以上を火力発電が担い、水力発電と原子力発電が同じ程度でこれに加わる。日本の電力需要に火力発電と水力発電で対応することができるのが日本の発電である。火力発電も水力発電もその設備能力を全部出しているのではなく、原子力発電のためにその能力の半分も機能させていない。原発事故以降にこれらの稼働率を上げることにより電力需要に対応している。
 地球温暖化は排出される二酸化炭素によっておきている、というロジック(論理)がワンフレーズでつまり簡単に表現される。多くの人は二酸化炭素の排出で地球が温暖化するので原子力発電はこれがないからすぐれている、ということを思考にたたき込まれる。地球の温暖化と寒冷化といった温度変化は太陽活動によって決まる。だから寒冷期と温暖期とが繰り返されてきたのだ。ダムはあっても水力発電に使える水は農業用水などにとられるので少ないというのは電力会社の虚言であり、なんだかんだと理由をつけてつくるダムにまともな水力発電所を併設してこなかったのが日本の電力開発の行動であった。火力発電は現在は石油の運転比率は1割以下になり、天然ガスと石炭が主である。その化石燃料は向こう400年分の埋蔵量があり、さらにほかの化石燃料も採掘が試みられている。コールベッドメタン、タイトサンドガス、シェールガス、メタンハイドレートなどである。これらの資源は中国が尖閣諸島の領有権を主張し支配するための軍事行動をとっていることと無縁ではない。
 原子力発電は完成された技術ではない。福島第一原発の事故当時でも原発の稼働率は4分の1程度であった。地震による事故、ほかの事故などのために、休止中の原発が多かったのである。水力発電と火力発電は長い歴史をもち、その技術は完成しており安定的である。電力会社が全発電量をこの2つで対応できるようにしているのは原発の不安定性と無縁ではない。その原発は発電量の2倍の温排水を海に放出している。事故後の福島原発は廃炉にすることになっても、これがなしとげられるのに50年ほどを要する。第一原発の5号機と6号機は事故をおこした1号機から4号機とは離れた位置にあり、復旧のために試験運転した6号機は2013年7月25日に小さな異常があったことをNHKが速報した。地震と津波で被害を受けた福島原発と隣り合う東京電力の広野火力発電所と、東北電力の原町火力発電所は復旧している。原発を建設し運営するためには、地元自治体などのさまざまな名目で国庫から費用が出されている。福島第一原発で働く関係者は6000人である。いろいろな要素を集めて考察すると原子力発電が水力発電に火力発電より利することはない。
 ある原子力発電所の事故で温度計が振動で破損した事例があった。温度計は電力会社指定の規格でつくられた。実験や検証をしても事故はおきる。この温度計は振動によって重要部分が破損した。事故後には規格が変えられて、新規格のものに付け替えられた。原子炉関連の事故は放射線漏れにつながる。放射線の人への影響の評価はさまざまであるが、そのもとになっているのは広島で爆発した原爆による放射線影響である。爆発から6週間して放射線濃度が減ったうえに、このころに大型の枕崎台風で汚染物質が洗い流されたあとの、爆発の48日後に測定された放射線量を米国の関係者が測定した数値をもとに人への放射線影響が決められた。
(福島第一原発の事故と原発の現状を考える 連載その1)

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